2・1どっちを受験?早稲田中と早大学院の違い
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・違いは「決定」と「選択肢」
・クセある学院入試 一本槍組多数
・早中1回目入試合格への2作戦
・求む「試行錯誤して進める」子
違いは「決定」と「選択肢」
早稲田大学系の中学で男子校は、大学が直接経営する「早稲田大学高等学院中学部」(早大学院、通称「ガクイン」、東京都練馬区)と、経営が別の学校法人の系属校「早稲田中学」(通称ソウチュウ、新宿区)の2校があります。
学院が原則早大推薦100%なのに対し、早中からつながる早稲田高校は約半数前後(約150人程度)の推薦枠で、毎年その枠も「余る」という状態です。
早稲田高校の卒業生の残り約150人は東大や他の国公立大、医学部に進学、あるいは次年度に捲土重来を期します。
12歳の時点で「ワセダ進学決定」か「ワセダも選択肢の1つ」なのかが、一番わかりやすい両校の「違い」です。
クセある学院入試 一本槍組多数
早大学院の中学入試の機会は1回のみ。2月1日午前に4科入試となります。
午後に男子校では珍しくグループ面接があります。受験の条件としては小学校からの「調査書」が必要となります。
面接は10分強で終わりますが、面接までに約2時間待った受験生もおり、緊張感を持続するのがなかなか難しいです。
質問は入学後の抱負や家族との会話の内容などで「自分のことを漢字1文字で表すと何という字?」という質問もあったようです。
四谷大塚の合格80%偏差値(Aライン)は「64」、同50%は「60」(Cライン)。合格最低点が非公表なので合格の目安がつかめないのがつらいところです。
実質倍率が例年3倍強で、問題の難易度は同偏差値帯の学校と比べても高いといえます。
それでも6割程度(360点満点で216点程度)の得点は欲しいところ。5割台だと学院を第1志望にと的を絞ってきた受験生と戦って合格する見込みは低くなります。
問題が凝りすぎて参考にならないという意見もありますが、「学校別模試」で立ち位置を確認しておくことが、合格戦略を練るうえで1つの指標になります。
国語と算数はともに100点満点。国語も記述問題の出来で差がつきますが「クセのある」算数は「解ける問題」と「難問」との落差が激しいので、「解ける問題を確実にとる」のが基本中の基本。あとは学院頻出問題の「操作」の問題が出たときは、粘り強く向き合うことが合格へと近づきます。
理社は配点比率が高く、それぞれ80点満点。理科は割と基本問題が多く、ケアレスミスが致命傷になります。社会は地理のグラフ、資料の読み取りが素早くできるかがポイント。続く歴史もテンポよく答え、年によって難易度に差がある公民・時事問題勝負に持ち込まないことが肝です。
1月25日の埼玉・立教新座を「前受け」にする男子は相当数いますが、他の併願校はこれと言って目立たず「学院一本槍」の受験生が多いです。
22年度の合格者数133人に対し、入学は121人。歩留まり率91%、同23年度131人合格で120人入学、歩留まり約92%の数字がそれを物語っています。
早中1回目合格への2つの視点
一方の早稲田中学も首都圏入試で屈指の人気校です。
2月1日の1回目は第1志望、熱望組が700人前後受験。2回目入試は1回目のリベンジを果たすべく再挑戦組と、開成や聖光学院などの最難関校受験組が第2、第3志望として受けに来ます。
四谷大塚のAラインは1回目入試が「64」、2回目入試が「67」。偏差値的にも2回目に受験する「メンツ」を見ても、早中は「第1回入試必勝」で臨みたいところです。
1回目不合格で、2回目リベンジの心意気は買いたいのですが、現実問題として「作戦成功率」は1割程度、2割には満たないの例年の結果です。
合格者最低点も2回目の方が例年10点近く高いことから、事実上「チャンスは1回」という覚悟も必要です。
国算各60点満点、理社各40点満点の計200点満点。1回目入試の合格最低点の過去5年の平均点が121点でした。どの教科も数カ月対策をしたからといって合格できるほど甘くない、偏差値に匹敵した良問が並びます。
逆に言えば、早稲田を目指して地道に頑張ってきた生徒の「努力を裏切らない」問題ばかりです。早稲田中で「逆転」より「順当」の合格が多いのは、そういった出題傾向だからだといえます。
1回目入試での合格のポイントは2つ。1つは合格者平均で10点差が付く「算数で基本問題を取りこぼさない」こと。ここで小問2問ミスをすると合格が危うくなります。やや難度の高い後半の小問を深追いするより、「得点できる問題」を確実に仕留めます。
もう1つは「理社でぶっちぎる」です。算数がやや弱い子の作戦です。
過去5年の理社は合格者平均と受験者平均の差が社会で約3点、理科で約4点。合格者平均は社会26.5点、理科27.7点でした。
問題の難易度から考えると、この2科目であと計10~12点の上積みは可能です。理社の勉強が後回しになりがちな直前期ですが「詰め」をしっかりやれば、合格可能性30~40%レベルの子でも、十分勝負になります。
求む「試行錯誤して進める」子
同じ2月1日の入試で偏差値が同じ早大学院と早稲田ですが、出題形式がオーソドックスという点では早稲田の方が取り組みやすいかもしれません。
早大学院は十分に志望校対策をしても問題によっては報われない可能性があります。
ただ、普段からどの科目でも「思考する」という習慣がついている生徒は、解答への糸口を見つけて、そこから一気呵成に正解を導き出します。
両中学校とも知識だけの子より、物事に対して自分の頭で「試行錯誤しながら進める」子を求めている姿勢がうかがえます。
入学後も試行錯誤を伴いながら前へ、という場面が随所にあるため、そういう素養のある子を入試で選別しています。入試問題はやはりその中学の「0時限目の授業」なのです。
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