人気の中高一貫校 ポイントは「大学推薦枠増」
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・人気は大学の「年内合格」
・法政推薦4倍強増で志願者43%増
・医学部推薦枠拡大の獨協の動向
・香蘭、ついに立教「全員合格」!?
人気は大学の「年内合格」
大学附属・系属の中高一貫校の人気が2,3年前と比べて割と落ち着いています。
大学入試改革の目玉だった「センター試験」の出題形式・内容の変更が、当初言われているほどの大改革にならなかったことが1つ。もう1つは、一時行われた私大の入学定員厳格化かやや緩和されている傾向にあることが中学受験にも影響しているからです。
「12歳で進学する大学を決めなくても…」と親御さんが選択の幅を広げて学校選びをするようになり、大学附属にこだわらなくなる一方で、「国際系」など目を海外大学に向ける流れも出来上がっています。
ただ、大学の合格(進学)実績は、親御さんが学校選びで重要視していることには変わりなく、最近の傾向としては「年内で合格が出る=高3の2学期で進路が決まる」=「推薦合格」の充実している学校が人気を博しています。
その傾向は偏差値区分でいう「難関、上位校」(四谷大塚で偏差値55以上)より、「中堅、一般校」(同54以下)で見られる傾向です。
法政推薦4倍強増で志願者43%増
「推薦合格の充実」=「中学受験の人気校」の図式が顕著に表れたのが、女子校の三輪田学園(東京都千代田区)でした。
昨年9月、隣接する法政大学との高大連携の強化を発表。指定校推薦で30人を法政が受け入れるというのが連携の「目玉」でした。
以前も三輪田→法政のラインとして7人の推薦枠がありましたが、一気に4倍以上と推薦枠が大幅に拡大しました。毎年卒業生を約150人を出す同行の2割が法大に進学できる計算です。
130年以上の歴史がある三輪田学園ですが、2月1日午前の第1回入試の四谷大塚Aライン偏差値(合格80%偏差値)は「41」。偏差値で区分すると中学受験ではそれほど難度は高くない「一般校」になり、「GMARCH」クラスの大学へは推薦での進学が主流です。そこに法政への入学枠の大幅増は、かなり魅力的な話です。
連携発表後、模試での志望者は急増。23年度入試は最も合格しやすいとされる2月1日午前入試で前年度の実質倍率1.9倍から2.5倍となり、最後の2月4日入試は同3.1倍から4..8倍へと跳ね上がりました。
6つの入試パターンで志願者数合計で前年比43%増(504人増)となり、「比較的合格しやすい女子校」の様相は一変し激戦入試になりました。
24年入試は「隔年現象」で志願者減の見方もありますが、首都圏模試の第4回合判模試では635人が志望。前年同時期より13%増で、第1志望は22年度の39人から倍増し79人で、現状では「熱は冷めていない」といえます。
法政への30人の推薦は15学部に各2人ずつという割り当てのようですが、法政の準附属、系属校に近い扱いは「高3の早い段階で進学先確保したい」という親御さんの心理を大いにくすぐっています。
医学部推薦枠拡大の獨協の動向
私立中高一貫校に通わせる親御さんの中には将来「我が子を医学部へ」と考えているケースも少なくありません。
「難関、上位校」に進学した場合は、国公立の医学部受験が基本線になりますが、中堅、一般校の場合は私立医学部も一定の需要があります。私立医学部の難易度はぶっちゃけ「ピンキリ」ですが、難易度の高いところも多く、一般の学部と比べて浪人生の数も目立ちます。
私立医学部志望者に朗報だったのが、男子校の獨協(東京都文京区)、獨協埼玉(埼玉県越谷市)に対し、系列の獨協医科大学への推薦枠が2校で計12人に増えたことです。23年度は11人が合格。獨協埼玉からは一人もいなかったため、事実上獨協が「独占」状態です。
もともと獨協は「合格者を多く出す」中学として、偏差値的にも程よく(1回目入試Aラインで44)中堅校との併願校として人気がありました。これに推薦での医学部進学への門戸が開けたことで22年度入試は志願者数が前年比19%増(349人増)となりました。
しかし、合格者を絞った(2月1日午前1回目入試実質倍率2.5倍→3.3倍)こともあり、23年度は前年比で12%の志願者減(254人)となりました。
中堅、一般校は「隔年現象」が起こりやすいことから、24年度入試は志願者増が考えられます。ただ、実質倍率が志願者減となった23年度入試でも1回目3.1倍、2月4日の最終回の4回目も6.6倍と高止まりが続いており、「どうしても獨協」でない限り敬遠されかもしれません。
倍率が高いというのは一見「激戦」に見えますが、「見込みが薄い」受験生も多いというのが特徴で、必ずしも難しい入試になるわけではありません。敬遠しそうな条件がある場合でも、勇気をもって出願すれば「道は開ける」ことがよくあります。
年を越さずに医学部合格を決められる獨協は「年内合格」がほしい場合は、受験候補校として名前が挙がる中高一貫校の1つです。
香蘭、ついに立教「全員合格」!?
立教大学の系属校という位置づけの女子校、香蘭女学校(東京都品川区)は、25年度から立大への内部推薦が97人から160人へと大幅に増加します。
160人という数字は、香蘭の中学入試での定員と同数。高校入試がないため、数字上では中学入試を突破した生徒の「全員」が、希望すれば立教への推薦合格が得られることになります。
香蘭は学校外に「立教の推薦を得るための専門の塾」もあるほど、推薦権獲得にしのぎを削った時代もありましたが、年々推薦枠が拡大し、同校の先生によると「ゆるやかな競争」がある程度に落ち着いているといいます。
香蘭から立教に進学する女子は毎年推薦枠が埋まる傾向ですが、早慶などに進学する子も年々増えており、推薦枠拡大はむしろ枠が余る可能性が高くなったといえます。
63人も立教への推薦枠が増えたとなると、親御さんのアンテナに引っかからない訳がありません。中学入試での香蘭人気はここにきて急上昇することは間違いないです。
2018年にAライン偏差値「52」で「中堅校」だった香蘭ですが、24年度の2月1日1回目は「58」と上位校レベルに。2日の2回目入試は「61」で、同じ系属校の立教女学院と肩を並べています。
2年連続志願者減から23年度入試は志願者増に転じた香蘭は、難易度も高止まりしていることから24年度は減少の可能性もありましたが、この推薦枠大幅増によって志願者増は確実、実質倍率も昨年の1回目2.9倍は3倍超に、2回目の4.5倍は5~6倍になる情勢です。
ただ、その増加分の多くが「チャレンジ層」の可能性が高く、合格圏に達している生徒は平常心で、ボーダーラインの子はミスが命取りになることを肝に銘じて受験することが合格につながります。
立教は野球部や陸上部の相次ぐ「不祥事」でイメージが悪化、人気でも同じミッション系の青山学院に「水をあけられた」状態で、吹いている風は「逆風」ですが、一般の生徒にはそう影響しないでしょう。
香蘭の推薦枠増は三輪田以上のインパクトがあります。今後の志願者動向で目が離せない1校です。
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