中学受験 「平等」ではない繰り上げ合格事情
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・繰り上げ合格「2つのヤマ」
・学校事情が絡む繰り上げ舞台裏
・繰り上げに「独自基準」がある
・繰り上げでも入学後は関係なし
繰り上げ合格「2つのヤマ」
中学受験は合格発表後も「ドラマ」が続きます。
不合格となって落胆していると、親御さんのスマホに電話が入り、見慣れない番号が表示されます。固定電話の番号なら、この時期「知らない番号だ」とスルーしないでください。もしかしたら、不合格だった中学校からの「繰り上げ合格」のお知らせかもしれません。
繰り上げ合格の「ヤマ」は2つあります。
1つは入学金納入の締め切り後、もう1つは入学説明会や制服の採寸が行われる「学校招集日」後です。前者は2月上旬が多く、後者は大抵が2月11日以降です。この2つ段階で募集定員に満たない場合、不合格者の「敗者復活」、繰り上げ合格が行われます。
ほとんどの中学が1回目の試験で募集定員より多く合格を出します。合格者全員が入学をするわけではないからです。入学手続きの率が高い「歩留まりの良い」学校でも1.2~1.5倍程度、埼玉の中学は多くが「前受け」として受験するため、手続き率は1割前後であることから、定員の数倍の合格者を出します。
各校は長年の経験とデータで「これくらいの合格者を出せば、ほぼ募集定員に達する」と読み、合格者を発表しますが、年によってはずれることもしばしばあります。
あるいは「一応募集定員があるのに、あまり大量に合格者を出すのも…」という中学もあり、あまり公には出ない繰り上げ合格を行い、補充している学校もあります。
学校事情が絡む繰り上げ舞台裏
繰り上げ合格の舞台裏、実は複雑です。
基本的には入試での点数が合格最低点に近い子からですが、そこには「各校の事情」も絡んできます。
共学校の場合、その学校が理想とする「男女比」というのが存在します。
男女1:1というところもあれば、3:2、逆に2:3というところもあるでしょう。その割合によって繰り上げする性別や人数も変わってきます。
ある中学では繰り上げを約20人出しましたが、すべて男子だったこともあります。
成績順に男子が20人並んでいたというより、学年の男女の「構成比」を考えての繰り上げ合格です。
4科や2科入試でなく、適性試験や各校独自の入試スタイルの際はさらに基準が「独特」になります。合格基準が公にはならず、中には「ある先生が強力に推したから」というケースもあったようです。
繰り上げに「独自基準」がある
複数回受験した子の中から繰り上げ合格を出す「優遇措置」を掲げている中学もあります。
表立って発表していなくても、複数回受験で合格ラインにわずかに届かない子へ点数に「下駄をはかせる」ことで「合格」としてしまうのです。
同点で複数の子が並んでいる場合は原則として全員に声をかけてくれるようですが、中には「算数の点数が良い子」「各科目バランスよく点が取れている子」などを重視するという不文律がある学校も実は存在します。
4科と2科の入試が同時に行われる場合、まず2科受験の中から合格者を決め、次に理社を含めた点数で判定が下されますが、それでも定員に達しない場合やもう少し…の場合は、4科受験組から「繰り上げ」を出すこともよくあります。
中堅校、一般校受験の場合、受験科目数が少ないのは負担軽減にはなりますが「敗者復活」の機会が少なくなります。安易に2科受験を選択すると「チャンス」を自ら放棄するリスクにつながります。
繰り上げでも入学後は関係なし
このように中学入試での繰り上げ合格は「平等」でない部分が結構あります。
それでもどういう「いきさつ」で入学しようとも、入学すれば繰り上げだからといって「差別」されることはありません。
入学後、子ども同士で話題にはなるかもしれませんが、それも1学期の中間テストくらいまで。入学後の成績にもあまり関係ないようです。
ただ、来るか来ないか全くわからない繰り上げ合格を待つのは心理的にこたえます。精神衛生上、入試は正規合格ですっきり、がベストです。
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