中学受験 特待生入試の実態と「その後」
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・「募集極少、偏差値高騰」の入試
・偏差値を上げるイメージ戦略
・特待生入試の実態と偏差値
・「特進クラス」のその後は…
「募集極少、偏差値高騰」の入試
中学入試はたった1回しか入学試験のチャンスがない学校もあれば、4回、5回と入試機会がある学校など形態はさまざまです。
複数回の入試がある学校の中には1回の募集が10人とか5人とか「かなり少なめ」の学校もあります。
多くは「特待生入試」や「アドバンスト」のような選抜クラスを狙う生徒用の入試という「看板」が掲げられています。
こういう特別入試の偏差値は、受験生が一番集まる第1回入試のような「メイン」の試験より、合格可能性80%偏差値が「高く」出ます。
メインの入試より、偏差値が2~3ポイント高いのが「相場」。学校によっては5ポイント以上、10ポイント近くの差があります。
偏差値を上げるイメージ戦略
「偏差値高騰」の仕組みは簡単で、合格者数を絞っているため、持ち偏差値の高い子が合格している割合が多いからです。
受験終了後、各進学塾が入試結果をまとめて「結果偏差値」を出すと「受験者多数、合格者少なめ」の回は、どうしても80%偏差値は高くなります。
私立中学の難易度を示す物差しである偏差値を語る場合、その学校の代表偏差値として親御さんに認知されやすいのは「多数の受験者数、多数の合格者」の回ではなく、「一番高いポイントの偏差値の入試」です。
1回目入試の結果偏差値(合格可能性80%偏差値)が「55」として、複数回入試をやって一番結果偏差値が高かったのが「60」だとすれば、その中学は「偏差値60の学校」という認識を周囲は持つ傾向にあります。
中高一貫校の多くが入試回数を「小分け」にするのは、入試機会を多くして受験生にチャンスを与えているのと同時に、学校の評価として認知されやすい偏差値を上げることによって、「イメージ」を良くするという戦略があるのは否めません。
特待生入試の実態と偏差値
コースがいくつもあったり、入試が5回も6回もある学校に実際入学する子はどういう生徒なのでしょうか。
一番多いのが1回目入試=募集人員が一番多い入試で合格した生徒です。
第1回入試は普通「第1志望入試」とも言い換えることができます。
特に2月解禁の東京・神奈川入試はその傾向が強いです。合格後、入学手続きをする割合も高い(歩留まりが良い)のが特長です。
その後に行われる「特待生選抜」の入試はというと、特待合格して進学する子もいるにはいますが、実はそう多くはありません。
特待合格には届かず、一般合格扱いの「スライド合格」組の方が入学している数は軒並み多くなっているというのが「実態」です。
10倍前後の高倍率の中で特待合格する受験生は、最難関、難関校に合格する力がある子が多く、別の中学へ進むケースが多く見られます。
いわば中堅校の「特待生入試」が「押さえ」になっているということです。
学校の「看板」になるはずの特待生入試は、入学する生徒を確保するというよりも、学校の偏差値を上げて「イメージアップ」を図っている、とみられても仕方のない学校があるのも事実です。
私立中高一貫校も「生き残り」に必死です。
「特進クラス」のその後は…
中高一貫校の中には、6年後の大学進学の目玉である「特進クラス」や「アドバンストクラス」の存在を強調するケースもよくあります。
ただ、結論から言うと、一部を除いて「効果を十分に発揮している」とするには無理がある学校もあります。
「東大クラス」という冠が付いていながら、何年に一度くらいしか合格者が出ないとか、早慶合格者計10人は2人の生徒が複数学部に合格して出した数字だった、国公立、難関大合格組は高校入学組が7割、などの「実態」は「私立あるある」です。
特進ではなく、一般クラスから東大に合格したという中堅校もあります。
一般クラスの方が学校からの補習や講習の「縛り」が緩く、大学受験を自分なりにカスタマイズできることによって、効果的な勉強ができ、現役合格したといいます。
「面倒見のいい」学校は大学進学に対して、あらゆる勉強の機会を用意してくれます。
季節講習、連日の小テスト、放課後の補習、勉強合宿、日記のように付ける勉強計画手帳…至れり尽くせりと、親御さんは「歓迎」するかもしれません。
しかし、裏を返せばこれくらいしないと、生徒を勉強しないという「信用のなさ」からの「縛り」ともいえます。
高校生にもなれば、目標を持って勉強をする子は学校指定の「手帳」に学習計画を書かなくても、学校主催の講習会に参加しなくても、自分で道を切り開きます。
逆に高校生になっても「手取り足取りじゃないと…」という子は、「行きたい大学」ではなく「行ける大学」止まりになりがちです。
中高一貫校の「魅力的な進学サポート」は、一度引き取って冷静に、という姿勢が必要です。
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