中学受験 6年生からの参戦はありか
◆受験の窓口 今日のメニュー
・コロナで増加?小6からの中受参戦
・6年参戦「あり」も「割とできる」では勝負にならない
・どこへ進学しようともカギは勉強習慣の継続
・朱に染まらず頑張るのは大変 親御さんも見守りを
・合格、入学だけでハッピーエンドではない
★コロナで増加?小6からの中受参戦
中学受験は新4年生の2月からスタート、というのが通常モデルです。最近はスタートの低学年化に拍車がかかっていますが、4割が4年生からの参戦です。5年生からも4人に1人程度いますが、これが6年生からとなると少数派になります。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によってオンライン授業など、公立中学校と私立中学校の非常時に対する取り組み方の大きな違いがクローズアップされたことなどで、今回の入試でも急きょ参戦組は例年より多いようです。
★6年参戦「あり」も「割とできる」では勝負にならない
6年生からの中学受験。もちろん「あり」です。ただ、多くの同学年の子はかなり先を走っています。追いつこうとは思わず、ひたすら自分のペースを刻んで、その結果として志望校にどこまで迫れるか、届くかという走り方になると思います。
とはいえ、1年後の入試本番では2年先を行っている、同学年の子と競わなければならないのですから、少なくとも中学受験塾が3年間のパッケージでやる内容のうち、基本くらいはひと通り抑えておく必要があります。
小学校で「割とできる方」くらいでは、中堅校どころか、一番高い偏差値が出やすいとされる首都圏模試の偏差値で40以下の中学にも合格できないのが中学受験。厳しい世界です。目指す中学校にもよりますが、基本くらいといっても3年分を1年でやるわけですから、本当に勉強漬けの1年になります。
★どこへ進学しようともカギは勉強習慣の継続
そういうことも6年生から参戦の親御さんは薄々分かっている場合もあり、身の丈に合った受験を目指す家庭も一定数います。個別塾や小規模の個人経営塾、あるいは家庭教師に依頼して学習を進め、偏差値、入試倍率ともそれほど高くない、基礎、基本をある程度抑えれば比較的合格しやすい学校をターゲットにします。
偏差値に関わらず、どこへ入学しようとも本当の勝負は中学入学後。身に付いた勉強習慣を入学後も継続すれば、次の勝負となる6年後の大学受験では、中学受験で難関校、上位校に進んだ同学年の子と十分渡り合える力が付きます。大学の合格実績を少しでも良くして“ウリ”にしたい中堅校、一般校は「勉強で頑張っている子」に手厚いです。中には学校挙げてのバックアップも期待できます。
★朱に染まらず頑張るのは大変 親御さんも見守りを
ただ、リスクもあります。受験勉強1年での中学入学は大いに褒められるべきですが、同じく入学してきた子の中には3年間進学塾に通いながらも成績が振るわずそこへ進学した、というケースも多いです。
能力はありながら、成績が振るわなかった理由は勉強習慣に問題があるからです。その勉強習慣が身についてしまった子が入学して心機一転、となるのはレアケースでしょう。朱に染まれば…ではないですが、13歳の中学1年生が、そこと一線を画して頑張る、というのは大人が思っている以上に大変です。
大切なのは中学受験で「やれやれ終わった」とならないことです。入試突破はゴールではなく、次の試合のプレーボール、キックオフでもあります。普段の学校生活、部活動では仲良くしても、勉強に関しては「ここからが本当のスタート」という気持ちで大勢に引きずられないよう親御さんも見守ってほしいと思います。
★合格、入学だけでハッピーエンドではない
確かに今回のコロナ禍でオンライン授業や課題の設定で一部の中学は機敏に行動し、一定の成果を挙げ「有事でも対応できる」ことを証明しました。格好のアピールだったと思います。しかし、「見えないところ」「隠しているところ」があるのも私立です。6年生からの参戦、合格、入学となってもそれだけでハッピーエンドではありません。環境は手に入れても、有効活用できるかどうかは入学後の行動にかかっています。(受験デザイナー・池ノ内潤)