中学受験 「Fラン大学」附属へ進学の利点と難点
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・4割超の大学が「Fランク」
・附属でもスタンスは「進学校」
・雰囲気は「無理せず入れる大学」
・入学後に気づく「晩成型」は強い
4割超の大学が「Fランク」
「Fランク」(えふらんく、略称Fラン)という、大学受験の世界でよく使われる用語があります。
正確には「BF」(ボーダーフリー)という言葉で、入学試験はあるものの志願者が少なすぎて、願書を出せばまず合格できるような学校で、合格の目安である偏差値によって格付けできない、ということです。
大学受験の大手予備校「河合塾」が偏差値ランキング表に「BF」と記したことが始まりとされます。今や日本の大学の4割超が「願書さえ出せば合格できる」、「高校までの学力は問われず入学できる」Fランの部類に入るといわれています。
附属でもスタンスは「進学校」
「Fラン」に分類される大学でも、付属の中高一貫校を抱えているところがあります。
中学入試でも「BF」かと言えば、一概にそうではなく大手進学塾や首都圏模試では合格の目安である偏差値が付いているところが大半です。
ただ、偏差値ランキングの上位かと聞かれれば正直「うーん、そうですねぇ…」となってしまいますが、毎年一定数の志願者を集めています。
中高一貫の大学附属校(系属校なども含む)は一般的にそのままエスカレーター式に上の大学へ進学するコースをたどります。
慶應義塾や早稲田はほぼ100%(早稲田中高は半数程度)、明治や法政などは8割強から9割、大学推薦の権利を持ったまま他大学受験が容認されている日大系では3割から7割が日本大学へ進みます。
大学が「BF」に分類される中高一貫校ではどうでしょうか。調べてみると併設の大学へ進むのは「数えるほど」というのが実際です。多くが他大学を受験、あるいは推薦入学を果たしています。
学校側も上の大学へそのまま、というコースは推奨している気配はなく、「進学校」としてのスタンスをとり、受験指導に力を入れています。
そのため少人数制の「特進コース」や「アドバンスクラス」などの「選抜」クラスを編成し、補習体制を構築、先生方の熱意も中学受験で人気校といわれる「偏差値の高い学校」に引けをとりません。
中学受験の説明会では「面倒見の良さ」を強調、手厚い指導を売りにして親御さんの関心を集めます。
雰囲気は「無理せず入れる大学」
学校側はとても頑張っているところが多いのですが、肝心の進学実績をみてみると、国公立大学や早慶、GMARCHとも決して多いとは言えないのが現状です。
中には現役で合格した人数は指定校推薦とほぼ一致という一貫校もあります。一般受験組が半数を割り込み、推薦でどこかに決まらないと、併設の大学へ行くか、あてもなく浪人するケースが目立ちます。
複数の学校を見て感じることですが、学校や先生が頑張っても、主役である生徒の方から総じて勉強に対する「力強さ」が伝わってきません。
「ほどほどに、傷つかない程度」の勉強をして、「無理せず入れる大学へ」という「ユルい」雰囲気が漂っている気がします。
「ぬるま湯」の雰囲気が心地よいため、多くの生徒が湯船から出ることなく(周囲の子も出る気配がないので)、進路を決めるころにはすっかり「ゆでガエル」に。頑張ろうにも気力が付いていかない状態になってしまうのです。
「面倒見が良い」とは、裏を返せば、先生たちが課題を出し「勉強しなさい」とお尻を叩かなければ、走り出さない(走り出せない)生徒ばかりともいえます。
受験勉強のカリキュラムを組み、学習手帳に勉強計画を記入させ、学校で行う補習・講習は半ば強制参加、というようにしないと、少数でさえ難関・人気大学の合格実績が出ない可能性が高いのです。
中学受験の難関校が大学合格実機も良好なのは、学校に尻を叩かれるよりも、自己の目標を持っている子が割と多いこと、中1のころから5年間見ている「先輩」の姿が影響を与えているという2つの理由が主にあります。
部活動も頑張ったけど、勉強もやるときはやって現役合格をした先輩、スタートが遅かったばかりに巻き返しができなかった先輩、ズルズルと落ちて「深海魚」のままだった先輩…。
さまざまな「スタイル」をみて「ああなりたい」「こうなるとヤバいな」など、自分に置き換えて考える環境が意識せずともそこにあり、加えて同級生の姿にも刺激されることもあって、勉強の進め方、進む大学を自分なりに考えるようになります。
雰囲気の「ユルい」附属校、中堅・一般校が一生懸命受験対策をしているのに、実績が今ひとつという場合は、逆に面倒見が良すぎて生徒自身が考える機会や時間が少ないのかもしれません。
「もう少し生徒が息を吸いやすいようにすれば…」と思うことも多々あります。
入学後に気づく「晩成型」は強い
ただ、そんな「ユルい」雰囲気に背を向け、独りでも立ち向かう「勇者」も出てきます。「さて、自分は今後どう進んだら…」と自分でハッと気がついた子が、自ら積極的に勉強に取り組むケースです。
心身の成長とともに勉強も「気がついて走り出す子」というのが必ずいます。中学受験では熟していなかったものの、このタイプの晩成型は「粘り強い」のが特長です。
塾に通い、難関校に通う生徒らの間で「もまれて」学力を高める挑戦者、オンライン予備校でオリジナルのスケジュールで独自の勉強を進める子もいれば、学校先生を味方につけて質問や添削を頼み力をつけていく子…スタイルはそれぞれです。
中堅、一般校から現役で東大や難関国公立、早慶に合格しているのは、推薦入学以外だと、このような晩成型の「独自路線」組が多いです。
入学した学校は偏差値的に見て低くても、晩成型の生徒は、難関中学に入ったことだけで満足している生徒や、学校の勉強についていけなくなり「深海魚」になってしまった生徒を簡単に逆転します。
中学受験で「偏差値のそれほど高くない学校」へ進むことは、決して悪いことではありません。
学校の授業や課題で「余裕」があれば、学校の行事や部活動を楽しみながら、勉強にしても指定校推薦を狙えますし、気が付いて自分に向き合ったときに、独自の道が見つかり、それに応じた勉強に舵が切れます。
「6年後が勝負」という位置づけをすれば、難関中学に入ることだけが、希望する大学、進路への「近道」ではないのです。
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