中学受験 土曜特訓を志望校合格にどう生かすか
◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・自由度の高い「土特」弱点補強のチャンス
・土特より体力維持と睡眠
・土特を休んで過去問対策も「あり」のケース
・過去問対策 一番怖い「こなす」という姿勢
・成績下位の子の土特の使い方
・残された時間は短い 9月が最後のチャンス
★自由度の高い「土特」弱点補強のチャンス
6年生後半は「日曜特訓」を中心に頑張る一方で、土曜日の午後に行われる「土曜特訓」や通常授業もおろそかにできません。特に「土特」は、次から次へと入試問題を解く演習中心の時間になります。
「日曜特訓」や平常授業に比べて、授業構成の自由度が高いため、先生がクラスの状況に即してアレンジすることも可能。アイディアのある先生はさまざまな趣向を凝らして生徒の学力アップを考えてくれることと思います。また、通常授業や日特よりも前後の時間に多少の余裕があるので、先生にじっくり質問したり、ミニ補習などを通じて弱点補強をすることもできることでしょう。
★「土特」より体力維持と睡眠
9月の声を聞くと「土特」を休みがちになる生徒も少なからずいます。「日特」も朝から晩まで本格的に始まり、本来休日である両日を通塾にあて、月曜日から小学校、というのは、12歳の子どもにはかなりキツいです。「体力的に…」といって、休むのも無理はありません。
そういう時は休むのが一番の得策です。寝不足や体が“本当に”キツい時に机の前に座っても何もいいことはありません。受験勉強は「気合」も必要ですが、この手の「気合」は全く必要ありません。
★土特を休んで過去問対策も「あり」のケース
過去問に追われて…というケースの欠席も目立ちます。第1志望だけならまだしも、第2、第3と合格したい学校も過去問対策は力を入れるので、時間はいくらあっても足りません。その苦肉の策として、「土特」を“削る”ようです。
これは一概に「悪い」ともいえません。というのも、土特で扱う問題は入試頻出問題とはいえ、それぞれの志望校にカスタマイズされたものではありません。テキストは、時間内に比較的多くの問題を解く「処理能力」を中心とした内容が多くを占め、公立中高一貫校や麻布中や武蔵中などに代表される「思考力」を問う問題は、扱うにしても割く時間は長いとはいえません。クラス構成も日特と違い、志望校別ではなく、持ち偏差値による男女混合の場合が多いため、個人にカスタマイズした内容にはなりにくいのです。
「処理能力」型の問題を出題する中学を受けるなら、志望校の問題でなくてもいい演習の場になりますが、「思考力」型の学校をメインターゲットにしているのなら、土特を休んで過去問演習に割くのもあり、かもしれません。
★過去問対策 一番怖い「こなす」という姿勢
しかし、過去問対策を有効にするためには条件があります。きちんと答案の添削ができ、復習にも付き合える「伴走者」が必要となります。それが親御さんなのか、家庭教師なのか、個別指導塾かは、子どものタイプにもよりますが、決して「子ども任せにはしないこと」が大切です。
子どもを信頼しないわけではありませんが、お任せにすると、まず予定通りには進みません。何かと口実をつけてサボりを正当化します。成績の良い子もよくない子もこれは共通しています。親御さんに叱られるという恐怖から、模範解答を写してまで点数をよく見せる子もいます。
一番怖いのは過去問に向き合うというより、「こなす」だけの取り組みになってしまうことです。これは演習問題にしても基礎力トレーニングにしても漢字にしても同じです。勉強を「こなす」という姿勢でやると、時間をいくら費やしても偏差値も成績も伸びません。
★成績下位の子の土特の使い方
過去問とは別に、基礎力がいまだ身に付かず、総合演習のレベルに達していない成績下位の子も実は土特の演習は、効果的とはいえないでしょう。塾のテキストに載っている問題は難しくて手に負えないものが多いからです。
ただ、前述したように土特の前後で先生に補習をお願いできれば行く価値はあります。大規模な教室ではなかなか難しいかもしれませんが、中小規模の塾なら、お願いしてみる価値はあると思います。
土特でやる問題のセレクトをはじめ、平常授業のテキストでやるべき問題など、入試までにたどるべき道筋を示してくれることでしょう。この時期に先生が指定する課題は入試に最低限必要なものです。合格をしたかったら、示された道筋を素直にたどるのが一番の近道です。
★残された時間は短い 9月が最後のチャンス
できる子は親御さんも動きますが、子ども自身が臆せず先生に質問へ行きます。そうやって小4、小5の時から疑問点や理解できていないところ短期間で潰していったからこそ、高い偏差値をマークし、どんな問題が出題されても対応できるオールラウンドの力が養成されてきたのです。
残された時間は短いです。夏休み前と同じ姿勢では、伸びないどころか、エンジンのかかり始めた子たちに次々と抜かれ、置いて行かれます。親御さんだけでなく、子ども自身も前に出る、この9月が最後のチャンスです。(受験デザイナー 池ノ内潤)