中学受験 塾の「自習室」は親の期待通りなのか?
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・自習室の魅力と親御さんの期待
・社交場と化している自習室もある
・自習室がないなら自分で作る!?
・思い通りに機能するかどうか…
自習室の魅力と親御さんの期待
入塾案内に「自習室も完備」とあれば、大きな期待を寄せる親御さんは多いです。
特に親御さんが共働きの場合は、自習室の存在は助かります。
日ごろの学習だけでなく、小学校が長期休みとなる夏や冬の季節講習時に威力を発揮します。
講習の授業が午前中に終わった場合、自宅で留守番させている間、勉強しているのかゲームで遊んでいるのか、やきもきするより「自習室で勉強」となれば「よしよし」となります。
午後に講習が組まれている場合でも「時間調整」に自習室は便利。親御さんが帰宅する頃に塾を出る、あるいは迎えにいって一緒に帰宅するなどの流れになれば「理想的」です。
社交場と化している自習室もある
ただ、自習室は「諸刃の剣」ともいえます。
自習室の「価値」を決めるのは、塾側の管理です。
監督の先生が常駐する塾もあれば、張り付いていないまでも定期的に見回る塾、職員数がギリギリで、ただの「開放区」と化しているところもあるようです。
中学受験の場合、塾側がかなり徹底して管理しないと自習室は、子どもたちの「社交場」と化する傾向にあります。
コンビニで買い物したものを食べたり飲んだり(飲食禁止の自習室もある)、お笑い芸人のギャグで盛り上がる男子、女子はおしゃべり三昧となり、男子とじゃれあっているんだかけんかしているんだか…。
ようやく隣の教室で授業をしている先生に怒鳴られて静かになっても、ザワついた雰囲気は簡単に収まるものではありません。室内に「落ち着きのなさ」が漂います。
成績上位の子でもそこはまだ小学生。塾友が楽しそうなのに背を向けて勉強などできるはずもなく、ちょうど良い「息抜き」の場になることもしばしばです。
それでも勉強しようものなら、茶化されたり、中にはいじめのターゲットに…考えたくありませんが、それが「子どもの世界」の一部です。
自習室がないなら自分で作る!?
逆に自習室がない塾でも、自習室を自ら「作ってしまう」という手もあります。
あるエピソードを1つ。
首都圏の最難関中学を複数合格したある男子の塾の使い方は「独自路線」でした。
自習室がない進学塾へ通っていましたが、夏期講習中、夕方になると空き教室があることを知り、授業終了後は先生への質問も兼ねて塾が閉まる寸前まで「私設自習室」として残って勉強していることが多々ありました(もちろん塾の許可はもらって)。
多くの子は授業が終わると帰宅。プールへ行ったり、中には別の個別塾と「ダブルヘッダー」という強者もいたようですが、この男子、軽食を食べた後、時々同じように自習する仲間がいるものの、空き教室をほぼ独占していました。
分からないことがあると、授業が空いている理科の先生に算数を質問するという「荒業」も駆使するなど、さながら無料で個別授業を取っているような状態でした。
冬期や春期もその調子でやっていましたが、いつも残って勉強していることを知った他の塾生たちが、6年生の夏になると集まり始めました。
当初はやる気のある子だけだったので、「仲間が増えた」とまんざらでもない男子でしたが、徐々に勉強は二の次で、ゲームを持ってきたり、お菓子をボリボリ食べたりするばかりの子が増えると、もう無秩序に。
先駆者だった男子は「もはやこれまで」と“自習室”から撤退。質問があるときは、授業前に行ったり、終わってからピンポイントで聞いて、いち早く塾から消えて自宅学習に切り替えました。
「私設自習室」とその潮時を知っていたこの男子、塾を「お値段以上」に使い倒し、堂々第1志望に合格しました。
思い通りに機能するかどうか…
親御さんの中には大学受験の際に現役浪人問わず、予備校の自習室や図書館などで受験勉強をよくしていた、という記憶がある方も多いでしょう。
あの熱気、あの集中力たるや、その世界以外の人が見れば、怖くて近寄りがたい雰囲気を醸し出していました。
そのイメージで中学受験塾の自習室を想像すると、がっかりするケースの方が多いです。
まだ10歳から12歳の子どもですから「幼い子」が大半。先生がいない、子どもだけの部屋で騒がしくなるのは、無理もありません。
自習室は通塾を考えている親御さんには「魅力的」ですが、それが思い描いた通りに機能するかどうかは分かりません。
共働きの親御さんなどは、短絡的に「自習室があるから」などの理由で塾選びを進めず、さまざまな可能性を吟味してから、というのが大切です。
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