中学受験国語 4年生秋にやっておきたいこと
◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・4年生の秋は「軌道修正」に絶好の機会
・音読で分かる「読解力レベル」
・問いかけで分かる子どもの思考の方向性
・子どもの思考を一度受け入れるのが鉄則
・一番伸びない「分かった」子
★4年生の秋は「軌道修正」に絶好の機会
中学受験をする約3分の2近くの家庭が通塾を始める小学3年生の2月。つまり新4年生の2月から中学受験への3年間にわたるマラソンが始まります。あれから半年以上が過ぎて、親御さんから見る子どもたちの様子はいかがでしょうか。
入塾当初の希望に燃えていた時期と違い、どうも成績が、モチベーションが…という場合は「テコ入れ」をしておく必要があります。この時期は、学習の障害になっているつまずきを取り除くのにそれほど時間はかかりません。逆にスタートして半年という時期を逃してしまうと、中長期のスパンで見なければならない状態になるので、「軌道修正」に4年生の秋は絶好の機会です。
★音読で分かる「読解力レベル」
すべての教科の基になる国語。塾で取り組む素材文の音読はしていますか。音読することの分かることの1つは「子どもの読解力レベル」です。
大概の子は文字の表面だけを追って読むことはできますが、書いてあることの意味まで分かっている子は実はそう多くはありません。なので、音読は独りでやらずに、必ず親御さんと一緒に取り組んでください。
1回で素材文すべてを読み切らなくても構いません。その代わり、親御さんが前もって読んでみて「ここの意味は分かっているかな」と、子どもに問いたいところを、子どもが読むように“仕掛けて”みてください。段落やある程度の長さを決めて、親御さんと交互に読む、なんてやり方もありです。
★親御さんの問いかけで分かる「子どもの思考の方向性」
「読んだところはどういうことを言っているのかな」と子どもに尋ねてみます。これを繰り返していると、子どもの思考の方向性が見えてきます。
読み方が自然で抑揚が正確ならば、正確な解釈をしている場合が多いです。一方で、読み方がぎこちなかったり、棒読みの場合は、内容がよく分かっていないことが多いでしょう。
「音読と問いかけ」のセットで見えてくるものはたくさんあります。文章に忠実ではなく、つい自分の感情に置き換えて読んでしまう子なのか、自分に興味のない話については、これといって何にも感情が湧いてこないタイプなのか、逆に思い込みが激しく思考の偏りが極端なのか、など「中学受験の国語の問題を解く」ということにおいては、“障害”になるところの早期発見につながります。
まだ数は少ないと思いますが、説明文についても物事の考え方に対する傾向も垣間見えるだろうし、実はまだ説明文を理解できる段階にないことなども気が付くかもしれません。
★どんな考え方を示しても子どもの思考を一度受け入れるのが鉄則
子どもの考え方の方向性は真っ向から否定しないでください。でないと、次回から親御さんに否定されることを恐れて当たり障りのないことしか言わなくなったり、読解自体に苦手意識を持ってしまいます。
「なるほど。そうだね」とまずは考えを、述べてくれたことを認めること。、1つでも2つでも着眼点の良さを指摘することが大切です。半ば強引にでも1つは見つけてあげてください。
その次に親御さんはこう思う、ということを説明してみましょう。頭から否定せず、子供の意見を認めた上で、この文章はこういうふうに読むといいよ、と「読解する上での正しい読み方」へ誘導してあげます。
★一番伸びない「分かった」子
「分かった?じゃあ次」、というのではなく、説明した後に子どもの「意見」を聞いてみましょう。「でもさぁ」と反論しようとしたり、「じゃあ、これは」のようにさらに理解を深めようとする姿勢になればしめたもの。親御さんの考え方(素材文を読解する上での考え方)に視線が向いているわけですから、じっくり対話をしましょう。
一番伸びない子は、親御さんの説明を聞いて「うん、分かった」でおしまいの子。これは主に2通りの解釈があって「国語、読解、中学受験の勉強に無関心」か「この親に何を言っても無駄」と思っているのです。どうでもいいから、早くこの時間が終わらないかな、というのが正直な気持ちです。言わなくても、今後の国語、中学受験の行く末がどうなるか、予測できますよね。
国語に限らず、親子の対話によって中学受験の成績は変わってくるものです。机の上での勉強以外でも、成績や偏差値は上げることが十分可能なのです。(受験デザイナー 池ノ内潤)