「二月の勝者」にみる「し烈なデスロード」
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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・タイトルホルダー狙いの受験生
・「灘ツアー」に「開成ツアー」
・珍しくない「渋幕落ちた」
・2月のデスロードにハマらぬ布石
・ 中学受験は「予選リーグ初戦」
タイトルホルダー狙いの受験生
日本テレビ系ドラマ「二月の勝者―絶対合格の教室―」の最終話で、1月の前受験から「し烈なデスロード」と称される受験校の組み合わせで挑む層がいることに触れていました。前受けの段階から埼玉、あるいは千葉の偏差値から見て最難関を受け、2月も東京、神奈川で最難関にアタックする「ヒリヒリするような受験」です。
「デスロード受験」に関連して、本来プロ野球などで本塁打王や首位打者を獲得した選手への称号として使われる「タイトルホルダー」という言葉を、中学受験にあてはめると「各都県の最難関校合格」という栄誉となります。黒木先生が話していたように、関東から「 超難関校、灘(神戸市)というタイトルを取りたいがために遠征までする受験生もいます」。
「灘ツアー」に「開成ツアー」
コロナ禍以前、大手進学塾の中には「灘ツアー」といって、東京から先生が引率して新幹線に乗り、神戸まで遠征。「タイトルホルダー狙い」の受験生が2日間の試験に臨んでいました。
逆バージョンもあり、関西の進学塾が「開成ツアー」を組み、東京に遠征。1日に試験を受け、2日は東京ディズニーランドで遊び、3日の合格発表を見て帰るという日程でした。灘などに合格した受験生がタイトルホルダー狙いで、開成も「制覇」してやろうという、ゲーム感覚の「ツアー」です。
多くの受験生には全く関係のない話ですが、トップ層の親御さんの中には中学受験が難関校合格という「勲章」欲しさの「ゲーム」になっている方が存在します。一方で東京在住で灘に合格し、母親と子どもが神戸へ移り住む子もいます。開成でも東北や中部地方、広島や九州から受験し、合格後に引っ越して入学する子も毎年います。同じ最難関を受験するのでも、180度感覚が違います。
珍しくない「渋幕落ちた」
首都圏1都3県で「し烈なデスロード」受験になる生徒は、第1志望はきちんとあるものの、併願校も第1志望に相当する学校を選び、並べる傾向にあります。
男女とも前受けで選ばれるのが首都圏会場入試を行う奈良県の西大和学園(合格可能性80%偏差値67、四谷大塚合不合判定テスト4月実施の偏差値、以下同)、埼玉・栄東の東大特待(男子65、女子68)。偏差値65前後の受験生によるハイレベルな競争は21年度の場合、西大和でも1.7倍、栄東は4科入試で2.2倍、算数1科では4.5倍に達しました。
し烈なデスロードは続きます。1月23日は千葉の最難関・渋谷教育学園幕張(男子70、女子72)も厳しい勝負になります。倍率は21年度は2.4倍。男子なら開成や筑波大附属駒場、聖光学院、女子なら桜蔭や慶應義塾中等部狙いの子が数多く受験しますが、これらの学校に合格しても「渋幕は落ちた」という生徒は珍しくありません。
対策が難しいとされる渋幕に合格して、2月へ弾みをつける子、残念な結果となり気を引き締める子…。2月約1週間前の千葉最難関入試で、トップ層の緊張感は徐々に高まってきます。
2月のデスロードにハマらぬ布石
2月はデスロードの終盤戦です。1日に男女御三家の入試、2日に神奈川では聖光学院と栄光学園が、千葉では渋幕の2回目、女子も御三家に引けを取らない豊島岡女子学園の1回目があります。3日は都立の中高一貫校や筑駒、神奈川では浅野の1回きりの入試です。
1月のデスロードで入試を重ねるごとに調子を上げてきた子は、2月受験でも割と結果を出します。男子なら開成、聖光、筑駒3連勝とか、女子も桜蔭あるいは女子学院、豊島岡連勝というパターンです。
逆にデスロードにハマってしまい、1月に厳しい戦いで連敗すると「負の連鎖」になることもしばしば。1月中にどこかで1つか2つ「白星」が確実に付く学校を受験する布石を初めから打っておくのがベスト。そこで態勢を立て直して再スタートを切ります。
中学受験は「予選リーグ初戦」
デスロードを戦い終えて、「タイトルホルダー」となった子もいれば、一敗地にまみれ本意でない中学へ進学することになる子もいます。いずれにしてもそれは中学入学後区切りをつけなければ次へ進めません。
「タイトルホルダー」になってもそれは自己満足の世界。中学ではまた一から、スタートラインは同じです。希望の中学に進めずいつまでも引きずっていると、中学入試の時点では偏差値的に下だった子に簡単に抜かれ、次のリベンジのチャンス、大学入試でも勝負になりません。
デスロードを戦った経験は無駄ではありません。そういう勝負ができる子は限られているわけで、挑戦するレベルに達しただけでも頑張った証です。しかし、中学受験は人生の中でいえば「予選リーグ初戦」ぐらいの位置づけ。勝っても負けても「まだ次がある」のです。負けるより、勝つに越したことはありませんが、まだまだ勝負所は先。中学入試の「勝ち組」は人生の勝利者ではまだありません。(受験デザイナー・池ノ内潤)
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