中学受験 ボーダーラインの天国と地獄の差
◆受験の窓口 今日のメニュー
・入試は半数の受験生が「やってみなければ分からない」
・1点に泣く受験生は「だいたい7〜12人くらい」
・合否線上の受験生が合格圏に突入する2つの模試復習法
・ケアレスミスこそ絶対見逃すな
・なぜ、算数で一番点差が開くのか
★入試は半数の受験生が「やってみなければ分からない」
難関校、上位校の場合ですが、中学受験の入試では合格者の半分程度が2度目の試験をやったとしたら、合格者が入れ替わると言われます。A判定=合格可能性80%以上の受験生は、せいぜい2割強程度。箸にも棒にもかからないレベルが、3割弱程度。半数の受験生が「やってみなければ分からない」という状況で入試に臨みます。
合格判定が40~60%未満の、つまり当落線上のボーダーラインに密集しており、この受験生たちが鉄板合格を除いた合格者の枠を取り合うわけです。合格最低点付近での争いは本人たちには自覚がないものの、し烈な戦いになっているのです。
★1点に泣く受験生は「だいたい7〜12人くらい」
合格最低点に1点足りずに涙を呑む受験生はどれくらいいるのでしょうか。その回、その回の入試で人数は全く違いますが、ある男子難関中学では「だいたい7〜12人くらい1点足りずに泣いている」という答えが返ってきました。漢字1つ正解したか、間違ったかによって天国と地獄の差、第1志望合格なのか他の学校なのかという現実がそこには待っています。
漢字の止めはね、算数の計算をした際の解答欄への移し間違え、理社の記号の転記ミス…多くの受験生が「ケアレスミス」などと言って3年間の受験勉強で放置してきたことが、最後の最後、一番肝心要の入試本番で取り返しのつかない結果を招くのです。
★合否線上の受験生が合格圏に突入する2つの模試復習法
11月以降、志望校に対してボーダーライン上の受験生は「できない問題」に取り組むのではなく、「手を伸ばせばできそうな問題」とケアレスミス徹底撲滅に一番力を入れてください。これだけでボーダーから脱出し、「合格圏」のB判定、人によっては「合格確実圏」のA判定にまで成績をアップすることも可能です。
模擬試験でいえば、正答率の高かった問題(目指す中学にもよりますが、最低でも正答率50%以上)を徹底的に復習し、正解になっていても偶然、よく分かっていないけれど〇になったものを理解できるまでやることが第一です。次に正答率50%以下でも、自分にとってはできそうだなと思う問題を1つずつ潰していきます。こうやって少しずつですが得点力を上げて力を付けていきます。
★ケアレスミスこそ絶対見逃すな
偏差値の高い、難関校を目指す受験生でも「ケアレスミス」といわれる類のものはなかなか減りません。本当の意味での1点の重みを痛感する場面がなかなかないからです。
小 テストを積み重ねても、模擬試験でもミスしても「ああ、ゴメン、ゴメン」で済ませてしまいます。親御さんも「次、気を付けるのよ」ぐらいでそれほど深刻には受け止めません。むしろ空欄の全く手つかずの問題に目が行き「全然できてないじゃないの!」と血相を変えます。
これは深刻になる“問題”が違います。ケアレスミスといわれるものこそ、徹底的に復習してください。漢字のミスにせよ、計算ミスにせよ、放っておくとクセになって入試本番の緊張状態の中では必ずやらかします。先ほど言ったようにその1点が足りないばかりに不合格になるのか、細部をこだわってミスをなくしたからこそ合格最低点を超えることができたのか、天と地の差になります。
★なぜ、算数で一番点差が開くのか
ケアレスミスの連鎖は大量失点にもつながります。算数は計算で間違えてしまえば、いくら考え方の筋道が正しくても大問で正解に到達しません。1問5点とか7点という問題を落とせば、本来なら受かる学校も…ということになります。算数が入試の合格者平均と受験者平均の差が一番大きいのは、難しい問題ができたかどうかではなく、きちんと計算すれば正解に至る問題で、軽視しがちな「ケアレスミス」をやる子とそうでない子がいるからです。
合格者と不合格者の差はそんなに大きいものではありません。今からでも遅くないので、ケアレスミスは重大ミスという気持ちで、残りの日々の勉強を進めてください。流れは変わってきます。(受験デザイナー・池ノ内潤)