夏を無駄にしない 物理・化学計4単元の基礎確認

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・夏期講習の演習を有効にするには
・「てこ・ばね」「電流と回路」
・侮れない小学校の教科書
・急には全力疾走できない
夏期講習の演習を有効にするには
中学受験で6年生の夏は「天王山」と呼ばれます。
夏期講習では「もう一度基礎から」と言いつつ、基本事項の確認は演習を通してという形になります。
この演習を有効活用するためには、夏を迎える前に自分で基礎を振り返っておく必要があります。
「穴」が見つかれば、自力で解決するか、塾の先生に質問するかなどで「何とかしておく」かしておかないかで、秋以降の成績、偏差値の伸びは全く違います。
特に単元の多い理科は事前に基礎確認の「準備」をして夏場を迎えたいところです。
知識系が多い生物や地学分野より、基礎確認に時間を割きたいのが物理系と化学系です。
何に重点を置いて振り返るかは個々で違いますが、代表的な単元をそれぞれ2つずつ挙げます。
迷ったら、この計4単元をまずターゲットにします。
「てこ・ばね」「電流と回路」
物理分野で基礎を確認したいのが第一に「てこ・ばね・重さとつり合い」です。
てこ・ばねは計算問題の基本でありながら、苦手な受験生が多い単元です。
特にばねののび・縮みや、てこの支点・力点・作用点の関係を図で考える習慣が身についていないと、ひとひねり入った問題にぶつかったときに先へ進むのが難しくなります。
図を描いて整理する力、単位の扱い方がポイントとなります。
これをしっかり確認することで実は理科全体の得点力アップに直結します。
夏に演習量が増える前に「つり合いの意味」や「比例関係」の感覚を言葉と図で説明できるかどうかを確認しておくと、夏期講習でさまざまな問題に当たったときに「勝負」ができ、手応えをつかみます。
もう1つは「電流と回路」です。
豆電球のつなぎ方、直列・並列の電流・電圧の関係、回路図の読み取りなどは、入試頻出にも関わらず、多くの受験生が感覚だけで解いてしまい、得点に結びつきません。
電気は、具体例(豆電球・モーター・スイッチなど)と回路図が一致してイメージできるかどうかが肝。
「なぜそうなるか」を自分の言葉で説明できる状態にしておくことが、応用問題での正答率を高めます。
侮れない小学校の教科書
化学分野で確認したい単元1つが「ものの溶け方(溶解・飽和・再結晶)」です。
入試頻出の「水溶液と状態変化の融合問題」攻略への基本をひと夏かけて完璧にします。
例えば、食塩とミョウバンの溶け方の違い、温度による溶解度の変化、再結晶の原理などを理解せずに問題演習に入ると、表やグラフの読み取りで混乱が生じます。
実験を思い出しながら、「なぜ溶けるか」「なぜ結晶が出るか」をイメージできるかどうかが大切です。
入試問題では数値操作が求められることも多いため、「100グラムの水に…」の文章題に対する数量感覚も夏前にきちんと復習しておきます。
次に「物の燃え方・気体の発生と性質」です。
酸素・二酸化炭素・水素の発生方法、性質、確認方法は化学の基礎中の基礎です。
それにも関わらず、「試験管に栓をしてはいけない理由」など実験上の注意点や、「気体の集め方の違い」などが曖昧なままになっている受験生が多く見られます。
この単元は「実験→反応→結果」の流れが頭に入っているかどうかで得点差がつきます。
実は小学校の教科書に分かりやすく掲載されている実験やその図、実験器具の使い方を確認するのは「絶対」です。
演習だけでなく「見て説明する力」を身につけておくと、入試で「大問丸ごと正解」への道につながります。

急には全力疾走できない
夏期講習は「演習→解き直し→思考力の強化」の場になります。
しかしその効果は、土台となる基本の理解があるかどうかで大きく変わります。
夏期講習を迎える前に「要となる単元」や「苦手意識のある単元」を中心に基本の確認を進め、「なんとなくわかる」「知ってはいる」から「自分で説明できる」「自力で正解にたどり着ける」へとギアを上げます。
夏場が勝負と思うなら「助走」は大切です。
講習に入って、急には全力疾走できません。

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