中学受験 直前に個別にお願いして逆転は可能か
◆受験の窓口 今日のメニュー
・個別、家庭教師で「奇跡の逆転合格」!?
・短期間の個別では難しい「合格までのコーディネート」
・用心した方がいい家庭教師派遣会社のひと言
・逆転合格が十分可能な中学校の条件
・中学受験にはタイムリミットがある
★個別、家庭教師で「奇跡の逆転合格」!?
主に合格判定で常に20%(10人受けたら2人以下しか合格しない、ほぼ誰も受からないという意味)の受験生が、志望校に合格することを「奇跡の逆転合格」といいます。1度や2度模試で悲惨な成績をとっても逆転合格とは言わず、あくまでも平均値で見ます。
では、常に合格判定で20%の受験生が個別指導や家庭教師を利用して対策をした場合、思惑通り「奇跡の逆転合格」というハッピーエンドに至るのでしょうか。費用は決して安くないだけに、安易に「お願いします」という前に、しっかり考えた方がいいでしょう。
★短期間の個別では難しい「合格までのコーディネート」
個別の場合、生徒の要望でカスタマイズできるのが売りですが、その要望に応えられる先生が利用することを予定している教室にいるかどうかというのが最大の問題です。個別塾の多くの先生は大学生や院生です。
中学受験の算数などは中学や高校での数学とはまた一味違う世界なので、自らも中学受験を経験していないと、ピントがずれた教え方になります。加えて、“その世界”を知らないので、過去に1年通して受験生を面倒見て合格まで導いたなどの経験などがないと、目の前の問題の解説はできても、短期間で「合格までのコーディネート」(関係するところを調整し、最後に全体をまとめ上げる)をするのは、期待過剰です。よほど経験豊富な先生に当たらないと、「奇跡の逆転合格」作戦はうまくいきません。
通塾している進学塾に個別の教室が併設されているケースも多々あります。そちらのほうがまだ有効かもしれませんが、この時期は同じような熱望組が駆け込み寺のように殺到しています。こちらも塾のテキストなどの分からないところなどはクリアにしてくれますが、やはり肝心の「合格までのコーディネート」は難しいでしょう。
★用心した方がいい家庭教師派遣会社のひと言
家庭教師の先生はどうでしょう。各家庭教師派遣会社には「プロ家庭教師」という先生が所属しています。ホームページなどを見ると、輝かしい合格実績を誇る先生も多いです。
しかし、この直前期になって中学受験指導の経験豊富な先生にお願いするのはほぼ無理でしょう。そういう先生は何人も生徒を抱えています。来年以降の予約も入っていることでしょう。経験は浅いけれど、トータルコーディネートができる先生に当たれば、かなりラッキーなくらいでお願いする勇気が必要でしょう。
あまり「ウチにお任せください!」「この成績なら大丈夫です」などとやたらと営業の元気は良いという派遣会社は、すべてとは言いませんがご用心を。子どもの成績や答案内容、間違える内容のクセなど、さまざまなことを知らないと有効な指導はできないのが、中学受験の家庭教師です。
★逆転合格が十分可能な中学校の条件
個別、家庭教師にお願いしても簡単ではない逆転合格ですが、模試の80%偏差値がそれほど高くない「一般校」レベルならば、個別や家庭教師にアシストしてもらいながら逆転合格は十分あり得ます。首都圏模試の判定で偏差値50以下の中学校で、①入試の実質倍率(実際に受験した子どもの数÷合格者数)が最大2倍程度、➁入試を行う回数が多い場合は可能性が大きいです。
倍率が低ければ、追い抜く数も少なくて済みます。複数回の入試はチャンスが多いだけでなく、「熱望組」ということで、数回受験していると、直近のテストの点数に加点があるケースもあります。加点制度を公表している学校もあれば、していないものの事実上そうやっている学校もあります。
一般校の多くは基本中の基本の典型的な問題が多く、難関校を受験する子ならば“ご法度”の算数の解放暗記も有効です。2科目受験なら漢字の読み書き、計算の正確さを強く意識して取り組みます。4科目なら同レベルの中学校の過去問を練習問題代わりに取り組み、一問一答形式間テキストで人名や用語を漢字で答えられるようにすればイケるでしょう。
★中学受験にはタイムリミットがある
前にも書きましたが、本当の意味での「奇跡の逆転合格」はそう簡単に起こりません。12月の時点で判定が20%以下でも合格した子どもの多くは、遅くとも夏前から努力を継続して、それが模試が行われる12月にはまだ未完成でも、1月を経て2月の試験当日までに“間に合った”という場合です。
直前になって慌てても効果は限られます。中学受験にはタイムリミットがあるのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)