中高一貫校 学校生活を左右する「学年団と先輩」
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・同じ学校でも「違う」のはなぜ?
・「生き残り」へ合う先生を探す
・親も先生もかなわない先輩の存在
・「先輩基準」で自らの将来を占う
同じ学校でも「違う」のはなぜ?
学年がそれぞれ違う、Aという私立中高一貫校に子ども通っていた3人に話を聞くと違う反応が返ってきました。
「とても面倒見のいい学校よ。成績不振の子も補習で最後まで見捨てずに引っ張って行ってくれる先生には頭が下がる」という鈴木さん。
一方の佐藤さんは「できる子中心に授業を進める先生が多い。ついてこれない子は置き去りにされ、大量の宿題で溺れかけている。補習もやるにはやるけど…」と顔をしかめました。
田中さんは、というと「あまり細かいことは言わないようで、子どもたちはかなり自由にやっているみたい。宿題もあまりないし。親としてはもうちょっといろいろ指導してほしいけど」と話しました。
同じ中高一貫校なのに学年によってこうも印象が違うのは珍しいことではなく、中高一貫校「あるある」の1つです。
なぜ違いがあるかというと、その学年を受け持つ先生たちで構成する「学年団」の方針の違いがあるからなのです。
学年団の先生は、多少の入れ替えや退職などで新任の先生が入ることもありますが、概ね入学から卒業までの付き合いとなります。
「生き残り」へ合う先生を探す
志望校、受験校選びには「校風」を重視する親御さんが多いです。
「自由な校風で生徒の自主性を重視する」と私立中高一貫校は多いですが、概ねそういう傾向であって「学年団」によって校風の「味付け」は若干違うのは実は驚くべきことではないようです。
親御さんにしてみると、想像していたものと同じならば「入ってよかった」となりますが、テイストが微妙に、もしかしたらかなり違っていると「あれっ…」となり、失敗とは言わないまでも「もしかして間違ったかな」と不安な気持ちになります。
テイストの違いに一番影響を受けるのが生徒自身です。中でも教科の指導方針の違いは「苦手科目」「得意科目」を作り出してしまいます。
「英語は1から教えるので、何もわからなくても大丈夫」というオリエンテーションの言葉を信じていたら、いきなり「ニュートレジャー」などの難しい教科書で授業が始まり、何が何だか分からぬまま進んでしまい、1年の夏休み前に英語は「大の苦手」にというケースはよく聞く話です。
逆に英語がある程度できる子にとっては退屈かもしれない授業で、英語初心者に丁寧に接し「落伍者」を出さない授業をする先生もいます。
これは学年の各教科主任、または各先生の考え方の違いから出るものです。ここの「統一性」が取れている学校は意外と少なく、難関校でも中堅校でも「先生次第」「学年団次第」です。
学年団による違いを生徒たちは「アタリ」「ハズレ」などと陰で言っていますが、学年を変えられない以上、「合う先生」を6年間の内の早い段階で見つけるのが、学校で「生き残る」ための術です。
同じ学年団で同じ教科を教える先生は複数いるはずです。その中で自分の勉強の進め方と合いそうな先生に接近し、質問でも勉強法でも添削でも「利用」します。
合わない学年団になったことを嘆くより、そういう状況なら積極的に動きます。そうすれば「道は開ける」ものです。
親も先生もかなわない先輩の存在
6年間の中高一貫校生活で、先生以上に、もちろん親御さん以上に子どもに対して影響を与えるのは「先輩の存在」です。
先生は口をそろえて「教師の言うことは何もきかないけれど、先輩の言葉や姿に下級生は影響される」と言います。
公立中学では中1と中3では2歳しか離れていません。それでもかなりのお兄さん、お姉さんに見えましたが、中高一貫校は5歳差になります。もう子どもと大人です。
高2でも4歳離れており、部活動に入れば、彼らが1年生の面倒を見てくれることが多いです。中3よりも2歳違うだけで中1から見れば「大人の雰囲気」を醸し出している先輩に憧れを抱きます。特に女子にその傾向は強いです。
大学受験に向けて勉強している先輩の姿をカッコいいと思えば、中1は勉強をかんばります。部活で中心選手となっている先輩がいればああなりたいと努力します。
親がガミガミ言うより、先生がとやかく注意するより、先輩の後姿は「無言の手本」になります。
「先輩基準」で自らの将来を占う
言動だけでなく先輩の進路も後輩に影響を及ぼすこと大です。
後輩たちは先輩の成績に注目しています。なぜなら後輩たちにとって身近な「モデルケース」になるのが先輩の成績、進路だからです。
「先輩はこれくらいの成績で早稲田に合格した」「●●先輩は高2までダメだったけど、高3の追い上げで国公立大にうかった」など、どれくらいの成績、校内順位にいれば、このあたりの大学へ行けると「皮算用」します。
志望校合格を果たした先輩の勉強法、部活との付き合い方などは、後輩にとって良くも悪くも「手本」になります。直接聞ける場合もありますが、その効果を知っている学校側は卒業生に事細かく「体験記」を書き残してもらい、進路指導室で公開している学校は多いです。
先生や親御さんが言うより、先輩の「英語だけけは落ちこぼれるな。苦手でも高3夏までに追いつけ」とか「理社はやりすぎてもいけないけれど、後回しは危険。時間がなくなる」「文系でも数学は必要。積み重ねろ」などのワンポイントアドバイスは効果絶大です。
私立中高一貫校、とりわけ歴史のある伝統校はこういう先輩の姿を中1の段階から目の当たりにできること、それが代々継承され生かさ続けていること、これだけでも進学する価値があるといえます。
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