農大系と東洋大系 コロナ禍入試で志願者増減を分けたもの

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・コロナ禍の入試での志願者
・農大一中、高偏差値も2年で31%増の理由
・コロナ禍の安全志向にマッチし志願者増
・東洋大京北「ジェットコースター入試」の理由
・東洋大へ約4割進学 22年度は志願者増期待

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★コロナ禍の入試での志願者
 好調に志願者を集めていた大学附属系の中学がコロナ禍の入試で一方はさらに志願者を増やし、もう一方は大きく減らしました。要因は何だったのでしょうか。そこには受験生の微妙な心理が働いていたようです。2つの中学校の例で見てみましょう。

コロナ禍の入試で明暗を分けたものは…

★農大一中、高偏差値も2年で31%増の理由
 男子を中心に3年連続で志願者数を伸ばしたのが東京農大第一高校中等部(東京都世田谷区)です。21年度の志願者数は3回の入試で2178人、前年比15%増となりました。増加に転じた2年前の19年度入試に比べも31%増となっており、人気は継続しています。

 偏差値で見ると男子59、女子が62(四谷大塚の合不合格判定テストの80%偏差値、2月1日)と高いにもかかわらず、人気なのは3つの要因が考えられます。1つは「午後入試」というトレンドに乗っていること。農大一中では全3回の入試のうち、2月1日と2日の2回を午後に割いています。1日や2日は、午前中に受験する学校の絡みもあって午後にどこを受けるかという戦略がカギになりますが、その中で2日間午後入試があるのは受験生にとっては嬉しい限りで、選択肢の幅が広がります。

トレンドに乗った農大一中

 しかも科目選択ができ「受けやすい」というのが2点目。20年に2回目入試で、「算数と理科」の2科入試だけでなく、「算数と国語」のパターンも導入。21年度から1回目入試も4科入試をやめ、このパターンにすると、1回目の入試で男子38%、女子12%それぞれ志願者が増加しました。入試の負担を軽くしたことで受験生の気持ちをつかみました。

★コロナ禍の安全志向にマッチし志願者増
 志願者が増えたにもかかわらず、実質倍率がほとんど変動しなかったのも受験生には選びやすかった一因になったようです。1回目の入試は19年の場合男子が2.1倍、女子が1.9倍でしたが、同20年は男子2.2倍、女子1.9倍。受験者が増えた分、合格者も増えていることで、受験生が安心して出願に踏み切れたことが志願者増につながりました。

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 21年度も1回目入試は男子2.3倍、女子2.0倍と安定。連日の午後入試、科目数を減らしての時間短縮、倍率が変動しない「安全志向」の入試…どれをとってもコロナ禍での入試として選ばれやすい要素がそろっていました。

 東京農大への進学より、他大学進学が圧倒的に多く、ここ数年は東大、京大にも合格者を出し、推薦枠も早稲田4、明治5、青山学院8と充実している点など、選ばれる要素が満載で、22年度入試も人気校の1つになりそうです。

志願者が増えても合格者を絞らないのは受験しやすい

★東洋大京北「ジェットコースター入試」の理由
 一方、人気校であるがゆえにその反動も大きく、21年度入試で志願者が激減したのが東洋大京北中(東京都文京区)でした。21年度入試は計5回の試験で1582人が志願しましたが、前年比22%減。19年度に一気に前年の2倍以上の志願者を集め、20年度も4%増と推移してきましたが、21年度はすべての回で男女とも前年比マイナスとなりました。特に男子の減り具合が大きく、前年比32%減という数字は衝撃です。志願者が急増したり、急降下したりジェットコースターのような3年間でした。

 最大のネックとなったのは、年々厳しさを増す入試、実質倍率の高さです。20年度入試の1回目(2月1日)は男子が4.7倍、女子が4.2倍となり、募集人員60人に対して合格者73人と限りなく定員に近い数字でした。第1志望の志願者が多いとの予測から合格者を絞ったことが見て取れますが、これは受験生にとって心理的にキツいことです。2月2日の3回目入試も男子は8.8倍、女子9.8倍で、最後の2月4日にいたっては募集20人に対して合格者はぴったり20人。志願者がいなかったのではなく男子は16.6倍、女子は17.2倍という激辛の入試でした。

東洋大京北はジェットコースターのような入試に

★東洋大へ約4割進学 22年度は志願者増期待
 ここまでタイトな入試になるとチャレンジ組の多くは他校へ流れ、偏差値的に余裕はあっても熱望でなければ、「安全志向」の入試では回避する方向を選ぶでしょう。四谷大塚の合不合格判定テストでの80%偏差値は20年が45で、21年は46と上昇してはいるものの、驚くほどではありません。やはり実質倍率の高さで、受験生が二の足を踏むことになったのでしょう。

 東洋大学への内部進学は40%弱。他大学受験も積極的に取り組んでいますが、まだ発展途上という感じが否めません。21年度の実質倍率はまだやや高いとはいえ、概ね他の中学校並みになりました。22年度入試は志願者増へ転じる可能性は大いにあります。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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