中学受験 中高一貫の売り「先取り学習」の実態

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・先取り学習は中堅校の「売り」
・「カリキュラム消化優先」の実態
・やるだけのことは…の証拠
・ぜひ学校説明会で質問を!
先取り学習は中堅校の「売り」
「面倒見の良さ」とともに中高一貫校の「売り」が、大学進学に向けて中1からの「先取り学習」です。
学校側は「中学までの課程は中2で終え、中3から高校の学習内容に入り、高3は大学受験に向けての演習授業中心で難関大学への現役合格を目指す」という地図を描きます。
成績が振るわない生徒を対象にした補習も随時行われ、バックアップ態勢は万全と胸を張ります。
どの中高一貫校も基本的に「先取り」ですが、これを前面に出し手厚い指導を強調しているのは、入試偏差値40台中盤~50台中盤の中堅校、その次の偏差値帯の一般校に多い傾向です。
「カリキュラム消化優先」の実態
しかし、高速回転の「先取り学習」にどうしてもついていけない子が、どの学校でも一定数出てきます。
中学は合格したものの、基礎力がおぼつかなかったり、ほぼ初心者状態の英語に戸惑い、算数とはまた世界が違う数学にも時間がかかる子がいます。
学校側も1人ひとりに合わせて「先取り学習」が進むのは稀。
多くが生徒の理解の度合いをあまり考慮に入れず、「カリキュラム消化優先」で進むのが実態です。
遅れ気味の子に対する補習は確かにあります。
ありますが「分かるまで徹底的に」というより、とりあえず1度やりました、という学校が多めなのも否めません。
分かるまでとことん付き合う、という先生もいますが数的には少数派です。
先取り学習は魅力的ですが、ついて行けず落ちこぼれる生徒は一人や二人ではないのが現実。
こうして勉強の面で「深海魚」になっていく子がちらほら出てきます。
やるだけのことは…の証拠
なぜ、学校側は大量の宿題を出し、毎回と言っていいほど授業前に小テストを繰り返し、先取り学習で先を急ぐのでしょうか。
6年後、大学進学の際に学校としては「やるだけのことはやった」ということの「証拠」、という性質が強いと思われます。
ついてこられなかったのは、生徒側の問題であって、学校としては「機会を与えた」というスタンスです。
入学直後から、こんなに必要かという教材の量も「やることはやった」という証拠の1つです。
子どもが理解したかどうかは別として、成績不振者対象の補習や大学受験用の夏期講習などを学校で開くのも「ここまで面倒を見ましたよ」という意味合いがそこにはあります。

ぜひ学校説明会で質問を!
学校説明会の際、親御さんは宿題について、先取り学習のプランについて、ぜひ質問されることをお勧めします。
自慢気味に「ウチは宿題が多いですよ!」という学校には、具体的に中身を聞いてみた方が良いです。
最近では「宿題の量を減らし、復習を徹底した」「中学での数学と英語の進度はゆっくり基礎固め、高校からスピードアップする」などのやり方で、大学合格実績で好結果を出している中高一貫校も増えています。
「学校の都合」より、生徒の現状に合わせたプランで学習指導をした方が成果が上がることを実感した学校は「方針転換」を図っています。
客観的に見て、我が子が中学に入学した際の「環境」を想定しつつ、質量ともに毎日の勉強がきっちり回るかどうか、立ち止まって考えることはとても大切です。
中学入学後、子どもはどういう6年間を過ごすのかに思いをはせる…。
中学受験は合格して終わり、ではなく、次の山をさらに登らなければならないということも頭に入れておきたいことです。

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