中学受験 夏では遅い…合格の肝は「春から」のワケ
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・目に見えない「デッドライン」
・夏休み中「あれもこれも」は無理
・夏を効果的に…勝負は3カ月前
・「できそう」でリズムに乗る
目に見えない「デッドライン」
中学受験は1回切り。ダメだったから浪人するというわけにはいきません。時間的な、目に見える「リミット」があります。
もう1つ、目に見えない、見えにくいリミットもあります。
この先どう頑張っても合格は難しい、正直言って無理というライン、「デッドライン」です。入試日のように明確な期日として存在するわけでも、はっきりと誰に指摘されるわけでもないので、目に見えない、もっと言うと「見たくない」ラインです。
6年生になって「最後まであきらめなければ…」と本気で言えるレベルの子は限られていて、不合格者の多くは、入試前に既に「手遅れ」状態で入試を受けています。塾は「それを言っちやぁおしまい」だから、口にしないだけのことです。
人によって「デッドライン」は違います。目指す学校にもよりますが、偏差値30台、40台なら夏休み前、40台後半から50台前半なら9月末までに「光」が少しでも見えてこないと、目標を「現実路線」に転換しなければならない可能性が高くなります。
成績の上がる、学力が伸びるには一定の時間が必要だからです。
よく「過去問との相性が良ければ逆転合格は可能」といわれますが、それはどの教科もある程度の基礎ができている上での話。どんな傾向の問題が出題されるにせよ、ベースができていないのに「過去問対策」にいくら力を入れても効果はそれほどありません。
何度もやって答えを暗記して「合格最低点に届いた!」となっても何ら合格に近づいたことにはなりません。
夏休み中「あれもこれも」は無理
偏差値が振るわない40台前半の子の「デッドライン」は「6年生夏休み前」です。
「夏休みで一気に挽回して、逆転合格だ!」というシナリオを描いている受験生と親御さんが、毎年数えきれないほどいます。
塾によってはその類いの「掛け声」をスローガンにさえします。しかし、9月の声を聞く頃の感想は「ほとんど何もできなかった」です。
夏休み、特に6年生は夏期講習、お盆特訓、志望校別特訓など、塾のカリキュラムが満タン状態。授業の復習を回していくのも厳しいのが「普通」です。
苦手克服に割く時間は、わすがかしかありません。つまり夏休み中に「あれもこれも」の弱点克服は現実的に難しいのです。
偏差値が低迷=「基礎ができていない」というパターンがほとんどなので、夏期講習に毎日通おうと、特訓授業を受けようと「実力の上積み」にならず、かえって「理解できない負債の上積み」になります。
6年生の場合、夏期講習は基礎力の再構築の場ではなく確認の場、その基礎力をもって入試問題などの「実戦演習」へ軸足を移していくため、数多くの苦手克服は物理的にも無理なのです。
現実的に言うと、夏休み中に「苦手克服」が可能な分量は、国語と算数のどちらかで1テーマ、理社もどちらかで1テーマです。それ以上できれば、夏休み「かなり頑張った」と言えます。
「テーマ」としたのは、国語や算数の科目丸ごとではなく、国語なら「読解の選択肢問題の正答率を上げる」とか、算数なら「立体図形の問題で小問3以降で得点できるようにする」など、「具体的に的を絞る」という意味です。
「4年生から2年半取り組んだ算数を40日間で総ざらいする」とか「地理と歴史の重要用語を暗記し直す」などというのは無理です。
多方面で基礎力がおぼつかない子に、苦手をやりきるだけの勉強の「基礎体力」は残念ながらありません。
前に進もうと思っても行く手を阻む「障害物」(できないこと、理解が追いついてないもの)が多すぎるからです。
厳しいことを言えば、そこまで有効な対策を講じてこなかった、見つけられなかったことの「結果」です。入試まで半年を切った時点で、偏差値30や40の子が、50以上にほぼ届かないというのが「現実」です。
夏を効果的に…勝負は3カ月前
有益な夏休みにするための第一歩は、実は春からの取り組みにかかっています。
6年生の前半は各塾で演習が多めになり、宿題も若干少なめになる傾向です。
ここで時間をつくり、4月から7月半ばまで基礎力を再構築し、夏期講習以降を「理解できない負債の上積み」 から「実力の上積み」になるように「体質改善」を試みます。
これが「ラストチャンス」であることを親御さんが子どもに言い聞かせます。
いい加減に聞いていたり、どこ吹く風の子が多いかもしれません。気に留めていないようでしたら塾の先生にひと肌脱いでもらいます。多少「脅し」が入ってもいいでしょう。「このままだと、どこも合格しない。全部落ちる」と。
言った以上、親御さんにも「責任」を持ちます。学習計画を立てて、それを遂行できるようにスケジュール管理と勉強の進捗具合を必ず親御さんが把握します。子どもが自力で苦手と向き合うのは至難だからです。
親御さんが伴走できるのがベストですが、厳しい場合は信頼できる家庭教師、個別塾の先生、通塾している進学塾の先生にアシストしてもらい、課題の設定や取り組んだものを見てもらう、質問に答えてもらうという流れを構築するのも手です。
「できそう」でリズムに乗る
苦手に取り組む際は、全くできないもの、手も足も出ないものから始めないようにします。一気に気持ちが萎えてしまうからです。
「もう少しで自力でできそうなもの」「実は〇をもらっているけど、よくわかっていないもの」などから取り組みます。
「できそうなもの」を比較的短時間でクリアすることで、計画を軌道に乗せ、勉強のリズムをつくります。量的にも欲張らず、「少し足りないかな」くらいで適量です。
夏休みもペースを崩さず進みます。そのころには「自力でできる」ものも増えているので、ペースも早くなり、取り組める量も増えています。
ある地点を超えると、勉強は急加速し、成績も一気に上昇します。
大半は、そこまに至るまで投げ出してしまうので、その「地点」に達する前に「終わって」しまいます。成績はいつまでも足踏み状態です。
夏休み以降の「追い込み」ができるのは、6年生以前からきっちり基礎を積み上げてきた子と、春から夏にかけてしっかり頑張ってきた子の2つのタイプのみです。
模試の成績が秋口に上がらなくても、力は付いています。成績が上がるのは最短で3カ月、通常半年はかかります。春からの頑張りが、1月、2月の「歓喜」につながります。
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