さてどうする…6年夏 偏差値30台前後の受験生
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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・できるものを増やしていく
・多くを望まず「絞る」
・中学受験撤退か続行か
・「面白い」が「自信」につながる
できるものを増やしていく
偏差値40台の生徒は、焦らずに時間をかけ、手順を間違えなければ、成績は上昇傾向になります。
成績を上げるために一番大切なのは、本人の「どうしてもできるようになりたい」という気持ちの強さ(どうしても、というのが肝)です。
これに親御さんの適切なアシストが加わると、最短3カ月で偏差値3~8くらいのアップは見込めます。50前後なら「55」の壁もぶち破れます。
しかし、偏差値20台、30台の場合は「ケースバイケース」です。
受験勉強歴が浅く、何も勉強していない「空っぽ」からの状態と、通塾歴●年、万年偏差値30台とでは話が違ってきます。
前者は手のかけ方次第での伸びが期待できますが、後者の状態が6年夏なら、入試までに「できるものを1つでも2つでも増やしていく」という勉強にシフトチェンジします。
多くを望まず「絞る」
偏差値20台、30台前半のレベルは、全くといっていいほど「勉強に関心がない」という状態です。
おそらく100点満点のテストで得点はだいたい3分の1以下、ひどいときは1桁の得点です。
記号問題を適当に選び、4分の1の確率で「当たった」なんてやっているレベル。問題をきちんと理解して自信をもって解答しているのは「数えるほど」という状態です。
この「現実」を受け止めたうえで行動を起こします。
まず、塾のテキストから「自力でできるもの」「ちょっと頑張ればできそうなもの」をピックアップし、その類題演習を徹底します。
国語なら漢字と慣用句、ことわざなどを頑張り、得点を「拾い集める」ことに徹します。
読解は漢字などの勉強がある程度軌道に乗ってからにします。「確実に点の取れるところ」を固めます。
集中して取り組める「勉強体力」が弱い子が多いので、最初は多くを望まず1日の課題を「やり切った」ことを認めてあげるのが次への勉強意欲につながります。
算数なら計算問題とパターンで解ける一行問題に絞り込みます。1つずつ「正確に解く」習慣をつけ、ここも「確実に得点する」に徹し、本人にとって難しい問題はチャレンジせず、後回しにします。
頑張れば何とかなりそうなもの程度で止めておくのがコツ。1日10問程度に「絞る」ことがポイント。「勉強体力」に幾分余裕をもたせて終わります。
できれば中学受験の指導歴のある家庭教師、大手進学塾の個別指導(日能研の「ユリウス」やサピックスの「プリバート」など)の先生にお願いします。
ここまでくると、マンツーマンで対応するしかなく、集団塾で何とかなるレベルではないことを、親御さんは認識しなければなりません。
ただ、時期的にも、確率的にも「腕の立つ」個別の先生や家庭教師と巡り合う可能性は高くありません。
親御さんが伴走できるなら、それも有力な選択肢の1つです。
中学受験撤退か続行か
「そんなレベルなら、中学受験をやめた方が…」と考える親御さんもいるでしょう。
志望校を下げてまで、偏差値の低い学校へ行っても…という思いが、どうしても拭い去れないのならば、受験勉強自体から何も得られるものはないので「撤退」も致し方ありません。
「もともと軽い気持ちで始めて、どうしても中高一貫校じゃなきゃ、というのではない」場合もリタイアした方が…です。
逆に「ここまでやってきたことを少しでも実りあるものにしたい」という思いが親子であるなら、受験継続です。
偏差値が高い中学が「良い中学」で、低いところは…、というのは正しい認識とはいえません。
入学してやっていることは一部の中学を除いて大差はありません。簡単に言えば「看板」が違うだけです。
大学進学になると学校というより「個人がどうか」という勝負になります。
偏差値の低い中高一貫校へ進んでも、精神的に成長した子は、独自の勉強法を駆使して東大や早慶に現役合格する子も少なくありません。
御三家に行っても「入学」だけが目的だった子は「Fラン」の大学へ、というケースは枚挙にいとまがありません。
成績の振るわない子の多くが「勉強嫌い」というより「今だけに関心があって、先が見通せていない」タイプです。
そういう子は、中学受験撤退で勉強から解放された瞬間、学んだことが何も残らず、公立中学へ行っても勉強に向き合うことはあまりありません。
ただの「逃げ」だとすれば、公立中学に進んで高校受験で巻き返しを図っても、本人が精神的に成長しない限り中学受験の「二の舞」になる可能性が高いです。
「面白い」が「自信」につながる
「逃げる」タイプの子に、一番必要なのは「自信」です。
偏差値30台、40代前半の子は、65以上の子のようにバリバリ問題を解いて、モリモリ力をつけていく、ということは正直「無理」です。
問題を解いても、なかなか正解に至らないことも多いはずです。それを非難しても、一方的に教え込んでも逆効果。怒ってもできるようになるわけではありません。
「できる」を少しでも増やしながら、「できたことの充実感」を大切にします。
意図的に「できる問題」を多くやり、「頑張ればできる問題」を2問、「今は厳しい問題」を1つチャレンジします。1日の勉強の終わりに「きょうはこれができた、できるようになった」を先生との間で、あるいは親子で振り返ります。
「これだけできるようになった。素晴らしい」の誉め言葉を添えていくと、子どもはだんだん「その気」になります(かなり時間はかかります)。
認められれば、単純に「面白い」と感じるからです。
「面白い」が「自信」につながり、加速すれば、「中学受験以降」が楽しみになります。
中学受験は合格して、入学が決まってジ・エンドではありません。
「入学後」の方がはるかに大事です。
勉強を継続すれば、受験の時に「種が硬い」ことで苦労した子も、成長とともに徐々に柔らかくなり、開花します。
「種が硬い」子は世の中のペースに合わせず、マイペースで「その時」を待ちます。
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