偏差値20UP!「明大系」日本学園はまだ伸びる!?
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・入試一変、偏差値20以上アップ
・併願プランの変化につながる
・明大系属、安心感、好立地
・どうなる残り3割の生徒たち
入試一変、偏差値20以上アップ
2月1日の1回目入試で首都圏模試の結果偏差値が前年度「40」から「60」に、四谷大塚は偏差値表掲載なしからいきなり「50」に…。23年度入試で男子校の日本学園(東京都世田谷区)は、驚異的な偏差値の上昇をみせました。
理由は単純明快、 同校が2026年4月から明治大学の系属校「明大世田谷」として中学、高校とも男女共学になるからです。系属校化は先の話ですが、23年度入試で日本学園に入学した中学生は、高校に上がる際「明大世田谷」の1期生になります。卒業する29年には明治大学への推薦が本格的に始まり、目標としては卒業生の約7割、200人程度が進学する予定です。
つまり入学は日本学園中学でも、事実上明大世田谷に入ることと同じです。人気のMARCH系大学の「筆頭格」の明大の系属校に「今ならそれほど高くない偏差値でも狙える」とあって受験生が殺到、結果として大激戦となりました。
具体的には出願者が前年比6倍超となった1日午前の1回目入試は388人が受験し、合格は83人。実質倍率は4.7倍で前年の1.7倍の入試から様相が一変しました。
4日の2回目入試は前年の7倍の志願者を集め、実際は381人が受験し、合格者は30人。倍率12.7倍で前年の1.6倍とは全く別物の入試となりました。
最後の3回目は5日。319人が受験して合格は28人で倍率11.4倍。5日の入試はどこも超が付く高倍率になりますが、今年は同じ男子校の成城の6.5倍や人気の広尾学園本科3回目の女子9.5倍を上回る大激戦でした。
併願プランの変化につながる
入試結果からある程度の偏差値上昇は予想できましたが、ここまでアップするとは…というのが関係者の率直な感想です。偏差値という観点から学校を見ると、もう「全く別の学校」です。
23年度はかつての日本学園を受験していた偏差値帯の子や「あわよくば将来の明大系属校に」など勝負をかけた受験生が多かったかもしれません。しかし、24年度はガラリと「中身」が変わると考えるのが妥当です。
第1志望校として日本学園の名前がかなりの数で挙がりますし、明大をはじめとする各大学附属校の併願校としてもリストアップされるのは必至です。
23年度入試では2月2日入試の明大中野と1日に1回目入試の日本学園の併願が一部で見られましたが、まだ主流ではありませんでした。明大明治(2日入試)に至ってはほぼありませんでした。単純に偏差値で見た場合に日本学園は視界に入っていなかったからです。
大学附属校を志望上位に考えている家庭は「附属校で併願校を固める」という傾向が見られます。例えば2日の明大中野が第1志望だとすると、1日は明大中野八王子(24年度から明大八王子に校名変更)や中央大附属など、偏差値帯の近い学校を受験します。あるいは確実に進学先を確保する、という意味で獨協や日大系の中学を受けます。
日本学園の偏差値急上昇に伴い、24年度は恐らく流れが変わります。明大への推薦が高い確率で可能、となれば「共倒れ」のリスクがある明八や中大附より、あるいは日大ではなく明大に進めるチャンスが広がるなら、と日本学園の存在感がクローズアップされます。
ただ、23年度の結果偏差値だけで判断すると「こんなはずでは…」の入試になるリスクは高いです。間違いなく日本学園の偏差値は24年度入試に向かって上昇傾向になります。
入試本番では合格可能性80%の偏差値を取っている子でも合格できないかもしれません。直前になって日本学園を「押さえ」に配置する、実力に多少余裕のある受験生も参入してくる可能性があるからです。
24年度入試の要項が発表されていない時点では何とも言えませんが、23年度通り3回の入試を午前に行うとすれば、2科入試は廃止され4科入試のみになる可能性があります。配点や試験時間も見直されるかもしれません。
今のところ23年度の各科目の受験者、合格者の平均点や合格最低点などは発表されていませんが、今後入試問題の出題傾向も難易度も変化すると思っていた方が良いです。徐々にですが「明大世田谷」に向かって、入試についてのあらゆるものが変わっていきます。
明大系属、安心感、好立地
入試の様相は一変するかもしれませんが、2025年に創立140年を迎える「伝統校の骨格」は継続されます。
戦後日本を代表する首相・吉田茂、画家の横山大観、作家の永井荷風ら多数の有名人を輩出した日本学園は、中学時代に農業、漁業、林業の第一次産業の体験を通じ「創発学」という、他の私学でやっている「探求型学習」「アクティブラーニング」と同様の学びを通し、見聞を広げます。
前身が英語学校の同校はオーストラリアへの語学留学も全員で体験します。日々の学習も中学でのマメな小テストや大学受験のための充実した講座など、勉強をする環境も整っています。
近年「校名変更・共学化」に変身する学校の多くが、前身校が長年培ってきた文化をきれいに消して、新しい価値観で完全リニューアルしてしまう手法が「トレンド」です。日本学園はその手法とは対照的です。明大側も伝統と学校が取り組んできた学びへの姿勢を評価したからこその提携でした。
「明大の系属校」となれば、大学への道もかなり明確に見えてきます。地に足の着いた学びシステムと伝統校の実績は「親御さんの安心感」を与えます。そして京王線・京王井の頭線「明大前」駅より徒歩5分という駅近、加えてそれなりの広さのあるグラウンドなどの「好立地」。この3点はかなりの「強み」です。
しばらくは偏差値の上昇と人気は止まらず、落ち着いても「高止まり」のまま推移しそうです。2年後、正式に明大世田谷に校名変更になり、女子も受け入れることになれば、駅近という「利便性」もポイントになり、明大唯一の「附属校」の明大明治に匹敵する難易度になってもおかしくありません。
どうなる残り3割の生徒たち
明大系属校なので、明大進学が前提となりますが、現状は7割程度という規定です。残りの3割はどういう進路になるのかが意外と注目の的になります。
明大進学の権利を保有したまま、他大学受験も可となれば、東大や難関国公立、医学部、早慶などへ進む生徒も現れ「進学校」としても受験生に認知されます。タイプ的には早稲田中学・高校のようになる可能性があります。
一方で他の明大系の学校と同じく、基本は「明治進学」となれば、推薦比率を上げないと、明大へ進めない成績不振の「深海魚」は次の居場所を見つけるのが困難になります。
大半が併設の大学に進む場合、その枠に入ることができない層は勉強へのモチベーションが極端に低くなるため、受験で他大学へとなると、その先は結構厳しくなります。
日本学園の名義の際に受験する場合はそのリスクを頭に入れ、明大世田谷になってからは残り3割がどうなるのかをリサーチしたうえでの受験が必要となります。
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