中学受験 「思考型」と「英語」

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首都圏私立中学の約半数が導入の「思考型」入試
「思考型」入試は出たとこ勝負?
・「思考型」入試こそ4教科の基礎の徹底を

中学受験の英語入試レベル
「生き残り」をかけた新型入試投入は続く

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首都圏私立中学の約半数が導入の「思考型」入試
公立の中高一貫校の入試問題である「思考型」の入試を、私立でも導入する学校が増加しています。一般的な名称としては「適性検査」といわれているもので、4教科を横断的に網羅したもので、知識を問うというより、子どもの物事に対する考え方や発想力を見るという趣旨です。偏差値帯で言えば主に中堅校と次のカテゴリーに入る一般校で多く、複数のパターンの中の1つとして実施しています。

 首都圏では私立中学校の半数程度にあたる約150校近くがこの「適性試験」を導入しており、受験者数はのべ約1万2000人。併願もしているため、実際は何人受験しているかははっきりしませんが、私立中高一貫校を受験する生徒の1割強程度が「思考型」の試験を受けているとみられます。

「思考型」の試験では解答そのものより物事の「視点」を見ている

「思考型」入試は出たとこ勝負?
 最近でこそ少なくなりましたが「思考型」入試の場合、進学塾での暗記や詰込みではなく、問題を見てその場で考えればできる、と考えている親御さんが一定数いました。いわゆる「出たとこ勝負」です。

 確かに「適性検査」の受験者数が10人に満たないような学校なら、「出たとこ勝負」の力技で何とかなるかもしれませんが、それで合格がもらえる学校の場合、入学してからの学習内容もおおよその察しがつきます。それなりの学習内容をする中学校では、「出たとこ勝負」のノリで受験すると、手も足も出ない、という状態で終了、不合格となるケースが妥当な結果です。どのようなタイプの試験でも準備が必要だということをまず肝に銘じてください。

「出たとこ勝負」では受験は勝てない

「思考型」入試こそ4教科の基礎の徹底を
 公立の中高一貫校でもそうなのですが、私立中高一貫校で出題されるような4教科の基礎的な内容はマスターしておくのが「思考型」問題を解くベースとなります。偏差値で言うと50~60レベルはないと太刀打ちできません。この点が欠けたまま、6年生くらいから思考型を選択して受験に参戦すると、かなりしんどい入試となります。

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 私立でも同じで「難関校受験のようにたくさん勉強しなくていいから」とか「ラクそうだから」というのは通用しません。中学受験である以上、それなりの学校へ入学しようとすれば、それなりの勉強をしなければなりません。「みなさん必死に頑張っている」というのが中学入試です。

受験生の多くが真剣勝負をしています

中学受験の英語入試レベル
 「思考型」とともに中学校側が積極的に導入しているのが「英語入試」です。算数一科入試ではありませんが、英語のみでの入試や、算数あるいは国語とのセットでのテストというパターンがあり、20年度の導入校は約140校。「適性検査」同様、偏差値帯でいう中堅校、一般校が大半で、難関校、上位校では帰国性向けの英語入試は用意されているものの、日本の小学校に通っている子供向けにはまだ実施されていない、というのが実情です。

 帰国生の英語入試のレベルが(学校により差は大きいのですが)中には英検2級レベルのものある中で、「英語入試」は4級レベルのところも多く、中1~2年生の内容といったところ。習い事で英語をやっていればできるレベルです。4教科入試より、英語の方が自信があるというのなら、入試の選択として「あり」でしょう。

英語入試導入も中学受験のトレンド

「生き残り」をかけた新型入試投入は続く
 このほかにも大妻嵐山中学駒込中学が採用している「プログラミング入試」や聖学院中学が「プレゼンテーション乳」など、新型の入学試験を実施しています。

 詳しくは各学校のホームページなどに譲りますが、各中学校が次々と新型の入試形態を導入してくる背景には、あの手この手で受験者、入学者を増やすのに一生懸命だということが浮かび上がります。大学入試改革、AI社会、グローバル化などもっともらしい説明を加えていますが、それは大義名分。少子化に加えて、新型コロナウイルス禍の中で冷え込みが予想される中での「生き残り」をかけた一手です。

 今後も耳目を引く、新型入試が次々登場するでしょう。私立中学の試行錯誤は続きます。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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