慶應系中学への道 合格の肝は「4科高得点」

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男子は難関、女子中等部は超難関
・普通部の入試は平易 高得点勝負
どうする体育、面接、志願書
・厳しい…高校留年は珍しくない

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男子は難関、女子中等部は超難関

第105回全国高校野球選手権で神奈川の慶應義塾高校が、昨夏の覇者・仙台育英(宮城)に8―2で快勝し、全国制覇を達成しました。

前身の慶應普通部が全国優勝したのが1916年(大正5年)の第2回大会ですから、年数にして107年ぶりの快挙です。

通称「塾高」といわれる慶応高校ですが、1学年約800人のうち半数は高校受験組ですが、残りは系列中学からの持ち上がりです。
塾高に直結する「普通部」から250人弱、東京の「中等部」から150人程度が進学します。

中学受験での「慶應系」の立ち位置は、各大手進学塾が「冠付き」のコースを設ける、早稲田系と並ぶ「人気校」ですが、中学受験で「湘南藤沢」とともに女子が入れる「中等部」を除いて、開成や桜蔭、渋谷教育学園幕張が含まれる「最難関グループ」よりは、偏差値的に見ると少し難易度が下がる「難関校」という位置付けです。

具体的な数字で見ると、普通部、中等部に毎年140名前後の合格者を出しているサピックスで合格可能性80%偏差値が普通部で「59」、中等部は男子「58」、女子「63」、湘南藤沢は男女とも「60」です。

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四谷大塚だと普通部、中等部男子はAライン(合格可能性80%)が「64」、中等部女子は「70」、湘南藤沢は男子が「65」、女子が「68」。普通部と中等部男子は偏差値「60」でCライン(合格可能性50%)です。

サピックスの偏差値「59」だと早稲田中学(第1回、2月1日)や広尾学園(第2回、SGインター、同2月1日午後)などが同じ難易度となっています。普通部女子は「女子御三家」よりも偏差値が高く、上にいるのは渋幕だけ。同じ偏差値帯には、同じ2月3日の試験で筑波大附属、豊島岡女子学園の第2回が名を連ねています。

普通部の入試は平易 高得点勝負

さて、慶應系の中学入試はどのような「様子」なのでしょうか。

慶應系は他の中学入試と大きく違うのが、4教科の試験に加え、「体育」の実技試験と「面接」が別日にセットで用意されている点です。

甲子園で優勝した「塾高」に「一番近い」普通部の入試は、算数や国語が理社に比べて配点が高い「傾斜配点」方式ではなく各100点ずつの400点満点です。

合格最低点や平均点が非公表のため、目標が定めにくいのですが、総じて問題は「平易」で「高得点勝負」の入試になります

受験生のレベルは年々上がっていることから、アベレージで7割(計280点)、できれば8割(320点)以上は過去問でとっておきたいです。

算数は他の難関校と比べると比較的易しいのですが、要求されるのは問題の処理速度の速さと途中式などを分かりやすく答案用紙に書く「記述力」。場合の数、条件整理などは手間がかかる問題が多いので後回しです。

国語の漢字は日々しっかりやったかどうかの差は大きく出ます。記述対策は過去問や他校の問題を使って、「型」を意識した書き方をして満点は取れなくても、失点を防ぐ戦い方を身に着ける必要があります。

普通部入試で一番特徴のある理科の生物・植物分野は、30分という試験時間でハマってしまうと悲惨なことになるので、解きやすい他の分野から手を付けて得点を積み重ねるのがコツです。

社会も問題数が多く、1問当たりに掛けられる時間は30秒程度。一問一答式の問題は瞬殺し、記述に少し時間を回せるようにしたいところ。どちらかというと地理より歴史の方が易しい傾向です。

慶應附属高 学部別の進学人数(22年3月卒業生)

学 部塾高女子志木藤沢
経 済211557956
224547464
121512
理 工1023942
 商 93252117
医 学22
総合政策1115
環境情報211119
看護医療
薬 学
他大学など

どうする体育、面接、志願書

慶應は学力試験だけでなく「体育・面接」も課せられます。

面接は3人の面接官が1人ずつ受験生が座るブースに移動して質問します。志望動機や将来の夢などが聞かれますが、相手を目をきちんと見て、時折笑顔。最低限の敬語が使えることがポイントになります。

指示された簡単な作業をその場でやることもありますが、慌てずに丁寧にやることが大切で、出来はそう問われないようです。

体育については本格的なものではなく、筆記試験を受けたままの服装でできるものです。服装としては、長袖の白のポロシャツ、紺のセーター、にグレーのズボン、黒の運動靴というのが、受験会場でよくみられる典型的なスタイルです。

どういうことをやるかは毎年違います。昨年はバウンドさせたボールをコップを使ってキャッチしたり、ボールの周りを回りながら片足でボールにワンタッチする運動を繰り返す、10メートルダッシュなどがテーマでした。縄跳びだったり、マット運動などの年もあります。

 体育は運動神経を見ているというより、指示された通りのことを素直にできるかどうか、少なくともやろうとしているかが大切。最初に在校生が模範演技を見せてくれるので、それをきちんと見て同じようにやれるようにします。うまくいかなくても、動揺せず一生懸命最後までやるという姿勢が採点のポイントのようです。

慶應普通部は「入学志願書」と小学校側に記入してもらう「報告書」を提出します。

志願書の「自己紹介」はA4サイズに5行書く欄があります。小さすぎる字や3行目くらいで終わるスカスカなのもNG。1行40文字程度で200字程度、たくさんのことは書けないなので、要点を自分の性格や趣味、特技など2点くらいに絞り、最後の行まで届くように書いた方が良いでしょう。

親御さんが書く志望理由は7行あり、300字程度でまとめれば、最終行までかかると思います。書き方は親御さんそれぞれの考えがあると思いますが、「父親が慶應」「代々慶應の家庭」など、“慶應押し”はしない方が無難です。

慶應普通部合格には多くの「ハードル」がありますが、一番ものを言うのは学力試験です。これが良くて不合格という受験生はまずいません。

面接、体育、志願書などはあくまで参考。ボーダーラインの際の判定材料になるかもしれませんが、決め手にはなりません。

実質倍率は普通部で例年3倍弱、中等部で4科が男子2.5倍前後、女子が3倍程度、2次が2倍弱となっています。

厳しい…高校留年は珍しくない

慶應系の3校への進学を目指す家庭は、最初から照準が定まっている傾向にあります。「どうしても慶應」という方向です。

家が代々慶應出身、慶應ファン、慶應幼稚舎不合格リベンジ組、など家庭によって志望動機は違いますが、中学受験参戦時から第1志望としてブレていません。そこが早稲田系との違いかもしれません。

ただ、対策を完璧にして入学してもホッとしていられません。慶應系の中高は成績に厳しく、中学では成績不振だと高校へ上がれず、学校を去らなければならないこともあります

高校でも「留年」は珍しくなく、各クラスに「さん」付けされて呼ばれる生徒もいます。優勝した野球部にも元有名プロ野球選手のご子息が野球部生活は3年目で、学年は2年生でした(野球は3年間しかできないので、来年は出場できず)。

高校から慶應義塾大へは98%以上が進学します。進学しない生徒は東大か他大学の医学部、海外留学へと進みます。

普通部は毎年9月に行われる、生徒の自由研究や日ごろ力を入れている分野を発表する「労作展」が行われます。

慶應普通部を志す生徒は労作展に感動して…という子が多いのですが、今年は野球部の甲子園優勝に影響されて…というケースも多いでしょう。普通部以外の2校も動向に注目が集まります。

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