中学受験の偏差値50はスゴいのか?

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・中受の偏差値50はハイレベル
・中受の50は同学年全体だと62
・偏差値50の意味合いはそれぞれ
偏差値50から抜け出すには…
・偏差値50程度でOKだとしても…

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中受の偏差値50はハイレベル

 「“偏差値50”って実は同学年全体の平均よりずっと上の位置なんだよ」。コミック「二月の勝者―絶対合格の教室―」2巻の中での言葉です。作品の舞台となる進学塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」の職員会議での1コマで出たフレーズです。

 「偏差値50」とはちょうど真ん中の順位、100人いれば50位のことをいう、いわゆる平均ですが、この位置を「ずっと上の位置」と説明した背景には、中学受験がかなりハイレベルな戦いになっていることを物語っています。

中受の50は同学年全体だと62

 コミックの中でも触れていますが、中学受験にチャレンジする層は、小学生全体の上位2割の層が中心です。例えると小学校で1クラス30人いたら、6人が中学受験する計算です。いわゆるクラスでは「勉強のデキる子」です。

 仮に小学生の同学年全体で1つの実力試験を行った場合、上位2割の層は概ね偏差値57~58です。クラスで3番目の子の場合は上位10%程度なので偏差値62くらいでしょう。しかし、中学受験をする子どもたちだけで実力テストをやると、この小学校のクラス3番の子は偏差値50前後というところになります。小学生全体を対象にしたテストと比べ12ポイントも落ちてしまいます。

 小学校の中でクラス3番の子は間違いなく「デキる子」という認識で周囲は見ています。しかし、中学受験の世界で偏差値50は「並」、その数値を割ると多くの親御さんは「ウチの子はデキない」と判断してしまいます。「小学校ではいつも満点なのに、どうして塾へ行くと…」と嘆く親御さんは多いのですが、各小学校のトップ層が集まってくる中学受験ですから、デキる子ばかりの集団というのを頭の隅に置いておく必要があると思います。

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偏差値50の意味合いはそれぞれ

 中学受験の世界で偏差値50の学校は文字通り「中堅校」という位置づけです。しかし、高校受験で同じ学校に入学しようとすると、偏差値は一気に上がり65前後の「難関校」になることが多いです。単純な発想ですが、中学受験組だけで実力テストを行った際の数値と、小学校の同学年全体で実力テストを行った場合の数値の差と似通ったものとなって現れます。

 数値だけを見れば中学入試で入学してしまえば、高校入試で高い壁に挑戦しなくても済むと考えられます。同じ偏差値50といっても、中学受験、高校受験、大学受験とそれぞれの物差しがあって、すべて同じように「真ん中」とはくくれないのです。

高校受験になるとまたレベルが違ってくる

偏差値50から抜け出すには…

 中学受験での偏差値50がスゴいこと、というのは頭で理解していても、多くの親御さんは「それ以上」を望みます。小学生の上位2割の争いです(一部に学力レベル度外視で参戦の組が一定数いますが、そこはあまり考えなくても良いでしょう)。最初にどのあたりの順位に立つかによって、その後の流れはある程度決まってきますが、4年生から5年生前半の過ごし方によって逆転も十分可能ですし、やるべきことをやらないと上位からの転落もあり得ます。

 この1年半、徹底した基礎、基本の習得と反復、暗記ではなく「理解する」(どうしてそうなるのかを子ども自身が説明できる)勉強に徹します。スピードもある程度大切ですが、それよりも1つ1つの理解の方が優先です。基礎という「質」が固まっていないと、次に数多くの問題を解く「量」の勉強ですぐ音を上げてしまうのです。いわゆる「勉強体力」がない状態です。一部の例外を除き、中学受験の偏差値と勉強の質量は比例していきます。

 受験の前半戦と位置付けられる最初の1年半は、まだエンジンがかかっていない子どもがほとんどです。エンジンがかかってからでは実力的に勝てそうもない子にもこの頃は簡単に追い抜けることも珍しくありません。ここで理解を前提とした基礎を固め、理社や漢字など知っていればできるもので先行します。上位に位置し、最後の1年は算数や苦手科目の克服に充て、6年秋の過去問など志望校対策に入るというロードマップです。

基礎の反復こそが脱出の鍵

偏差値50程度でOKだとしても…

 そこまでやらなくても…という親御さんもいることでしょう。最近のトレンドは「身の丈に合った受験」です。その場合でも基礎、基本の徹底だけは忘れないでください。

 実は中学入試問題の多くは基本を押えていれば対応できるものばかりです。難関校でも確実に半分は得点できます。応用問題といわれるものも、基礎と基礎が組み合わさり、表現を変えて出題されている場合がほとんどです。急がなくて良いので、ベーシックなところをきっちりやることで、偏差値の乱高下がないことから、入試本番は精神的に安定した状態で迎えられます。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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