偏差値がグッとUPする!社会のグラフ読み取り
◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・グラフの読み取りは社会偏差値アップの柱
・なぜヤマ勘で「どれにするかな」になるのか
・できる子の思考回路再現
・「余りもの」こそ偏差値アップの宝庫
・偏差値アップの極意
★グラフの読み取りは社会偏差値アップの柱
中学受験の勉強で、4年生から本格的に始まる社会の地理分野。地図や地形図とともに、入試問題の定番と言えば、主に各産業の指標を表す統計、グラフです。
円グラフ、縦向きや横向きの棒グラフ、項目と数字を並べた表組のものなど、各塾のテキストにも必要に応じて必ず掲載されている資料です。
これをきちんと読み取れ、確実に正解へと導ける受験生はご多分に漏れず社会の偏差値は高いです。逆は言うまでもないでしょう。しかも、地理分野ではこのグラフの読み取り問題は難関、中堅、一般校にかかわらず年々出題が増加傾向です。地理が社会の点数の3割程度を占めるとすれば、半分前後がグラフ、資料の読み取りというケースも珍しくありません。「読み取り」は社会の偏差値アップの1つの柱です。
★なぜヤマ勘で「どれにしようかな…」となるのか
苦手な子の多くは、グラフが「どれも同じに見える」といいます。
例えば、折れ線グラフで表示される月間平均気温と棒グラフの月間降水量が1つにまとまった「雨温図」。「次のグラフはどの地域ですか」という問いで、選択肢から地名を答えさせるものであったり、地図中から場所を選ぶものだったり、さまざまな形で出題されます。
日本国内は6つの気候区に分かれますが、北海道と沖縄などの南西諸島以外は、ぱっと見ただけでは区別が難しいです。なので、社会が苦手な子や授業や復習をおろそかにしていた子は「どれも同じに見える」、つまり「違いを見つけるのに目を付けなければならないポイント」が頭の中に描かれず、ヤマ勘で「どれにしようかな…」となってしまうのです。
★できる子の思考回路再現
桐朋中学で過去に出された問題で考えてみます。4つの雨温図があって、それぞれ東京、大阪、金沢、鹿児島のものという設定です。このうち、金沢と鹿児島の雨温図を答えさせるという問いです。意識してほしいのは、グラフ問題には「必ず読み解くポイントがある」ということです。
できる子の思考回路=答えを出すまでに頭の中で考えていること、を追ってみましょう。
「金沢、日本海側、ってことは雪が多い。海からの季節風の影響で冬場に降水量が多いってことだな。気温は雪が降って寒いけど、平均は0度に近いところ」という、いくつかの情報を駆使して解答を導き出します。
鹿児島も同じように思考回路を再現してみます。「鹿児島、九州かぁ。ニュースでもやっていたけど、いつも梅雨の時期に集中豪雨の被害があるんだよな。すごい量の雨が降る。気温は鹿児島のある南九州は、沖縄にも近いし暖かい。2月にプロ野球のチームがキャンプをして開幕に備えるしな」。
気候の特色をとらえているうえに、普段からニュースを見聞きして塾で習うこと以外のことをちゃんと「引き出し」として自分の力にしています。
★「余りもの」こそ偏差値アップの宝庫
この問題では東京と大阪のグラフを解答する必要はなく「余りもの」です。が、できる子はこの余りものさえも力にします。
東京と大阪ではグラフ上、そう気温の差はありません。見極めのポイントは降水量です。もし、東京と大阪のグラフを選ぶ問題が出題されたら、できる子はこう考えるでしょう。
「東京は梅雨の時期も雨量は多いが、10月の台風シーズンが一番多い。大阪は近畿地方だけど、気候区は近くの瀬戸内に属する。瀬戸内は山に囲まれ、季節風の影響を受けにくく雨の量は冬を中心にかなり少ない。気温は温暖」。ということで、雨量を判断基準に解答を導き出すでしょう。
偏差値の高い子は出題された問題を無駄にしません。鮮魚だったら、身の部分を刺し身にして食べた後、頭の部分などをあら汁にして食べて無駄なく食材を使う、といった感じです。
★偏差値アップの極意
できる受験生は多くの場合、「解答に根拠」=その解答をした理由が説明でき、着眼点=ポイントをしっかり押さえているという特徴があります。「解答にいたるプロセス=道筋」が整っているのです。
「勘で答えたら当たった!ラッキー!」。その時はいいかもしれません。けれど、その繰り返し、根拠があやふやなままの「なんとなく」は、問い方を変えられたり、別の形式になればそれまでです。
「解答にいたるプロセス=道筋」を大切にすること。社会に限らず、これが受験勉強の生命線、偏差値アップの極意です。1つで2つでも「解答への道筋」を習得できれば、その日の勉強はおしまいでも構いません。積み重ねで、社会はもちろん理科も算数も国語も必ず偏差値は上がります。問題集をたくさんやるより、勉強時間を増やすより、絶対効果があります。(受験デザイナー 池ノ内潤)