中学受験 偏差値が必ずアップする質問の仕方
◆受験の窓口 今日のメニュー
・塾選びは知名度や実績より「質問のしやすい環境」で
・第三者に質問するにしても「仕方」がある
・「どこまで分かるか」をはっきりさせることの意味
・質問に行けない理由は“自信”のなさ
・質問する子は3割 “放置”なしで偏差値は確実に上がる
★塾選びは知名度や実績より「質問のしやすい環境」で
塾で先生に質問するのが苦手で、親御さんがその代わりに答えていたとしても、親子なら言いたいことも言い合うことになり、「何でこんなことが分からないの」「もうお母さんには聞かない!」など、親子バトルになってしまうこともしばしば。中学受験は時間との勝負でもあり、親子バトルは無駄です。悪循環になるようでしたら、質問は第三者に任せてしまうのが上策というものです。
第三者にあたるのが塾や家庭教師、個別指導などでしょう。塾を選ぶ際に塾のネームバリューや合格実績より、質問しやすい環境かどうかを吟味することは、子どもの入試結果を大きく左右する生命線です。
家庭教師や個別指導も先生の出身大学や合格実績よりも、つまずきがある際に、根気よく丁寧に質問に答えてくれるか(実際にはやってみないと分からないのですが…)で、学習の進み具合も、偏差値の伸びは全く違ってきます。
そのあたりの判断は、親御さんの「目利き」にかかってきます。
★第三者に質問するにしても「仕方」がある
ただ「質問の仕方」というものがあって、「全然分かりません」と持って行ってやり方を教わったとしても、ほぼ頭の中には残っていません。大切なのは、自分で考えて「どこまでが分かって、どこからが分からないのか」をできるだけはっきりさせて、教えてもらう人に「ここが分からない」という部分を示すことです。
「全然わからない」と子ども主張する場合でも、子どもなりに描いている”攻略法”があるはずです。それが正しいやり方かどうかは問いません。あくまで自分が解答を導くための方針を立てようとしているかどうかが、問題を解くうえでの第一歩になるからです。
★「どこまで分かるか」をはっきりさせることの意味
例えば、国語の記述問題。「~はどういう気持ちでしたか」という問いで、100字程度で答える問題があったとします。100字で答えることは難しいとしても、「●●は悲しい気持ちになった」くらいは分かる(書ける)ことが多いと思います。すると、全く分からないのではなく、部分は分かっているので、あとは●●が悲しい気持ちになった「理由」を探してみよう、となります。
そうすると、読み(読解)が甘くて理由が探せていないのか、理由は分かっているのだけれどどう表現していいか(文を伸ばしたり、短くしたり)が難しいのか、あるいは素材文の中の言葉の意味が分からずつまずいていたのか、次の段階で原因が分かってきます。つまずいているポイントが見えてくれば、教える側も「それはね」とより具体的な説明ができるし、次に別の問題にあたった時もそこを注意しながら指導してくれます。
算数でも間違っていてもいいので「僕はこういうふうに解こうと思っている」というのを示すことが第一歩です。「どこまでなら分かるのか」をできるだけはっきりさせることで、質問の効力は変わってきます。まずはどこまで自力で分かるのか、ここから「質問」は始まります。
★質問に行けない理由は“自信”のなさ
長時間勉強しても、たくさん問題を解いても、人気講師に教えてもらっても、成績も偏差値も一向に挙がらない理由は「自分で考える勉強をしていない」からです。
自分で考えることを常にしていれば、疑問もわくし、どうしても分からないところが出てきても不思議ではありません。その時に質問です。しかし、質問する子どもの方も「これだけ考えた(勉強した)」というものを見せなければ、先生にぶつかって行きにくいものです。多くの子どもにとって、質問は敷居が高いというイメージを抱いているのも、自分で考え抜いたという、ある意味“自信”がないからです。
考え抜いて「分からない」と質問に来た子どもを先生は決して笑ったり、しかったりしないはずです。自分で考えた末に解決できなかったら、迷わず質問しましょう。
★質問する子は3割弱 “放置”なしで偏差値は確実に上がる
実際に通塾している子どもでも先生をつかまえてよく質問する子は全体の3割もいません。半分近くが「全くしたことがない」という調査結果もあるくらいです。しょっちゅう質問すればいいというのではありませんが、分からないところを放置せず1つ1つ解決していくという勉強の進め方は、回路を電流がスムーズに通るのと一緒で、途中で故障しません。
受験で故障がないということは、弱点がないということです。こうなると、過去問がどうだとか、傾向がどうだとか考えずに「どこでも好きな学校を受験できる」という王道を突き進めます。偏差値を高くするということは、あれこれ心配せずに行きたい中学校にトライできるのです。
質問ができる、質問に行ける“学習体質”の子どもに親御さんは導けるようにしたいものです。(受験デザイナー・池ノ内潤)