【数字でみる中学受験】母親の方が教育熱心66%
◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・母親の方が熱心も最近は父親もかなり熱心
・8割超が夫婦の教育方針一致
・ピッタリ一致なのか、妥協の上なのか…
・父親が教育熱心は喧嘩のもと?
・父親の大学受験と子どもの中学受験は違う
・父親はいざというときに一歩前へ
★母親の方が熱心も最近は父親もかなり熱心
みなさんのご家庭では旦那様と奥様のどちらが教育熱心でしょうか。
ソニー生命保険(東京都千代田区)が今年、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1000人に対し「子どもの教育資金に関する調査」を行い、その中に夫婦のどちらが教育熱心かを聞いている項目がありました。(調査対象は配偶者がいる938人)
多い順に並べると、「母親の方がやや熱心」(49.6%)「父親の方がやや熱心」(27.0%)「母親の方が非常に熱心」(16.4%)「父親の方が非常に熱心」(7.0%)という結果になりました。父親が熱心か、母親が熱心かと大別すると、「母親が熱心」が66%、「父親が熱心」が34%とほぼ2倍の差がつきました。
世の中のイメージ通りの結果かもしれませんが、肌感覚としては「父親が熱心」という流れが最近できつつあります。30代、40代の父親世代の中には、自身も中学受験を経験したという人が増えており、それによって享受した恩恵を子どもたちにも、と考えている親御さんは多いようです。
★8割超が教育方針一致
父親も母親も教育熱心であるがゆえに、それぞれ教育に対する考え方があります。同アンケートでは「夫婦間の教育方針」についても質問をしています。
夫婦の教育方針が「非常に一致している」と答えたのは19.9%、「ややあてはまる」は61.3%となり、「一致している」という部類に入るのは8割を超えました。ぴったりとは言わないまでも、方向性はほぼ一緒と考えている家庭が大半、という結果です。
★ピッタリ一致なのか、妥協の上なのか…
一番多い「ややあてはまる」がどのレベルなのかは分からず、幅の広い回答になっていると予測できます。違いはそれほどでもないのか、互いにあるいはどちらかがかなり妥協しているのか興味深いところです。
最終盤になると、親御さんも精神的に極限状態に追い込まれる場合も珍しくない中学受験。第1志望が残念だった場合の進学先、受験スケジュールの組み方など、事前に決めていても子どもの模試の偏差値によってプランが揺れに揺れて、ささいな違いで夫婦がぶつかったりするなど、大きな火種になる可能性があるので気を付けたいところです。
★父親が教育熱心は喧嘩のもと?
アンケートでは子どもの教育のことで夫婦喧嘩をするか、どうかについても尋ねています。
喧嘩を「よくする」と答えた割合は29.0%。教育方針が一致していると答えた層でも26.0%が喧嘩をよくするという回答で、教育方針が一致していない夫婦は42.0%と当然ながら高くなっています。
面白いのは、夫婦どちらが教育熱心の場合に喧嘩になるかというデータ。夫の方が教育熱心と答えた場合、喧嘩をよくするという割合は40%を超えたのに対し、妻が教育熱心の場合は22.9%にとどまりました。
★父親の大学受験と子どもの中学受験は違う
父親も母親もそれぞれ、子どもに良かれと思うことを考えている愛情の深さに変わりはありません。しかし、その方向性が違う場合に対立してしまうのは、とてもせつない話です。
アンケートでは喧嘩の具体的な内容にまでは触れていませんが、子どもの勉強法でぶつかるのが1つの典型例でしょう。
父親が自身の受験の成功体験に基づいて子どもの中学受験を推し進めようとするのに対し、塾のやり方とは違うために違和感を持つ子どもが母親に助けを求めて、母親が父親に話をすることで喧嘩が勃発することもよくあります。
父親の成功体験は多くが大学受験。内面が大分成長している高校3年生がやってきたことと、まだ12歳の子どもでは受験に取り組む姿勢は全然違います。サボる、解答を丸写しで勉強したと言う、やりたくないものはやらない…これが普通の中学受験生です。
★父親はざというときに一歩前へ
7月31日の記事「偏差値30台からの脱出 5本の柱(番外編)でも触れましたが、夫婦の対立は子どもの受験に悪影響を及ぼします。
普段の仕事では冷静に事を運べるお父さんは、子どもの中学受験は1つのプロジェクトと位置づけて、少しクールに向き合った方がいい結果が出ると思います。心理的に不安定になりがちなお母さんをサポートし、いざというときに一歩前に出る。中学受験では、父親の頼もしさがきっと必要になります。(受験デザイナー 池ノ内潤)