99.6%と1.6%――大学「保証」の中学受験
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・同じ「大学系」でも大差がある
・同じ早大系属校でも違う内部進学
・日大系内部進学のしくみ
・親御さんに「保証付き」は心強い
同じ「大学系」でも大差がある
99.6%と1.6%。この数字だけでは何のことかわからないです。これは慶應義塾湘南藤沢高校(SFC)と大妻高校のそれぞれ慶應義塾大学、大妻女子大学への内部推薦による進学率の差です。
大学附属校、系属校(大学とは経営法人が別だが、結びつきが強い学校)でも、学校によって大きな差があります。
受験校を最終決定する段階であれこれ考えているうちに「大学のことが心配になってきた」という親御さんも多いと思います。
大学入試改革の先行き不透明さから「附属校人気」の時代に比べ、ブームはひと段落ついたここ2年ほどの中学入試ですが、人気がなくなったわけではなく、依然として熱い視線を注いでいる親御さんは少なくありません。中には受験校を附属校のみで固める家庭もあります。
その際に「内部進学率」を頭に入れておくことは、「6年後」の我が子を考えるうえで、「持ち上がり」なのか「外部受験」になるのかを想像する重要な指標になります。
同じ早大系属校でも違う内部進学
例えば早稲田大学系列。東大や医学部受験など他大学受験が毎年約半数いる早稲田高校に比べ、早稲田実業は中学受験の時から将来は早大進学を見据えて志望する傾向が顕著です。
ともに早大系属校ですが、22年度の早稲田高の早大内部進学率は52.0%に対し、早実は97.8%。早実は418人の卒業生のうち9人を除いて全員早大に進学、割合としては完全附属校で中学受験のある早稲田高等学院の96.7%よりも高くなっています。
早稲田高は他大学受験の場合、早大への推薦権がなくなるので、まさに退路を断っての進路選択となります。現役で受験に失敗し、浪人して早大を受験、同級生より1年遅れて入学、ということもあります。
慶大は中学で3校、高校で慶應義塾ニューヨーク学院を含めて5校に分かれますが、毎年95%以上が慶大に進みます。慶應に限らず、大学受験を気にせずに、10代の時に自分が打ち込みたいことに専念できる環境を、という観点で大学附属系に絞って中学受験をする家庭も一定数います。
日大系内部進学のしくみ
全国に30校近くある日本大学系の学校も中学受験では人気校です。特に中堅校、一般校受験を考えている親御さんは、知名度抜群、卒業生も各分野で活躍している日大への進学は魅力的です。
7割以上が日大へ進む高校もあれば、10%台のパーセンテージにとどまっている高校もあります。首都圏で中学受験のある中で見ると、22年度は男子校の日大豊山で約72%、目黒日大が約68%、日大一で約64%と内部進学率の割合は高いですが、日大二は約39%、日大三も36%程度です。
日大系列の日大への推薦入学のメインルートは、日大系の高校に通う約1万人を対象に行われる「基礎学力到達度テスト」(旧日本大学付属高等学校統一テスト)を経て決まります。高1と高2で各1回、高3で2回実施され、高2以降の3回の結果で進学が決まります。
高2での成績は選考の際に20%の割合でしか点数化されないため、事実上高3での「勝負」となります。学部にこだわらなければ、ほぼ進学はできますが、希望学部に進むための到達度テスト対策を行う塾や家庭教師の会社もあるほどで、中学受験が終わっても緩やかですが競争は続きます。
親御さんに「保証付き」は心強い
日大系列の高校では、到達度テストで獲得した日大への推薦権を保持したまま、国公立大学受験を認めています。語弊はありますが日大進学が「保険」の役目をして、国公立大を受験するという形になります。
公開模試で志望校判定「B以上」など、条件付きですが、明治大学系の明大明治や明大中野、法政大学系も推薦権を持ったまま国公立大受験を認めており、中央大学系は中大にない学部の受験なら推薦権を持ったままチャレンジできる仕組みになっています。
この「保険」こそ、親御さんから見ると大きなポイントになります。大学附属・系属校の人気の背景に「大学保証付き」があることは間違いありません。
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