中学受験 丸付けの中の▲印と“独立”
◆受験の窓口 今日のメニュー
・「▲」は“ワケあり正解”に付ける
・「▲」でラッキーとヤマ勘正解をなくす
・「▲」を放置しない親御さんの丸付け
・「▲」を解決すれば「レ」も解決へ
・親御さんの丸付けから“独立”
★「▲」は“ワケあり正解”に付ける
赤丸、青丸の使い分けの次は「▲」印です(△でも構いません)。これは「正解はしたけれど、実は自信がなかった」「正解はしたけれど、実はヤマ勘だった」など、“ワケあり正解”に付けます。これも×の「レ」と同じように左上にでも付けておいてください。
中学受験はこの「▲」を自信をもって正解できるようになることが、成績を安定させ、一段、二段高いレベルのステージへ上るカギになります。逆にこれを「正解だからまあいいでしょう」と放置しておくと、成績は足踏みし、手応えのないまま時間が過ぎ、入試を迎えるという残念な中学受験になる可能性が高くなります。
★「▲」でラッキーとヤマ勘正解をなくす
具体的には算数、国語をはじめ、理科、社会は選択肢問題で理由を問うもの、正誤問題などにも威力を発揮します。
算数ではしっかりした根拠がなく、「なんとなくこうかな?」と思って数字を“置いてみた”ら、「当たった!」(正解ではないとこがミソ)という問題に▲を付けます。「ラッキー、やったね」が許されるのは入試当日のみです。それは今まで頑張ってきた受験生への、神様からのご褒美ですから素直に喜べばいいのですが、勉強中は見逃してはならないところです。
国語の選択肢問題でも、4つ選択肢があれば2つくらいに絞れるケースは多いのですが、最後は「ヤマ勘」でやっている子どもが多いと思います。根拠なく選択肢を選び、正解しても▲を付けてもう一度文章中の中から「解答の根拠」を見つける、目の付け所を勉強してください。国語の読解は素材文は違えど、解答の根拠を見つける力がつけば、どの文章でも使えます。少しでも解答の根拠があいまいなら「▲」をつけて、文章の中から探し出す訓練を積極的にしましょう。まずは的外れな答えをしても恐れずに。国語=勉強の仕方がない、から脱却できます。
★「▲」問題を放置しないための重要な親御さんの丸付け参戦
「▲」を付けた問題は「レ」と同様に、解答解説を見てなぜ間違ったのかを確認します。日にちを少し空けてコビーしておいたものに解き直し、正解すれば青丸を、2度目もしっかり分かっていないとなれば2つ目の「▲」を付けます。2回目、3回目の▲は塾の先生に質問して解決します。「ここまでは分かったし、考えたけれども」と必ず自分の「道筋」を示すことが大切。すると先生は多くの場合、ピンポイントで解決法を示してくれます。
「レ」も同様なのですが、解き直して正解すれば、親御さんに解答までの「道筋」を説明します。それを聞いて親御さんが「いける」と手応えを感じれば青丸となります。青丸はそこでおしまいではなく、また日をおいて復習です。受験勉強はインプット以上に自力でどれだけアウトプットできるかが勝負です。
「合っていたんだからいいじゃん」。勉強するとは何たるかのかけらも知らない子だけで丸付けをすると、必ずと言っていいほどそちらの方へ流れます。ただでさえ宿題や課題が多い中で、少しでもやることは少なくしたいという気持ちが働くのは当然です。危機感が一番低いのが実は受験生本人です。だから、親御さんの「丸付け参戦」が大切になってくるのです。「レ」よりも「▲」を確実に「〇」になるようにするのが、優先順位としては高くなります。受験は「あやふや」「うる覚え」をしっかりケアすることが合格への近道になります。
★「▲」を解決すれば「レ」も解決につながる
「▲」問題をしっかり解き直しているうちに、「レ」問題もできるようになることが多々あります。さまざまな「あいまいさ」がクリアになり、それが他の問題にも連動するからです。電気回路でいえば、1カ所不具合があって何カ所も通電しなかったものが、そこの問題を解決すると、すべて通電するようなものです。「レ」以上に「▲」こそ、注目したい印かもしれません。
★親御さんの丸付けから“独立”
そうやって丸付けに親御さんが加わり、勉強習慣、勉強体力が付き、受験から逃げない姿勢が確立していったら、親御さんは丸付け自体を徐々に子ども本人に任せるようにします。いつまでも親御さんばかりがけん引していると受験が「他人ごと」のままで、真剣になれないまま本番を迎えてしまいます。受験を「自分ごと」にしていくには、“独立”が一番です。テキスト管理や受験手続などはマネージャー役でもある親御さんがやるのですが、勉強を、受験をするのは子どもですから。
ただ、観察だけは怠らないようにします。場合によっては、時々「助っ人」として参戦できるよう、親御さんの中学受験の勉強は継続です。たとえ出番がなくても備えておく。中学受験で真剣勝負をしようと思えば、親御さんはどこまで行っても覚悟が必要です。(受験デザイナー・池ノ内潤)