受験直前「広告」の文言は実現可能なのか
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◆受験の窓口 今日のメニュー
・塾の「宣伝文句」
・ピンポイントで苦手克服はできない
・「無料教育相談」が意味するもの
・「驚きの成績アップ」の条件
・「いい先生」に当たる確率
★塾の「宣伝文句」
中学受験を扱っている進学塾、個別指導塾、家庭教師のホームページ(HP)やチラシなどは、本当によくできていて「ここで頑張れば成績も上がって志望校に合格できる」という感覚にさせてくれます。憧れだった合格体験記に自分の名前が載り、赤い太字で書かれた学校の横にある合格者数の数字の1人に自分も含まれている、頑張ってきてよかったな、という感慨に浸り、夢と希望を抱いて新しい中学生活へと巣立っていく子どもたちが何人もいます。
一方で「こんなはずじゃなかった」と、入塾当初思い描いたのとは全く別の結果に終わる生徒が少なくないのも事実です。「苦手克服」「驚きの成績アップ」「お子様に合った学習プランの提供」「無料教育相談」…さまざまな文言が並ぶHPやチラシ。塾も営利団体なので、インパクトのある“CM”も仕方がないのですが、親御さんはちょっと立ち止まって、その文言が「実現可能か」どういうものなのか、思いをはせてみてください。 特に入試まで3カ月、4カ月となったこの時期、わらをもつかむ思いで駆け込む家庭も多いと思います。だからこそ、冷静になって考える必要があります。
★ピンポイントで苦手克服はできない
ある塾のホームページに「ピンポイントで分からないところを分かるようにする」という意味の言葉がありました。自力で理解できないところを先生のアシストによって、できるようにすると解釈できます。
扱う問題のレベルにもよりますが、短時間で分からないところをその1点に絞って何とかできるのは、基本的に「できる子」だけだと思ってください。中学受験でいうと算数がわかりやすい例かもしれません。ある問題でひっかかっている子が、先生に解決の糸口を示してもらったり、つまずいている点を解説してもらい「ああそうか、分かった!」となるのは、それまでにある程度質量の伴った勉強をしてきた子です。 偏差値にして55以上といったところでしょうか。
偏差値50程度、それ以下の子はピンポイントで教えても、多くは理解できません。分からない、苦手というところは、そのつまずき以前に「前にやったことを理解できていない」状態が続いてきたからです。「その問題が分からない」のではなく、「その問題をやる以前から分からないことがあって、それが克服されずにここまできてしまった」というのが正確なところです。
★「無料教育相談」が意味するもの
子どもに「最適の学習プランの提供」というのも、どのようにでも解釈できます。親御さんが思い描いている「学習プラン」というのは、課題をクリアにする、できないことをできるようにすると解釈すると思いますが、塾流の解釈は方向性が違うことが多々あります。
個別塾の場合、それはいくつのコマ数(授業)を取る(申し込む)かということになります。つまり、できるだけコマ数を取るようにする流れを「学習プラン」という言葉で誘導して行く傾向にあります。どの塾でもやってくれる「無料教育相談」を通じて、“塾にとっての最適なプラン”を示すのです。
「これくらいやらないと(課題克服は)難しい」「算数だけでなく国語もやったほうがいい」などさまざまな“弱点”を示すことで、1つでも多くのコマ数を入れてもらおうとします。「学習プランの提供」は、勉強をどのように進めていったら良いのかのアドバイスではなく「コマ数をどうするかのプラン」を決める、といった雰囲気がそこには漂っています。
★「驚きの成績アップ」の条件
「驚きの成績アップ」もよく目にする「広告」ですが、そういう例もありますよ、という一例で、誰でもというわけではありません。
比較的早期に成績アップがかなうパターンとしては、それまで自分なりに頑張っていたがきっかけがなかなかつかめず塾で「ひと押し」してもらって“障害物”がなくなったことが挙げられます。全く勉強をやっていなかった子が、あら不思議、この塾に通ったら成績アップ!なんてことにはなりません。
成績が上がらないと「コマ数を増やせば」という話になります。しかし、受験はインプット以上に自力でアウトプット、解答を自力で導けるかが勝負です。先生に教わるだけでどうにかなると思っている親御さんは要注意です。
★「いい先生」に当たる確率
塾側の勧誘の文言も突っ込みどころはたくさんありますが、受講する側も大金を払うわけですから、「何をどうしたいのか」をはっきりさせてから門を叩くべきでしょう。
また、親御さんの「狙い」に応えてくれる先生がいるかどうかという問題もあります。進学塾にせよ、家庭教師、個別にしても「いい先生」に当たる確率は2割程度。「まずまず」レベルが5割くらいです。そういう割合であることを、親御さんはどこかで「覚悟」しておく必要はあると思います。(受験デザイナー・池ノ内潤)
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