中学受験 受験終盤の家庭教師“使い方”(1)
◆受験の窓口 今日のメニュー
・高額出費でも…10月に依頼増の家庭教師
・「プロ家庭教師」とはうたっているが…
・家庭教師はギャンブル的である
・急増するオンライン家庭教師
・オンライン家庭教師のみで受験も増える!?
★高額出費でも…10月に依頼増の家庭教師
10月に入ると家庭教師の依頼が増える傾向にあります。需要の多くが6年生。入試が近づいて最後の追い込み、というよりかなり追い込まれた状態、つまり夏休み明けも成績が思ったほど上がらず、このまま行くと志望校合格は厳しい、と親御さんが判断して“最後の手段”として依頼してくるケースが目立ちます。
料金設定はいろいろで一概にはまとめられませんが、がっつり対策しようとすると月10万円弱程度は必要。通塾している場合は月謝もあり、最後の冬期講習、年末年始特訓とお金が飛ぶように消えて行く中での出費は、誰でもできるものではありません。それでも投入する親御さんの心中や、まさに追い込まれているのでしょう。
★「プロ家庭教師」とはうたっているが…
ただ、家庭教師をやっている“先生”が必ずしも中学受験について対応できる、とは言い切れないのが実情です。むしろこの時期は中学受験を指導できる家庭教師は生徒を複数抱えていて、新規で請け負う余裕はない、というのが現状でしょう。
「プロ家庭教師」の派遣をうたっている派遣業者でも、それは学生ではなく社会人として家庭教師を生活の糧にしているという意味で、別に資格を持っているわけでもありません。中学受験の状況やどんな問題が出題されるかもろくに把握していない“先生”もいます。
かつては家庭教師も高額時給の仕事でしたが、最近は長期にわたって決まった時間が拘束されるうえ、手間暇がかかるのに割に合わない、ということから敬遠されることも多く、なり手も少なく、十分な研修や指導をしないまま“実戦”に投入されます。質、という点では実際に来てもらわないと分からない、というのが実際のところです。
★家庭教師はギャンブル的である
本当に中学受験の指導に長けていて、短期間でも最大限の結果を導き出す素晴らしい先生もいます。無責任な言い方ですが、“運が良ければ”そういう先生に当たり「救ってもらえる」かもしれませんが、依頼すれば百発百中というわけにいかないのが、家庭教師です。そのリスクを負う覚悟も必要で、受験終盤に家庭教師で起死回生を狙うのは、ギャンブルではあります。
最初の授業で親御さんが同席して十分吟味してください。ウマい先生は短時間で子どもをノセる術を知っています。学生さんでもいい教え方をする人もたくさんいますし、学歴は立派、知識も豊富なのに自分だけ突っ走り、生徒は置いてきぼり、という先生も少なくありません。
「違う」と思ったら、遠慮せずに先生を換えてもらいましょう。6年生なら様子をみて、という時期ではないと思います。交代が可能かどうかは、業者と契約を結ぶ前に十分確認しておきましょう。
★急増するオンライン家庭教師
新型コロナウイルスの感染拡大で、中学受験の勉強のスタイルも一部で変化し、「オンライン家庭教師」を売りにしている業者は急増しています。
家庭教師を依頼する家庭の場合、インターネットの環境も整っているケースが多く、それほど高いハードルにはならないと思いますが、真横に先生が付いて手取り足取りというにはやりにくさはあります。中には横で親御さんがサポート役としてパソコンの操作などを手助けしているケースもあります。低学年だとその傾向が強くなります。
★オンライン家庭教師のみで受験も増える!?
これから改善されていくかと思いますが、コロナ禍が落ち着いたとしても「新しい学びの型」として浸透していくと予想されます。今まで地域的にある程度限定されていた派遣される先生が、オンラインならば極端な話、東京在住の先生が札幌の生徒を教えることも可能になるわけです。幅広い選択ができるということは、力量のある先生との出合いの機会も増えます。
選択肢が増えることで「近所の塾へ行く」という中学受験の基本的な考え方も少し変わってくる気がします。しばらくは塾で補いきれないところを、オンラインの先生で補完する、というケースが多いと思いますが、通塾の準備、時間、交通費なども考え、オンライン家庭教師で受験を完結する、というスタイルも珍しくなくなるかもしれません。(受験デザイナー・池ノ内潤)