気になる広尾学園小石川の今後
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・伝統校から新たな進学校の誕生
・新生スタートで実質倍率5倍の大人気
・「エキチカ」は偏差値上昇につながる
・“ご近所”に名門校がつくる雰囲気
・「校名」が難易度アップに拍車
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★伝統校から新たな進学校の誕生
1909年(明治42年)創立の伝統校、村田女子中学・高校(東京都文京区本駒込)が、2021年4月から共学校の「広尾学園小石川中学・高校」として新たなスタートを切りました。広尾学園(港区南麻布)と3年前から「教育連携」を開始。教職員の人事交流や学校施設の相互利用を行い、教員研修は合同で実施し、広尾学園小石川の松尾廣茂校長は「質の高い授業をできるように研鑽を積み重ねてきた」と、満を持してのスタートであることを強調しています。
具体的な動きとしては新規スタートとともに、教頭として広尾学園人気のベースを作った一人でもある松尾校長をはじめ14人の教員が広尾学園から異動。他の進学校からも受験指導に実績のある4人の先生が加わるという、大幅な“地の入れ替え”をする方針を打ち出しています。伝統の継承というより、新たな進学校の誕生と言ったほうが早いかもしれません。
★新生スタートで実質倍率5倍の大人気
21年4月新規開校に、中学受験の生徒がいる親御さんたちは色めき立ちました。学校名がガラリと変わり、しかも「広尾学園」の冠付きです。村田女子中学は2016年を最後に募集を停止しているので比較は難しいですが、ほぼ定員割れ状態だった同校は、2月1日から4日間、計5回の入試で男女計1713人が受験し、341人が合格。単純計算で実質倍率5.0倍の大激戦入試となりました。
1年目からこの人気は、紛れもなく「広尾学園」効果です。07年に順心女子学園から校名変更し、偏差値を一気に30近く上げた同校は平成の終わりのころから、中学受験界でちょっとした“旋風”を巻き起こしました。「インターナショナル」と理系教育を中心に、一躍人気の難関校への道を駆け上がり、四谷大塚の合不合判定模試で、80%偏差値が最低でも「59」(2月1日午前)に設定され、簡単には合格を勝ち取れない学校になりました。
入試が行われていない時点で広尾学園小石川は、四谷大塚の同模試20年の80%偏差値が「49」に設定。21年の入試結果を反映した新しいランキングでは50を超える回もあり、大手進学塾の予想を上回る結果偏差値となりました。それでも広尾学園と同じような教育が受けられ、今なら偏差値が10低くても手が届くとあれば、関心が集まらないわけがありません。
★「エキチカ」は偏差値上昇につながる
初年度で偏差値50程度なら今後数年以内に“本家”の広尾学園に引けをとらない難易度にまで上昇するのは必至でしょう。それだけの可能性が広尾学園小石川にはあります。
可能性実現の1つの条件は「エキチカ」です。広尾学園も東京メトロ日比谷線の広尾駅出口から徒歩1分という恵まれた場所に位置していますが、広尾学園小石川も同三田線千石駅出口から徒歩2分の距離。最寄駅から近いというのはそれだけで学校の魅力を押し上げ、偏差値にしてプラス1、2の効果があります。特に女子の場合は至便さと制服が決定打になることが多いです(制服はグレーを基調としたもので、個人的には地味に感じますが…)。
同じ共学、同じく女子校から2015年に改称した開智日本橋中学・高校も最寄駅から徒歩3分とアクセスが良いことから偏差値、人気ともに急上昇。渋谷教育学園渋谷も渋谷駅から徒歩7分ですが、JRに私鉄、地下鉄とあらゆる方向からアクセスできるのが便利な点はやはり魅力で、「エキチカ」の広尾学園小石川も同じ道を歩む気配がします。
★“ご近所”に名門校がつくる雰囲気
「近くに名門校がある」というのも難易度上昇とレベルキープに深く関連します。広尾学園小石川の目と鼻の先には、都立の小石川中等教育学校があります。都立の中高一貫校の中では偏差値が一番高く、21年度は競争率5倍の人気校で、今春は東大合学者18人(すべて現役)を輩出しました。
“ご近所”に名門校があるというのは良い刺激を受けます。都内では筑波大学附属駒場(世田谷区池尻)の“ご近所”に駒場東邦が、千葉では渋谷教育学園幕張の“ご近所”に昭和学院秀英がそれぞれあります。いずれも「切磋琢磨」しながら、それぞれ進学実績を積み重ねています。普段はそれほど意識しているわけではないと思いますが、その空間がつくり出す雰囲気というものがあります。親御さんとしては期待を持って子どもを送り出せる立地条件です。
★「校名」が難易度アップに拍車
都心に偏差値帯で親御さんが満足する共学校は割と少ないのが現状です。渋谷教育学園渋谷、広尾学園は難関・上位校レベルで偏差値60以上でないと勝負にならず、開智日本橋は今後さらに人気も偏差値も上昇する期待感はありますが、中堅校として広く認知されています。
広尾学園小石川の今後の難易度は確実に上昇すると思われますが、どこまでいくかは未知数。「広尾学園」というブランド、文教地区の代名詞「小石川」が加わって、校名のイメージが難易度上昇に拍車をかけることは確実で、どこまで伸びるか注目度は高いです。(受験デザイナー・池ノ内潤)
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