どう違う?放任の伝統校と面倒見良い新鋭校
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・「放牧」状態の伝統校
・身近にいる東大サンプル
・発展途上の「東大コース」
・学校選びに「校風」は大切
「放牧」状態の伝統校
開成をはじめ、筑波大附属駒場(通称ツクコマ)麻布、神奈川の聖光学院や栄光学園など、東大合格者ランキング上位に名を連ねる、歴史のある「伝統校」のイメージは、世の中ではどういうものでしょうか。
「勉強、勉強の毎日」、「東大以外の合格は意味がないという雰囲気で学校が尻を叩く」などの声が聞かれることもしばしばあります。実際のところ、ガリ勉の生徒は少数派で、学校側もほぼ生徒たちを「放牧」状態です。
確かに開成の中には、東大合格の登竜門、大学受験塾「鉄緑会」に早くから通っている生もいます。聖光学院は教員が作成するテキストが充実、レベルの高い先生も多く「塾いらず」で有名で、勉強をしようと思えば「環境」は整っています。
それでも、現役合格する子のエンジンがかかるのは、高校3年の夏休みから秋にかけてが大半。開成ならメインイベントの運動会が行われる5月中旬までは、ほとんど勉強にならないといいます。
学校にも東大受験用の講習も補習もなければ、「東大へ行け」と発破をかける先生も皆無です。学校のバックアップを期待していた親御さんは「こんなはずでは…」と戸惑うことも少なからずあるようです。
身近にいる東大サンプル
伝統校の生徒は東大に合格した先輩たちの姿を中学1年の時から何気なく見ています。この経験は後々大きな意味を持ちます。
「だいたいこれくらいの時期から先輩は始めていたな。俺もそろそろ」とか「あの先輩は学年順位これくらいで東大現役合格か。とすると、俺は…」などと逆算します。身近に尺度となる人がたくさんいて、東大受験のイメージがしやすい環境にあります。
嫌味ではなく、東大あるいは東大生が割とリアルに感じられるので、あまり深いことを考えず東大を受験します。学力はともかく、東大受験への精神的な「ハードルの低さ」が、合格数にも大きく影響しているのは間違いないでしょう。
東大でなく、他の国立大学や医学部、早慶などでも、数多くの先輩のサンプルを参考に将来も考えて、それぞれ受験校、進学先を見つけていきます。
そこに高校の先生からの手厚い進路指導はなく、どこまでも「自己決定」で次の道へと進みます。学校も生徒をよく言えば「大人扱い」、別の言い方をすれば「ほったらかし」です。
発展途上の「東大コース」
一方、最近人気の「新進気鋭の中高一貫校」は、手厚いフォローを前面に出して学校をアピールしています。最近は、英語、ICT、探求型授業の「3点セット」プラス大学進学への徹底指導と、そのボリュームは盛りだくさんです。
放牧されている伝統校とは対照的に、中学のころから補習、小テスト、宿題、学習手帳でのスケジュール管理など、至れり尽くせりは「面倒見の良い進学校」の「売り」です。システム化されたカリキュラム、コース設定で難関国公立大学から医学部、私学有名大学への合格を描いて、親御さんにプレゼンします。
この「進学校」からも東大は若干名合格します。学校側は、生徒本人の合格とともに、合格者が出れば志願する受験生が増えるという「東大効果」を知っていますから、「金の卵」の育成に学校挙げてバックアップします。「東大コース」「特進クラス」「アドバンス」などの冠を付けたクラスの実績を強調、親御さんに「ここに入れば…」という気持ちにさせます。
ただ、多くの特別編成クラスは看板は立派なものの、まだ「発展途上」という学校は少なくないのが実状です。コースに入り、トップクラスの成績で走り続け、そのまま合格となる生徒がいる一方で、ハードなカリキュラム、大量の課題の海に溺れて、思い描いた進学先にならないこともしばしばです。
学校の特進コースには入れなくても(入らなくても)「独自路線」を貫いて難関大学の合格を勝ち取る生徒もいます。男子に多い傾向ですが、高校生になると周囲の環境に関係なく、「勉強する」と決意を固めた子は、学校の指示に従って進む子よりも受験での「底力」が違います。
学校選びに「校風」は大切
伝統校か、新進気鋭の進学校か、どちらがマッチするのかは子ども次第です。
歴史ある「伝統校」に合格、進学となれば親御さんとしてはうれしくもある反面、学校側の「放任」に不安な気持ちになります。子どもが部活に、学校行事にと熱を上げ、縛りがないことですっかり勉強しなくなったことにイライラすることもあります。
面倒見のいい学校はレールに乗ってしまえば、安心かもしれませんが、総じて「勉強第一」であることは否めません。成績が落ち込んで「深海魚」になってしまうと、補習はしてくれますが、後は自力で這い上がるしかありません。どこまでも面倒見が良いわけではありません。
どちらがいいのかは、家庭の価値観によって違います。学校選びの際に偏差値だけでなく「校風」が大切なのは、こういうことからも言えるのです。
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