「この10年で伸びた学校」は本当に伸びたのか

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東日本から中高一貫校は6校
大宮開成の合格ボリュームゾーン
洗足、頌栄は進化を遂げ伸び盛り
・広尾学園、栄東、安田学園は…

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東日本から中高一貫校は6校

東大合格者数などを詳報している週刊誌「サンデー毎日」の4月16日号に「理系注力や行政政策で奏功 この10年で伸びた高校は?」という記事が掲載されています。

東日本と西日本の高校で、東日本の場合、国立の旧7帝国大学と私立の早慶上理、MARCHの計16大学を「難関大」と位置付け、その合格者数を10年前と比べて増えた数が多い学校を取り上げて分析しています。東西それぞれ15校ずつ、公立、私立を合わせたランキングです。

中学受験がある学校で東日本から名前が挙がったのは6校。それぞれこの10年、学校改革、授業や課題の見直しなどを積み重ねてきたことがうかがえる「努力した一貫校」という共通点があります。

一方で、単純な数字比較だけでは見えてこない、大学受験に関する「実態」は記事からそれほど伝わってきません。合格者数(正確には延べ人数、1人で3学部合格の場合は3人でカウント)が物語る「本当のところ」はどうなのでしょうか。

大宮開成の合格ボリュームゾーン

東日本で一番伸びたとされているのが大宮開成です。増加数732人で10年前の約3倍が難関大合格という結果になっています。

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23年度入試も立教、中央、法政の合格者数が全国トップ。ここ数年定着している「MARCHに行くなら大宮開成」という評判は、相変わらずという結果です。余談ですが、大宮開成の私立大の「区分」は「早慶」「SMART」(上智=ソフィア、明治、青学、立教、東京理科)「中法学」(中央、法政、学習院)となっています。

それ以上に10年前との変化は早慶の合格者が格段に増えたことです。早稲田は39人から84人、慶應は9人から49人と4.5倍です。

旧帝大は以前から東大、京大も時々合格者を輩出していましたが、23年度は北大に11人、東北大6人が合格。国公立大合格者は計129人を数え、徐々に真の「進学校」へと脱皮しつつあります。

大宮開成は入学後、ガリガリ勉強させる学校です。ただ、最近は少しやり方を変えて予習をマストにせず、復習重視でアウトプットが多くなるよう工夫をしています。課題に追われず、やらせれている勉強から自学へという路線変更が効果を発揮している可能性があります。

ただ、難関大への合格が目立つ一方で、同校の「合格ボリュームゾーン」は日大や東洋大、千葉工大など中堅校です。学校の「真の実力」が分かる、実際に何人が早稲田に、慶應に進学したのかの「実数」が知りたいところですが、大宮開成は公表していません。

開成(同じ字だが大宮開成とは全く関係なし)や聖光学院、豊島岡女子学園、吉祥女子などは実進学者数を公表し、進路の実態がよく分かります。そろそろ大宮開成も…。その時にどれくらい伸びたのかの本当のところが分かります。

大宮開成

洗足、頌栄は進化を遂げ伸び盛り

女子校で名前が挙がったのは、神奈川の洗足学園と東京の頌栄女子学院の2校です。

サンデー毎日の記事中では安田教育研究所代表の安田理さんが。もともと英語に強かったうえに理系への興味・関心を感化したことが、合格実績、特に理系合格を促進している、などと分析しています。

中学受験生を持つ親御さん世代か少し上の世代は洗足学園は「音楽をやる女の子が進む学校。偏差値はそれほどでも…」というイメージです。それが今では神奈川の人気、それも難関私立の一角として存在感のある女子校です。

平成の初めから学校改革に取り組み、まず「英語に強い洗足」として文系難関大学への合格者数を増やし、続いて国公立、最近は社会のニーズに合わせて理系もお任せ、と確実に進化を遂げています

東大合格者数は23年度22人。20年度7人から21年度は2桁の10人、22年度は倍の20人とし、今年はさらに2人増と破竹の勢い。安田さんの指摘通り、今年は22人中約半数の10人が理系(理Ⅰ6人、理Ⅱ4人)。入学時から「ポテンシャルのある子が多い」(学校関係者)こともあり、まだまだ伸びそうです。

頌栄女学院は早慶の伸びが顕著です。特に慶應は23年度、前年比31人増の120人。合格者ランキングでは、同数で2位の渋谷教育学園幕張、浅野の121人とほとんど変わらぬ4位でした。

私大文系受験のカギを握る英語について頌栄は、原書に接する機会を多くし、英文への慣れを中学時から実践。「受験を意識しているわけではない」と同校では説明していますが、「英語の頌栄」を物語るように、英語勝負の慶應で結果を出しているのはまさに面目躍如です。

東京理科大など理系への進学も増えており、こちらも伸び盛りの女子校です。

洗足学園

広尾学園、栄東、安田学園は…

超が付く人気校の広尾学園、首都圏中学入試のトップバッターの「顔」として知られる栄東、改革から10年の安田学園の3校も10年前から伸びた学校として取り上げられています。

広尾学園は10年前の2013年、全身の女子校から共学に転じて最初の卒業生を出した時期だったので、その後の人気ぶりから見ると伸びは「当然」、一部の親御さんからは「もの足りない」という厳しい意見も聞かれます。

中学入試の偏差値は賛否両論あるものの「小分け入試」で着実に上昇し、10年前とは入学時でのレベルが違う子が多数入っていますが、看板の「医進・サイエンス」や「インターナショナル」以外の合格実績アップが更なる飛躍のカギを握っています。

栄東は東京理科大が3倍以上合格者数が増え、MARCHの合格者数も10年前割増加し、全体的に底上げに成功したといえます。

一方で早稲田は微増も慶應、上智は10年前より少ない状態。看板の「東大選抜」は、多くの受験生を毎年集め、特待制度などを設けて盛り上げていますが、23年度の東大合格者数は13人で10年前の12人から1人増えたものの、16年の27人をピークに横ばいやや減少傾向です。

安田学園は共学化以来、すっかりイメージチェンジし、偏差値も上昇、中堅校の中でも人気があります。23年度は東大合格者を2年連続で輩出。早稲田は10年前の3人から35人、同じく上智も4人から36人、明治も11人から61人と私立は大いに飛躍しています。

次は国公立大。23年度は東工大2人、筑波4人、千葉大で10人が合格しました。進学面では学校改革は順調の様子。24年度期待の1校です。

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