中学受験「残念な親」の伴走は「力み」が抜けない
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・「受験成功親」が「残念組」に?
・「残念な親」は気合を入れる
・「残念な親」は計画で壊れている
・「残念な親」は成功体験で進む
「受験成功親」が「残念組」に?
中学受験の世界では我が子をに付かず離れず良い塩梅で「伴走」する親御さんもいれば、一生懸命サポートに徹しているものの、どうも方向性が違うのでは……という「残念な親御さん」も相当数に上ります。
不思議なことに、学生時代に難関大学の入試を突破した、「入試成功組」の親御さんが今度は「残念組」に入ってしまうことは、よくある話です。
子どもの宿題や家庭学習にかかわる親御さんの中で「残念な親」の特徴は大きく分けて3つ挙げられます。
①勉強は「気合い」で乗り切る②余裕のないハードスケジュール③子どもに経験を押し付ける、です。
「残念な親」は気合を入れる
「残念な親」は成績が思うようにならず、取り組んでいる問題がはかどらない状態が続くと、消化不良を起こすほどの大量の課題を用意、これを「気合」で解き切ろうとします。
加えて、子どもが「できないことだらけ」の現状に対する苛立ち、ミスを連発する歯がゆさの感情が抑えられず「何でこんな問題ができないの!」「気持ちが入っていないから分からないんだ!」など、子どもに厳しい言葉をストレートにぶつけてしまいます。
このタイプの親御さんは過去問やテキストにあまり目を向けず、塾のテストの結果や偏差値、合格判定だけに注目してものを言う傾向にあります。
子どもが「できない」「勉強に興味が持てない」には必ず理由があります。
「なぜつまづいているのか」「勉強の流れをせき止めているいるのは何が原因なのか」を客観的に分析しないと、いくら叱咤激励したところで成績は上向きません。
できていないものを非難するより、まず「現状のレベル」を受け止め、「できるもの」を拾い集めます。
子どもに「こんなにできることがある」ということを認識させ、そこを中心に基礎固めを進め、毎回「もう少しでできそうなところ」を1つ2つクリアすることを目標に、親御さんが伴走します。「できる」が増えていくと、子どもの勉強は質量とも自然と加速、勢いが付きます。
勉強は「楽しくできる仕組み」を確立していくことで、徐々に「できる状態」に近づきます。「急がば回れ」です。
「残念な親」は計画で壊れている
最初の10分で計算問題、次に一行問題を、そして図形の基礎と応用を、国語は読解問題を50分で2題解き、最後に漢字とことわざ…。これをやれば成績アップ、偏差値もグンと伸びる、そんな期待感が湧いてくる勉強スケジュールです。
しかし、この予定は偏差値65以上の子が、自分でサクサクと進められて初めて達成できるような内容です。
紙の上の計算では課題が終わるかもしれませんが、成績不振の子が次から次へと、大人が組み立てた「理想の計画表」通りの大量の勉強を進めることはできません。
レベルを全く考慮に入れていないので、計画が初めから破綻し、大量の「積み残し」という学習の「借金」が膨らみ続けていきます。やればやるだけ勉強が嫌いになり、成績は一向に上昇の気配すらみせません。
「残念な親」の学習計画は、計画自体は「よくできている」ものの、子どもの現状と大きくかけ離れています。
「デキる親」は子どもの学力と相談しながら「予備の時間」と「復習の時間」を多めにとるスケジュールを組みます。
さらに子どもの状態に応じて、やるべき課題に優先順位をつけます。
「デキる親」はコツコツ積み重ね、「残念な親」は一気に片付けようとします。やはり受験勉強の鉄則は「急がば回れ」なのです。
「残念な親」は成功体験で進む
「受験は気合だ」と言い、余裕のないギチギチの計画を立てる親御さんの多くは、大学受験での成功体験から来ているケースがとても多いです。
特に努力で一流大学に合格した場合は、自分がとってきた手法に絶対の自信を持っています。人は成功体験に支えられて生きていくもので、その手法は「バイブル」的な存在です。
けれど、18歳と12歳の受験は大きく違います。
大学受験は半分大人が臨む試験です。
苦手科目があれば進んで自分で何とかしようとしますし、スケジュールも多少無理がききますし、上手に息抜きしながら計画を進めていきます。まさに「努力と工夫」で勝ち取った合格です。
しかし、12歳の子に同じことを望むのはまだ難しいです。
特に中学受験ができる、という恵まれた環境の中にいる子どもたちに気合いだ!ガッツだ!といったところで、全く伝わらないでしょう。大学受験の成功体験で中学受験は乗り切れません。
特にお父さんに多いのですが「俺が受験した頃はもっと勉強した」「俺はこんな問題簡単にできたぞ」と、子どもの前で「ドヤ顔」をしてやる気をなくさせるケースもよく見ます。
自分の子にマウンティングしてどうするんですか?「デキるお父さん」は、子どもに聞かれた時だけ、助けを求められた時だけ、自分の引き出しをサッと開けて、子どもに的確なアドバイスをするから「カッコいい」のです。
成功体験はすべてのケースに当てはまるわけではありません。受験勉強でいえば、親御さんが大学受験で成功したやり方が中学受験でそのまま通用するかは、子どもの性質によっても違ってきます。
我が子を観察、分析して、勉強の進め方、スケジューリングを「カスタマイズ」することが必要です。
アプローチの仕方を工夫するだけで親御さんの貴重な成功体験は我が子に活かせるはずです。
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