東大合格者数43年連続1位 開成の大学受験事情

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・開成は「みんな東大」ではない
・模試より正確な開成の「物差し」
・馬力あり 短期間で結果を出す
・「行方不明」も…浪人後の開成OB

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開成は「みんな東大」ではない

去る3月10日に24年度の東大一般入試の合格発表がありました。文科、理科で計2993人が合格、実質倍率は約3倍となりました。

注目の「高校別合格者ランキング」では、東京の開成高校が149人合格(現役117人、既卒32人 15日現在)で1981年(昭和56年)から43年連続トップの座を守りました

昨年は148人ですから「横ばい」で、安定した強さを発揮したといえます。

開成の卒業生は約400人で、卒業生に対する東大の現役合格率は3割程度。「みんな東大」のイメージがありますが、実はそうでもありません。

例年4割を超える筑波大付属駒場、24年度初の100人合格の大台に乗せた聖光学院(神奈川)の約38%よりも割合としては低くなっています。

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開成は学校も先生も「東大を目指せ!」とは一切言いません。東大以外の国公立医学部に現役合格する子も30人程度います。東大合格の実力がありながら京大や東工大を受験する子もいて、実際に東大を受験したら合格する子も相当数に上るとみられます。

模試より正確な開成の「物差し」

東大を受験するか、他大学へ、あるいは他の国公立医学部受験にするか、開成生の判断基準の「物差し」が高校3年で年4回行われる「校内模試」=「実力テスト」(通称・実テ)です。

国数英の主要科目に文系も理科を、理系も社会を受け、文系、理系が入り混じって順位が付きます。

総合点の上位100人を「百傑」と呼び、逆に下位100人を「裏百」と呼ぶなど、開成内部ではかなり注目の勉強イベントです。

なぜ注目を集めるかというと、この成績で「東大合格」を占えるからです。開成生の実テの存在感は「駿台や河合塾の東大模試の判定よりも東大の合否判定が当たる」という言葉で分かります

実テでAとかBとか、東大の合格可能性判定が出るわけではないのですが、「百傑の常連なら東大は鉄板」「文系は百傑以内、理系は少々はみ出しても受かる」「裏百でも時々奇跡が起こる」など、さまざまな伝説があり、これが概ね的中するといいます。

この4回の結果で「東大理3がキツいので、他の国公立医学部へ」「京大もありかも」など100位前後の生徒は「東大撤退」を決意する場合もあります。

東大受験すれば合格の可能性はあるにもかかわらず、違う針路をとる子もいるため、開成の東大合格はもう少し多くても不思議はないとも言えます。

馬力あり 短期間で結果を出す

東大の合格者数から見ると「開成=猛勉強」のイメージを抱くかもしれませんが、多くの生徒が「そろそろ…」と重い腰を上げるのは、高校3年の6月くらいからです。

開成の高3生は1年かけて準備する5月の「運動会」終わると、それぞれが「今後」について真剣に考え始めます。それまで「鉄緑会」などに通っていても、ただ行っているだけだったのが、授業態度が変わってくる「シフトチェンジ」もよく見られます。

開成だけではありませんが、中高一貫校の難関校に籍を置く子、特に男子は定期試験を短期集中で乗り切る「馬力」と「集中力」のある子が一定数います。いわゆる「一夜漬け」で高2までの5年間をこの調子でやってきた子です。

善し悪しは別として、普段は部活や課外活動で忙しく、コンスタントに勉強している子が少ないのが男子難関校の「あるある」です。

「勉強馬力」「集中力」があるからこそ、夏からの半年という短期間で東大をはじめとする志望校の入試で「勝負になる」学力が身につきます。それこそ入試当日までに粘って粘って合格する「しぶとさ」は、女子の難関校出身者や公立の進学校の子にはあまりない「特長」かもしれません。

開成出身者の中には秋の東大模試でA判定は少数派。B、C判定という合否どちらに転んでもという生徒が多いです。それを合格に持って行く姿はまさに「勉強馬力」を感じます。

「行方不明」も…浪人後の開成OB

開成既卒組の東大合格者は毎年40人前後です。

浪人して捲土重来を期した男子だけでなく、早慶などに進学しつつ再受験を決意した「仮面浪人」もちらほらいます。

実際、何人くらいが東大を再チャレンジしているかは分かりませんが、高校時代に「裏百」だった子でも合格する子は結構います。前述の通り本来は「勉強馬力」のある子が、エンジンを「整備」して挑めば合格は可能です。

一方で同学年の子でも「あいつ、どうした?」状態の子もいて、進路も含め「行方不明」が開成でも毎年数十人います

浪人して大学に合格しながら、学校に報告しないこともあります。

何も卑下することはないのですが、「開成」という看板があるがゆえに、合格、進学する学校を報告するのはちよっと…というケースもあるようです。浪人の合格実績を丁寧に追っている学校はまれですから「行方不明」が出てもおかしくありません。

おかしくありませんが、東日本一の難関私立を出ても、全員が「希望通り」に行かないというのが現実です。

中学受験で「成功」しても、将来は安泰というわけではありません。逆もしかりで、中学入学でリスタートです。次のステージはまた1から。長い6年間の道のりの「歩き方」で出口は大きく変わってきます。

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