中学受験 新5年、新6年からの参戦は「あり」?
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・ 途中参戦「あり」だが甘くない
・新5年生は「下地づくり」から
・新6年からは力技でゴール!?
・基礎、経験値不足がもたらすもの
途中参戦「あり」だが甘くない
24年度の中学受験もほぼ終了。2月11日は多くの中学で入学予定者の「招集日」になっています。
一方で各進学塾ではすでに25年度に入試に向かって始動しています。5年生は新6年生として、残り1年を切った入試本番へ向かって走り出しています。
もうスタートしている同級生がいる中で、「これから中学受験に参戦」という新5年生、新6年生もちらほらいます。
3年生の2月(新4年生の2月)スタートがスタンダードとされる中学受験ですが、この時期からの挑戦は現実的にみて「あり」なのでしょうか。
目指す中学、受験への考え方にもよりますが、基本的には「あり」だと思います。
ただ、スタートが遅い分、子どもにも親御さんにもかなりの「負荷」はかかります。中学受験は「甘くはない」という覚悟が親子ともども必要です。
小学校で「よく100点をとる」とか「できる方に入る」くらいでは正直太刀打ちできません。中学受験と小学校の学習ではレベルが「段違い」だからです。
新5年生は「下地づくり」から
新5年生(現4年生)の場合、自分で勉強をしてみて、中学受験の勉強をやっていけるのかどうかを見極めた上での進学塾入塾がおすすめです。まずは「下地づくり」です。
中学受験は4年生あるいはそれ以前で学ぶ内容を土台として積み上げていかないと、5年生の学習内容から取り組んでも、うまく連動しません。やれどもやれどもなかなか追いつけず、いつまでたっても成績アップが見込めません。
どこの塾に入るかは別として、まず小学校の学習内容からのチェックです。算数ドリル、漢字ドリルは満点が当たり前、算数は教科書の巻末問題や市販の問題集(受験用ではないレベルのもの)もそれほど苦にならず消化できるのが、中学受験参戦の「前提」です。
理社はどちらか一方でも構いませんが、小学校でやっていることが「退屈でつまらない」くらいでないと、大洪水のような中学受験に必要な知識量の習得についていけません。
その辺りがクリアできたなら、中学受験用のテキストに触れてみます。
「新演習」という栄光ゼミナールなどで使っているテキスト(市販はなく書店では購入できない)がネットなどで(首都圏中学模試センターの教材販売サイト「しゅともしCLUB」などで購入可)手に入れば、これに取り組みます。中学受験では「易しい」部類のテキストなので、基本的な内容を抑えるにはこちらからのスタートが良いでしょう。
ある程度自信があるのなら、一番手っ取り早く入手できる四谷大塚の「予習シリーズ」の4年生のものから手を付けて自力で学習するのも「あり」です。
「新演習」にしても「予シリ」にしても、自力で進められるのが理想ですが、おそらくごく一部をの子を除いて「無理」です。
親御さんが勉強時間、量、進捗状況を把握するうえでも「伴走」できれるのが理想です。難しければ家庭教師、個別塾などで計画を立てながら取り組みます(ただアタリ、ハズレは大きい)。
動画教材も有効です。のんびりやっていると追いつかないので、スピードアップで。ただ、雑になっては元も子もないので、そう考えると親御さんの伴走(一緒に講義を聞く、講義を話題にして会話をするなど)が必要かもしれません。
春期講習に参加しても構いませんが、あくまで様子見。どういう授業をやって、勉強量はどれくらいなのかを子どもが体感します。
自学の進捗状況によっては、夏期講習も様子見参加かパスです。まだ追いつけていない可能性があるので、基本的には秋からの入塾を目指します。
夏休み前に模試を受けてみて、結果や手応えがあれば夏期講習の本格参戦もありです。偏差値にして40台後半ならOKです。
毎日コツコツやる「勉強習慣」とある程度の時間勉強に向き合える「勉強体力」が備わっれば、入塾後の「勉強姿勢」と親御さんの適切な伴走によって成績は上がります。
新6年からは力技でゴール!?
新6年生(5年生)からの中学受験となると、また様相は違ってきます。物理的に「時間がない」ので、かなりハードでタイトな1年になります。
進学塾の入塾試験を受けて合格なら入塾します(枠は少なく、空きがない場合もあり得ます)。できれば大手ではなく、中学受験を指導している面倒見の良い個人塾、あるいは進学塾ではなく、金額は張りますが家庭教師で中学受験指導の経験が豊富な先生にお願いするというのが、ベターな選択かもしれません。
大手に入塾した場合、覚悟しなければならないのは、6年は新単元をやるというより、総復習や演習に重きを置いているという点です。受験に必要なひと通りのことは、4年からの2年間の積み重ねで終わっているからです。
基礎段階の話は自力で家庭学習をしながら、「親塾」や個別、家庭教師にフォローしてもらうしかありません。あるいは「スタディサプリ」などの動画を並行して見ながら、欠けているところを埋めていきます。
十分ではないかもしれませんが、最低限これくらいはやらないと、入塾できても授業について行けず座っているだけの「お客さん」になってしまいます。「お客さん」では納得のいく結果を2月に出せません。
ただ、本格参戦する前に、「親塾」などで家庭内で一定水準の基礎学力(計算の正確さ、数や図形の性質の理解、国語の語彙力、社会の地理の特徴、歴史の流れ、理科の実験に対する知識など)をつけてからの進学塾参戦の場合は少し話が違ってきます。
多少の「調整」は必要かもしれませんが、流れに乗るのは時間の問題です。「一から」仕込まなくても塾のカリキュラムの軌道に乗ってくれることから、塾側も手厚くフォローしてくれます。合格実績で「集客につながる学校」の合格にカウントできる見込みがあるからです。
新6年からの受験はとにかく時間と体力勝負です。その分力技でゴールになだれ込むともいえますが、基礎が固まっていない単元や科目も多々ありながらの綱渡り受験になります。
基礎、経験値不足がもたらすもの
6年生から参戦の子どもは「遅れをとっている」という自覚があるので、多くの子が頑張ってくれます。
漢字テストなど小テスト、範囲付きの月例テストなどでは、前からいる生徒で生ぬるくやっている子を簡単に追い抜き、10月くらいまでは偏差値は伸びる傾向にあります。
ただ、秋以降に「進撃」がピタッと止まるケースもよくあります。
合否のカギを握る算数はストレートな典型題が出ることは中堅・一般校を除くと近年少なく、多くが基礎と基礎の組み合わせから成り立つ「応用」をどう攻略するかで決まります。
どのような道具を組み合わせれば、正解に至るかの気づきは、「基礎力」と「経験値」=演習量がものを言います。
そうなると、6年参戦組は基礎固め、演習量に費やす時間が圧倒的に少ないという弱点がここで露呈します。
11月以降の模試では実際の入試を意識した出題が多くなると、偏差値が伸びず、場合によってはポイントが下がるのはそのためです。入試本番でも持ち偏差値以上に苦労する可能性があります。
そこに基礎力という「下地」がきちんと備わっていると持ちこたえられます。志望校の合否は、基礎力によって結果が雲泥の差になります。
「そうだ、中学受験しよう」と、思いつきで勝ち抜けるほど中学受験は甘くありません。今後わずかでも受験の可能性があるのなら、小学校の中だけの勉強にとどまらず、親御さんの伴走の下、早くから勉強体力、勉強習慣を付けておくことが肝要です。
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