慶應23%、早稲田19%…学校の素顔「実進学数」

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・素顔が見えない「大学合格実績」
東大を「蹴った」2人はどこへ?
学部学科まで明らかにする女子校
・「大学合格実績」=「集客効果」

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素顔が見えない「大学合格実績」

親御さんが我が子の受験校を決める際に重視する指標の1つが、併設高校の「大学合格実績」です。

「早稲田100人、慶應180人、明治120人…など、学校によっては目を引く数字が並び、「ここならいいかも」と親御さんは熱い視線を注ぎます。

ただ、大学の合格者数を足し算していくと、優に卒業生の数を超えるケースが多々あります。

「大学合格者数」は1人で同じ大学の3つの学部に合格した場合、合格者数は「3人」とカウントされます。

「早稲田100人合格」は必ずしも100人の生徒が合格したわけではなく、もしかしたら実際には30人しか合格しておらず、その30人が3学部も4学部も受かっているのかもしれません。

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また「大学合格者数」では、その大学に実際何人が入学したのかはわかりません。

実合格者数が30人だとしても全員が早大進学というわけではないでしょう。それが29人なのか、半分の15人なのか、もっと少ない10人なのか、「大学合格者数」だけでは、中高一貫校の進学実績の「素顔」が見えてきません

東大を「蹴った」2人はどこへ?

中高一貫校の進学実績の「素顔」を知るためには、各中高一貫校から各大学への「実進学者数」を知る必要があります

男子御三家の筆頭格、開成はホームページで実進学者数が分かる大学入試結果を公表しています。

開成は23年度の大学入試で慶應に現役浪人合わせて163人が、早稲田には同192人がそれぞれ合格。慶應は全国1位、早稲田は2位の合格実績でした。

しかし、実際に進学した数は慶應で38人(現役24人、浪人14人)。割合としては23%でした。早稲田は37人(現役21人、浪人16人)で19%と、合格者が5人いたら4人は早大に進学していないことになります。

「合格者数の割には…」とイメージが大きく変わってきます。

基本的に1人で1大学しか合格しない国公立大には、合格すれば全員進学すると思われますが、開成公表の資料によると、東大ですら合格したのに進学していない生徒がいることが分かります。

23年度の開成の東大合格者数は148人(現役118人、浪人30人)ですが、現役で理科I類に合格した2人が入学していません。推測の域を出ませんが、もともと医学部志望で東大理Ⅲは難しくて敬遠したものの、私立の医学部に合格した、というケースなのかもしれません。

学部学科まで明らかにする女子校

開成は大学名と学部までの公表でしたが、学部学科まで細かく公表している中高一貫校もあります。東京都世田谷区の女子校、田園調布学園です

「東京外国語大学国際社会学部国際社会学科中央アジア地域1名」「早稲田大学創造理工学部環境資源工学科1名」「法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科1名」「洗足学園音楽大学音楽学部ミュージカルコース」

こんな具合に22年3月卒業の生徒の進路が事細かに明かされています。

東京女子大の現代教養学部国際英語学科に3人が進んだのが「同じ大学同じ各部同じ学科」では最多。ほとんどが「1人」でそれぞれの意志で、それぞれの専攻に進んでいることも分かります。

学部だけでなく、専攻まで分かると、顔もどんな子かも知らないにもかかわらず、多彩な進路に進む子どもたちが通った学校は「楽しく、多様性が認められる、それぞれ居場所がある学校」というイメージが出来上がります。学校選びの際に印象に残ります。

親御さんとしても我が子の「将来」の一部が具体的に見えてきます。中学受験をするうえで大いに参考になります。

入学後、子どもにとっても「先輩の実績」を知ることは意味があります。中高一貫校は親より、先生より、先輩の影響を受けます。「私も先輩のように…」と目標になります。 進路をきっちり公開することで学校に対する信頼も深まり、悪いことは何もありません

田園調布学園中等部・高等部

「大学合格実績」=「集客効果」

「大学合格実績」は大半の中高一貫校が公表しますが、「大学の実進学者数」を示す学校はそう多くありません。

どちらかというと、進学実績に自信がある難関・上位校が公表していますが、総数からするとまだまだ、です。

背景には「集客効果」があります。

大学合格実績は、志願者増減に大きくかかわる「分かりやすい指標」。国公立大の合格者数だけでなく、早慶やMARCHの合格者数が多ければ多いほど、翌年「人気校」として注目されます。

私学も「教育」とともに「経営」を考えなければなりません。志願者から集める「受験料」も重要な収入の柱。そのための「合格実績」です。

公表していない学校には、学校説明会の個別質問などで尋ねます。

その際に「集計していない」とか「非公表」など、明らかにすることに難色を示すようなら、素晴らしい説明会の話も「半分」に聞いておいた方が良いです。

すべてとは言いませんが、入学後も親御さんが「知りたいこと」をあまり伝えない学校、という傾向が強いからです。こういうところからも「学校の素顔」が分かります。

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