理科で「気象」関連の問題が増えたワケ

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・背景に異常気象と学習指導要領の改訂
・「その時、あなたなら」が問われる
台風、地震、チバニアン、ISS、火球…
・「サバクトビバッタ」って知ってる?
物理、化学分野では原点に戻る

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★背景に異常気象と学習指導要領の改訂
 21年度の中学入試の理科で出題数が確実増えたのが「気象」に関連する問題です。理由は大きく2つあると考えられます。1つは昨今の異常気象。2020年こそ台風の日本への上陸はありませんでしたが、集中豪雨やゲリラ豪雨、酷暑に大雪な、気象がもたらす自然災害など天候をめぐるニュースは尽きません。

 もう1つは小学校の「学習指導要領」の改訂です。小学校で「大地・気象」の単元を扱う際に「自然災害」を教えるようにとの指導が加わりました。中学入試の理科は他の3教科と比べて学習指導要領の影響を一番受けます。そのような理由があって、理科4分野の中の地学に属する気象の問題が増えたようです。

自然災害に関連する内容は入試頻出

「その時、あなたなら」が問われる
 豪雨に関連して開成では「線状降水帯」(積乱雲が次々と発生し、強雨をもたらす地帯)が出題されましたが、防災、ハザードマップの問題は近年頻出です。開智で出題された問題は、地図上に4つの避難所があり、大雨が降って全員避難の警戒レベル4が発令された場合、どの避難所に行くべきかというもの。河川の氾濫がある可能性のある場所などを避けながら避難所へ行くという、入試本番のその瞬間にとっさに分析できるかどうかの判断力が問われています。

 この問題ではさらに、警戒レベル5になって避難自体が困難になった場合、自宅のどこにいるのが最善かを問うています。冷静に与えられた図を分析すれば正解に至る問題ですが「こんなのやったことないよ」と、普段から逃げの姿勢の受験生はこの手の問題の前ではとても脆いです。「やったことがない」からこそ、その場で真剣に考えるのです。

 家庭学習中、机の前に座り、塾のテキストをやることが勉強と思っているうちは得点が上がりません。テレビを見ること、必要な動画をインターネットで検索すること、親御さんと世の中の話題について話し合ってみること、こういう積み重ねがあると、“困ったとき”用の引き出しが開いて身を助けてくれます。

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★台風、地震、チバニアン、ISS、火球…
 改訂された新学習指導要領によって、自然災害を扱った問題はしばらく頻出すると思いますが、気象で言えば台風も狙われます。20年は日本への上陸がゼロという珍しい年でしたが、19年や18年台風を元にした作問や海城では、死者5000人以上を出した1959年(昭和34年)の伊勢湾台風の進路を問う問題も出題されました。

 そのほか地学分野では、21年が東日本大震災から10年ということで早稲田では地震の基本的な問題が出題され、慶應義塾普通部では千葉県市原市の養老川沿いにある約77万年前の地層「チバニアン」が出ました。

 一方で「天体」に関する問題も人気でした。OBに宇宙飛行士の野口聡一さんがいる聖光学院では「国際宇宙ステーション」(ISS)、学習院女子中等科では最近しばしば飛来する「火球」や、まさに“彗星のごとく”突然現れ、20年7月に太陽に最接近した「ネオワイズ彗星」などに関連する出題もありました。21年5月26日にはスーパームーンの皆既月食が起こります。天体の問題は話題になると出題されやすいので要チェックです。

天体の問題もよく出る

★「サバクトビバッタ」って知ってる?
 生物分野の時事問題として市川、女子学院でテーマとなったのが「サバクトビバッタ」でした。2020年に東アフリカから西アジアにかけて大量発生し、農作物などに甚大な被害を与えた、というニュースが衝撃的な映像とともにテレビで流れていたのを覚えているでしょうか。連日コロナのニュースばかりで印象にないかもしれませんが、中学受験をする子ども、そして親御さんは日々伝えられるニュースに敏感になっておくと、入試本番で思わぬ「運」がめぐってきます。

 市川の問題も、女子学院の問題も「サバクトビバッタ」そのものを知らなくても答えられる問題ではあります。しかし、ニュースを目で見て、耳にして「サバクトビバッタとは何ぞや?」とインターネットで調べたり、塾の先生に聞いたりした子とそうでない子では、当日の取り組み方が違います。知っているとなれば「ラッキー!この学校、もらった!」とリズムがうまれ、恐らくうまくいきます。しかし、知らないとなると、解答しつつも自信がなくモヤモヤしたまま進むので、ペースがつかめないまま終わってしまいます。

 入試はテキストからだけ出題されるわけではないということを再認識させてくれた「サバクトビバッタ」でした。

★物理、化学分野では原点に戻る
 化学系ではグラフを読み取って答える問題が年々増えている一方、最近は電子天びんが使われることが多く、すっかり「忘れられた」上皿天びんやメスシリンダーの使い方という、“懐かしい”問題も桜蔭で出題。物理系ではかつてよく出題された「手回し発電機」の問題がここ1、2年で復活。21年度も麻布で出題されるなど、理科実験の原点戻った良問が数多く見られました。

 22年度はどのような分野が狙われるのでしょうか。理科は原理原則をしっかり固めるとともに、時事問題への感度を良くすることで、入試で強い武器になりえます。平均レベルを取れればなどといわず、「合格の決め手」になるぐらいの得点を稼いでください。きっと吉報につながります。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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