中学受験 受験終盤の家庭教師“使い方”(2)
◆受験の窓口 今日のメニュー
・学生、ママさんの家庭教師に“当たり”もいる
・家庭教師に依頼してすぐに成績がアップする子の特徴
・“良心的”か“悪徳”かを見分けるのは難しい
・不安をあおる業者は要注意
・取り組む内容をできるだけ絞っている家庭教師は信頼できる
・悠長に見えるやり方、実は一気に問題解決の近道に
★学生、ママさんの家庭教師に“当たり”もいる
ひと口に家庭教師と言っても、質としてはピンキリです。前回触れたように「プロ」を名乗っていても、簡単な筆記試験を受けただけで、登録される社会人であることが多く、肩書はかなりいい加減な派遣業者も多いです。学生さんの方が現役に近いこともあり、意外と“当たり”の場合があります。
しかも子育て、中学受験を経験した“ママさん先生”も“当たり”の場合が結構あります。やはり中学受験を経験したという財産は大きく、失敗も含めこう進めれば、というノウハウの引き出しが多いのもいい所です。特に塾のカリキュラムに寄り添いながら、わが子をサポートができたお母さんは心強いもの。子供を預ける親御さんも良き相談相手になって、受験直前には心強い存在になります。
★家庭教師に依頼してすぐに成績がアップする子の特徴
さて、世の中にはさまざまな家庭教師の派遣業者がありますが、どこのホームページを見てもチラシを見ても、成績がすぐアップするような言葉が並びます。
確かにちょっとした“ひと押し”で水の流れをせき止めていた石が取り除かれたように、成績、偏差値とも上がる生もいます。ただ、その手のタイプは、今まで自分なりにもがいて頑張って来た子です。そういう受験生が、先生の与えたちょっとしたヒントで、自分がやってきたことと、回路がつながり電流が流れるのです。
魔法がかけられたように点数も偏差値もアップしません。家庭教師の先生が助っ人として現れる前に何とか自分でできるようになりたいと努力してきた足跡を残してきた子です。中堅校以上を狙うなら、家庭教師の先生が何とかしてくれる、という「甘え」は通じません。
★“良心的”か“悪徳”かを見分けるのは難しい
家庭教師派遣業者の場合、最初は先生そのものではなく教務スタッフの人が訪問したり、応対したりして、各家庭の要望を聞くのが通常のパターンです。
その時にいわゆる“良心的な業者”か“悪徳業者”かを見定めるのは、なかなか難しいものです。結構口当たりのいいことを言う担当者は多いですから、ついつい親御さんも“その気”になってしまいます。大金を投入するわけですから、そこは慎重に吟味してほしいところです。
★不安をあおる業者は要注意
1つ言えるのは、子どもの弱点(苦手科目、単元)を次々指摘し、親御さんの不安をあおってできるだけ多くの時間(コマ数)を契約するよう持ち掛ける業者は、要注意です。
確かに弱点や克服が難しいところがあるから家庭教師に依頼するのだけれども、そう多くのことは望めないのも事実です(時間がたっぷりあれば順に攻略できるかもしれませんが)。ひどい業者になると、通塾以外の空き時間をすべて埋めてしまおうとする場合もあります。
これでは受験勉強で一番大切な復習時間が確保できず、栄養がある食べ物を口にしても消化できないという無意味な状態に陥ります。
★取り組む内容をできるだけ絞っている家庭教師は信頼できる
では、良心的な業者はどうかというと、精神的なケアを重視したり、親御さんの相談によく乗ってくれるなど、学習面以外のことで頼りになる、というのもありますが、一番は「取り組む内容をできるだけ絞っている」ということが言えると思います。
子どもの性格や学習習慣、家や学校での様子をきちんと聞き、その上で「一番何とかしたいこと」「取り掛かれば短期で何とかなること」に絞ってまずは無理のない計画を立ててくれます。加えて、必ずインプットしたことを復習する時間を多く割くことをします。
★悠長に見えるやり方、実は一気に問題解決の近道に
“できる家庭教師”は、山積する弱点や課題を一気に解決しようとはせず、まずは1つずつ障害を取り除きながら、前へ進む。同時に学んだことの復習を重視し、やったことが着実に定着するようにスケジュールを組みます。
実はこのやり方、最初は1つずつと悠長なことをやっているように見えますが、1つの問題を解決すると、それに連鎖する問題もクリアになったりと、雪崩現象のように一気に“雪解け”につながる可能性を秘めています。勉強はつまずいたら「急がば回れ」なのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)