中学受験「日曜特訓」で合格力を上げる(2)
◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・「冠付き」講座は15校程度
・新作問題はうれしい だけど「やり過ぎ」も
・一歩踏み込む 難関コースや上位校コースの有効な使い方
・早い時期から「日特」を意識して戦略を
・だから5年生までが大事 日特を考えると受験全体像が見えてくる
★「冠付き」講座は15校程度
「日曜特訓」で学校名の付いた「冠付き」の講座の数は塾によって違いますが、主に男女合わせて難関校とされる中学を中心に20校程度といったところです。
男女御三家に早慶(早稲田系なら東京の3校、慶應系も3校まとめてというところと、学校別のところとそれぞれ)、駒場東邦やフェリス、渋谷幕張、栄光学園、聖光学院などが主だったところで、筑波大附属駒場(筑駒)は開成クラスに組み込まれ、同時進行で対策をします。
★新作問題はうれしい だけど「やり過ぎ」も
「冠付き」の講座は、国語と算数を中心にそれぞれ独自色が強い出題傾向にあるため、徹底してその学校に沿った授業を進めます。メインは過去問研究ということになりますが、塾によっては予想問題を兼ねた「新作問題」を売りにして授業を展開しています。
過去問は同じような形ではほぼ出題されないので、新作問題は興味を引きます。一方でテキスト製作者が張り切ってしまい、いささか「やり過ぎ」の難問もあって、それができなかった受験生を不安にさせる要素もあるので、メリットばかりではありません。
★一歩踏み込む 難関コースや上位校コースの有効な使い方
難関校に次ぐ上位校が第1志望になる子は、この時期どういう選択になるかというと、塾内のテストの偏差値順にクラス分けされる「難関コース」とかそれぞれ弱点補強を目的としたオプションコースを選択したりします。日能研では上位校の「冠付き」コースも豊富で、男子なら海城や芝、本郷、女子なら鴎友や吉祥女子、洗足などの対策講座もあり、他塾にはない選択肢は魅力的です。
ただ、塾の看板である難関校の「冠付き」とは熱の入れようは微妙に違い、過去問研究と言っても、過去問を解いて答え合わせ程度の講座もあるようです。難関コースや弱点補強では、自分の志望校とは傾向の違う問題に取り組むばかりで効果的とは言いにくい場合も多々あります。
この種の「日特」を効果的に使うには、先生との密な連携をすることです。授業中にその回のテキストの内容をすべて終わることはないので、残った問題や課題のどこを家で取り組めばいいかを先生に尋ねます。子どもが聞きづらいのならば、親御さんが事前に電話を入れておくなり、手紙やメモを添えるなりして先生側に積極的にアプローチしてください。
課題を提示してもらうだけでなく、記述問題の添削、質問で理解不十分な箇所の解説もお願いしてください。先生も入試直前で何かと多忙かとは思いますが、わが子の入試成功には代えられません。親御さんが一歩踏み込んでください。逆に言えば、先生は忙しいからこそ、こちらからアクションを起こさない限り、何もしてくれないのです。
★早い時期から「日特」を意識して戦略を
5年生以下の親御さんは入試から逆算して、入試直前の肝になる「日曜特訓」について早い段階から意識しておくことをお勧めします。「日特」で最後の詰めをすることで、合格圏内の子はより確実に、ボーダーラインの子は最後のひと押しで合格を勝ち取るわけですから。
志望校に応じて、最後の5カ月間の過ごし方は変わってきます。「日特」に通わない、という選択もありだと思います。その場合は、家庭か別の場所で過去問対策をはじめ、最後の詰めができる環境を用意しなければなりません。
親御さんが責任をもってゴールまで勉強を見てあげられるのか、家庭教師や個別に頼むにしても、お任せして十分信頼できるのか、など、塾のカリキュラムとは別路線を進むわけですから、それ相応の準備と戦略が必要です。
★だから5年生までが大事 日特を考えると受験全体像が見えてくる
それまでに子どもの持ち偏差値が志望校にかなり足りなかったり、実力不足がはっきりしている場合は、そういう戦略も立てられないまま、志望校を下げるなど、消極的選択しか道はなくなってきます。
6年生での頑張りが、成績や偏差値の伸びに簡単に結びつかないことを考えると、5年生までの頑張りが進む道をある程度決めてしまうのです。
入試で合格、日特の取り組み方…受験のクライマックスから中学受験のロードマップを作成すると、6年前半や5年生、4年生をどう過ごしたらいいかが大まかながらも見えてきます。5年生までの頑張りと、6年はそのペースを継続していくことで、6年終盤の大切な時期にやることは絞られてきます。的を絞ることができれば「当たる」確率は高くなります。
6年後半は偏差値が高く、成績優秀の子でも「あれもやらなきゃ、これも」状態になりますが、ある程度絞れていれば、慌てずに済みます。入試成功の極意は「慌てずにコツコツ」。日特のことを考えると、受験の全体像が見えてきます。(受験デザイナー 池ノ内潤)