これで逆転合格!?「志望校対策直前講座」の効果
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・吸い寄せられる「志望校直前対策」
・「ボーダーライン」なら効果あり
・本音は「難関校、1人でも多く」
・「逆転合格」が宣伝される理由
吸い寄せられる「志望校直前対策」
入試間近になると親御さんがその「引力」に負けて、吸い寄せられる講座があります。
各進学塾や個別、家庭教師派遣先が設けている「志望校直前対策講座」です。
名称はそれぞれですが、要するに志望校の入試が近づいてきて「最後にもうひと押し」「あわよくば一発逆転合格を狙う」趣旨の短期講座です。
とても魅力的な講座です。
特に模擬試験で志望校の合格判定が「20%(未満)」という数値を突き付けられた親御さんは「これを受講すればもしかしたら…」と心が動きます。
心が動いて、行動に出る親御さんも毎年一定数おり、通っている塾の冬期講習ではなく、他塾の「魅力的な(魅力的に見える)講座」に賭けます。
「ボーダーライン」なら効果あり
講座内容としては過去問演習中心のところもありますが、新作予想問題を「売り」にしている講座が人気です。
志望校の傾向を研究し尽くしたと銘打って、テスト形式の演習と解説を繰り返します。
過去問もほぼやってしまったこの時期、プロが作った予想問題は確かにそそられます。
実際類題が入試本番で出題されたこともあり、「ある層」には効果があるかもしれません。
効果が期待できるのはあくまでも「ある層」です。
「あとひと押しで合格する可能性が高くなる、ボーダーライン(合格可能性40%~65%)上にいる生徒」。これが「ある層」です。
加えて、模試の成績で5回中3回以上合格判定が70~80%の「合格圏」「合格有望圏」の生徒にも、より合格をたぐり寄せるのに有効です。
つまり「勝負になっている」層には効果ありですが、毎回模試で「志望校の再考を検討すべき」(20%未満)という生徒には、効果のほどは期待薄です。
毎回20%判定ということは「その中学の入試には、現状の学力では太刀打ちできない」ということを意味します。
「直前対策」は「厳しい子」を鍛えなおして合格させる、という趣旨ではありません。
数回の授業で合格を手にできるのなら、4年生から人の何十倍も勉強してきた意味がありません。
それでも実際はボーダーラインの子よりも、見込みが薄い子の方が、講座のタイトルに引き寄せられてしまいます。
「はるかなる第1志望」より、直前期は基礎固めをし、第2、第3志望も視野に入れた勉強の方が「子どもの涙」を見ずに済みます。
本音は「難関校、1人でも多く」
各塾は学校名の冠が付くような難関校の合格実績を1つでも多く欲しいのが本音です(特に男女御三家と早慶付属・系属校)。
その数字こそが、来期の新入生獲得の「ウリ」になるからです。
そのため魅力的な講座を用意し、他塾の合格が見込める層を少しでも取り込むべく、外部にも門戸を開放しています。
よく大手塾の合格者数を合計したら、中学が出した合格数より多いという現象は、この「Wスクール」による「Wカウント」があるからです。
塾の合格者数の説明で「各季節の講習生は含みません」とただし書きをする良心的な塾もありますが、この手の「特別講座」は対象外。参加した外部生が合格すると「内部生」としてカウントされるのが実態です。
「逆転合格」が宣伝される理由
何もしないよりは一縷の望みを託して、という親御さんの気持ちはよく分かります。
ですが、通塾している塾の講座ならまだ分かりますが、他塾に出向いてまでとなると、一度立ち止まった方が…です。
子どもにとって、この終盤にきて「完全アウェー」の他塾に乗り込むのは精神的にかなり負担です。
よほど物怖じしない子なら別ですが、そういう子は大概通塾しているところの先生を「利用」して、合格へ近づく「ルート」を切り開いています。
模試の結果が20%未満だらけながら「逆転合格」を果たした子どもは、過去に1人や2人ではありません。
しかし、確率的には「かなり低い」と言わざるを得ません。
その手の「逆転」合格体験記が各塾で大々的に宣伝されるので、親御さんの印象には残りますが、「レアケース」だから目立つし、塾側もアピールに使いたがるのです。
3年近く受験勉強を頑張ってきて現実を直視するのは酷な話です。
しかし、ここに至るまでいち早く日々の勉強を見直したり、塾側に相談するなり、手段を講じられたはずです。
そういうことをしてきた親御さんもたくさんいると思いますが、直前期に親御さんが「覚悟」が決まらず、各種講座や教材に「課金」して良い結果が出たケースは滅多にありません。
見込みの薄い戦いに、最終盤の貴重な時間を割くと、第2志望以下の合格可能性が高い学校の対策が甘くなりがちです。
淡い期待を抱いて「詰めを誤る」ことは、中学受験に参戦している親御さんとして、絶対に避けなければなりません。
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