偏差値30台からの脱出 5本の柱(5)
◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・4本の柱をまとめるのが「親力」
・重要な「親力」は「観察力」
・必ずやりたい「塾で何をやったの?教えて」
・子どもにキレず分析、対策を立てよ
・親の観察力は塾の具体的助言を引き出す
・中学受験は親の分析力で結果が左右される
★4本の柱をまとめるのが「親力」
小学3年生までの「助走」期間に子どもに適した塾を選ぶこと、偏差値を上げる「タイミング」をはかり仕掛けること、子どもが授業についていけているかを把握すること、塾と子どものパイプ役になること、この4点が偏差値を大幅にアップする柱だと説明してきました。
これをすべてまとめる力、5本目の柱は「親力(おやりょく)」です。塾選びにしても勉強のコーディネート(時間調整などをしながら勉強の予定、内容を調整する)にしても、塾とのさまざまなコミュニケーションにしても、子どもだけではほとんどできません。「中学受験は親の受験」といわれる理由が、ここにあります。
★重要な「親力」は「観察力」
しかし、多くの親御さんが中学受験に精通しているわけでありません。完璧に我が子をサポートしなければと背負い込むと、メンタルが持ちません。
なので1点だけ、毎日のように気を付けてもらいたいことを提案します。それは子どもを「よく観察する」ことです。子どもをきちんと観察(いちいち口を出す干渉ではありません)することは、重要な「親力」となります。
★必ずやりたい「きょうは塾で何をやったの?教えて」
例えば、塾から帰宅した時、必ず塾でやった授業内容をリピート(再現)させてください。「きょうは塾で何をやったの?教えて」「へえ、それってどういうの?お母さん興味あるなぁ」「すごい!塾で教えてもらうことは面白いね。じゃあ、忘れないうちに復習しておこうか。お風呂から上がったら10分でいいからお母さんとテキストを見よう」などなど。
仕事をしている親御さんはお忙しいとは思いますが、このひと手間で子どもが授業についていけているかが結構分かります。子どもは新しい知識を得たり、納得したものは人に、特に身近な人に話したくなるものです。
あまり聞いてばかりいると、くどくなって煙たがれますので、塩梅が難しいのですが、声がけと一緒に確認することで、一番大切な「子どもの現状」は把握できます。
遅かれ早かれ反抗期に入り、「うるさいなぁ」と反撃されますが、そうなる前にたくさん聞いて、ちょっとした変化にも気付けるようにしておきたいです。
★子どもの“現状”にキレない 改善点を分析、対策を立てよ
もう1つの「観察」は子どものテキスト、ノート、小テストのチェックです。できれば子どもに「見せて」と言って見せてもらう方がベターですが、難しそうでしたら寝静まったのを見計らって…。
ここで大切なのは「現状把握と改善のポイント」を探すことです。なので、小テストの点数が悪かろうが、漢字が雑に書いてあろうが、そのこと自体でキレたり、ぶしつけに注意したりしないでください。
それよりも問題点を放置せず、これを「観察」し、どう改善していくかの分析と対策を講じることに頭を使ってください。
★親の観察力があれば塾のアドバイスも具体的
改善の対策を講じるのに一番頼りになるのが、塾の先生です。だからこそ、塾を選ぶ際には先生とコミュニケーションを取りやすい塾を、というわけです。
この時、親御さんが子どもの現状分析ができている、つまりどこでつまずいていてどういう間違いをしているのかを実例でつかんでいると、先生との対話もより具体的になります。
「うちの子、算数ができないんです」という漠然とした質問より、「計算する際に途中の式を端折って、頭の中でやって間違うようなんです。問題用紙に途中式がないんですよ」などと話した方が具体的なアドバイスが返ってきます。
★中学受験は親の分析力で結果が左右される
子どもをよく観察することは、学校選びや志望校、併願校選びでも“威力”を発揮します。
大学合格実績や設備に引きずられず、パンフレットの宣伝文句のうち一番強調したいことはこれで、この点に触れていないということは、あまり自信がないのだな、とか、さまざまな角度から見る習慣がついて、学校の先生に個別質問をする際にも核心に迫ることができるようになります。
先述しましたが、中学受験は親の分析力で結果が左右されます。子どもの日々の学習、塾生活を通じて、この観察力を磨いてください。
次回は5本柱の“おまけ”として、中学受験に対する「ご両親の考え方」について触れます。(受験デザイナー 池ノ内潤)