中学受験の第一歩塾選び(6)入塾試験

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必須の入塾試験 受験盛んな地域は残り枠をめぐり激戦に
単純明快な成績順によるクラス編成
入塾すれば成績はおのずと上がるのか?
なぜ上位の子は上位のままで下位の子は下位のままなのか
“負のスパイラル”から抜け出すリミットは5年生に上がる前が理想的

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必須の入塾試験 受験盛んな地域は残り枠をめぐり激戦に
 入塾希望の塾が見つかったとしても、大手進学塾の場合、入塾試験があります。小学校で習うレベルよりもはるかに高いものが出題され、小学校で「割とできる方」ぐらいの子どもは、あまりの難しさに自信を失いますが、これで「落とされる」ということは低学年ならあまりありません。

 ただ、受験熱が盛んな地域で、人気の塾の場合、小学校1,2年から通塾しているケースも多々あり、入れてあげたくてもすでに枠がのこりわずかで激戦になることはあり得ます。早いうちから地域、人気塾の動向を親御さんはそれとなく気にしている方が後悔しないと思います。

入塾試験には大抵合格する

単純明快な成績順によるクラス編成
 入塾試験の出来具合によって「クラス編成」が行われます。例えば、サピックスの大規模校舎の場合、トップクラスの「α(アルファ)」が複数あり、その下に「アルファベット」のついたクラスが、逆から順に高いクラスとして存在します。A~Hまでクラスがあった場合、「α」クラスに近いのが「H」で次が「G」となり、「A」クラスは最下位ということになります。

 この仕組みを知らないと「ウチの子、Aクラスに合格した!」と親御さんは感激しますが、実際は塾に入れてくれるものの、レベルは一番下ですよ、という意味になります。サピックスの大規模校の1つ自由が丘校になると6年生のクラス数は20を数えます。同じ塾に入塾してもそこには成績順という単純明快なヒエラルキー(階級)が存在します。

中学受験塾はある意味「階級社会」

入塾すれば成績はおのずと上がるのか?
 「一番下のクラスでも塾に入れば徐々に、自然と成績は上がっていくはず」と思っている親御さんは多いです。が、トップのクラスと一番下のクラスでは同じテキストを使っていても、授業内容、スピード、扱う問題の数が全く違います。

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 トップのクラスはのみ込みの早い子が多く、自然と事業のスピードは早くなり、扱う問題の数も多く、難易度の高いものにもトライし、力を付けます。しかし、下位クラスでは基本中の基本をやるのが精いっぱい。残ったものを家庭学習でやろうにも、実力が伴っていないため、自力でやるのはまず無理です。

 月に1度程度の「月例テスト」(サピックスではマンスリーと呼んでいます)でクラスアップのチャンスはありますが、出題される問題は“できる子に合わせた問題”。そうしないとトップクラスの子は高得点ばかりで、偏差値がうまく出ません。下位の位の子には歯が立たない問題ばかり。点数は振るわず、クラスアップのチャンスをなかなか生かせません。

下位クラスからの浮上はなかなか難しい

なぜ上位の子は上位のままで下位の子は下位のままなのか
 これが続くと、上のクラスの子はクラス落ちしたくないがために、一生懸命勉強しトップクラスなら維持、もう少しでランクアップできる子は真剣勝負で各種試験に臨み、実力に磨きがかかります。

 一方で下位クラスの子や真ん中くらいにいる子は、基本問題はできても難しい問題には手が出ず、そのうち勉強自体に面白みを感じなくなります。加えて、自分の周りの子も同じ顔ぶれで「みんな同じ」感覚でホッとしてしまい、そこから抜け出してやろうという強い気持ちはなかなか芽生えず、くすぶり続けることになります。

 このサイクルが繰り返される結果、受験本番を迎えれば結果は予想がつくと思います。

塾での成績が低迷し続けると“深海魚”になり浮上できず

“負のスパイラル”から抜け出すリミットは5年生に上がる前が理想的
 ざっと、典型的な流れを書いてみましたが、入塾した際の「はじめの一歩」がかなり重要だということです。しかし、早期に対策を打てば、“負のスパイラル”から抜け出すことは可能ですし、逆に何もせず浮かれていると転落して底なしの受験アリ地獄にハマってしまいます。また、入塾試験時は塾のレベルに慣れていなかっただけで、入塾して復習をしっかりし、各単元の積み残しをなくきっちりやれば、慣れるとグンと伸びて、上位の戦線に参戦できる子もいます。

 いずれにしても下位クラスからの脱出を図りたいのなら、5年生に上がる前に、というのが理想的です。次回は下位クラスからのスタートになった場合、どうやって這い上がっていくかを考えます。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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