中学受験 先取りより大切な低学年がやるべき事
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・「先取り」ではなく「楽しい」に
・的外れでも否定せず「引き取る」
・「早さより正確さ」は算数の鉄則
・感覚を養うことでセンスを磨く
「先取り」ではなく「楽しい」に
小学校低学年から中学受験専門の進学塾へ入塾させる親御さんが年々増えています。
一時は東京都内の湾岸エリアを中心に、小学校入学と同時に通塾する子が殺到、いざ4年生から受験勉強をしようとして入塾しようとしても既に空きがないところもありました。
最近は落ち着きを見せていますが、「中学受験は先取りが有利」という説の信奉と「定員が埋まる前の席取り」という目的で、「小学校低学年からの通塾」は今後もコンスタントに需要があるとみられます。
算数にしても国語にしても、低学年のうちはやっていることはそれほど難しくなく、ゲーム感覚のものもあり、進学塾に低学年から入塾しても「受験勉強の先取り」とはなりません。
塾側はまず勉強することが「楽しい」という状態にうまく子どもたちを導きます。
「勉強は楽しい」という感覚を体感することは、小4以降の勉強に威力を発揮します。
4年生に上がる際に、勉強することが「あたり前」となる「勉強習慣」と、ある程度の時間勉強を継続できる「勉強体力」の養成のベースになるのが「楽しい」という感覚です。
ただ、通塾しなくても親御さんの接し方次第で「勉強習慣」「勉強体力」、そして中学受験に耐えうる「学力のベース(土台)」は、家庭でも築けます。
それには親御さんの「寄り添い」「見守り」が肝になります。
できれば、1日のうちに30分から1時間、コミュニケーションをとりつつ、親御さんも一緒に「学ぶ」という姿勢で子どもに接するのがベストです。
的外れでも否定せず「引き取る」
親御さんが小学校低学年の子どもと一緒にやってほしい第1位は「文章の音読」です。
音読で正確に文を読むことは、すべての教科で「問題文を正しく読み、何が問われているかな読解力につながる」からです。
塾で使っている国語のテキストの文章や小学校の教科書、読書用の本でも構いません。
1週間に物語文4日から5日、説明文を2日から3日の割合で、毎日1つ親子の会話を含め30分程度が目安です。
まずは声に出してみて、この文章が「どういうことを言っているのか」を確かめていきます。
子どもが「分かっている」ところは声に出したときに違和感なく、スムーズに読むことができます。しかし、内容を理解していないところは、つかえたり、ぎこちない読み方だったり、棒読みになりがちです。
親御さんはこのあたりをチェックポイントにして、音読後「話題」にします。
「ここはどういうことだと思う?」「お母さんはこう思うけど、●●はどう思う?」などと問いかけます。意味が分からなそうにしていてもすぐに教えず、子ども自身に考えさせます。
的外れ、とんちんかん、どんな解釈でも構いません。大切なのは、子どもが自分の頭で考え、今現在使える言葉と思考の方向で何かを答えることです。
その「子どもなりの解釈」は絶対に否定せず、一度親御さんが「引き取って」、そこから会話を広げていきます。
むしろ「的外れ」をネタにして、お笑いにして楽しみながらコミュニケーションをとります。
「違うでしょ。ここはこういう意味」と教えたくなるかもしれません。
それだと、子どもはうなずくかもしれませんが、頭にも心にも残りませんし、子どもによっては何も答えてくれなくなります。
頭に残るのは「怒られた」という記憶だけです。
親子のコミュニケーションで読んだ文章を、言葉を「揉む」からこそ、子どもは文の読み方、意味の取り方、考え方、言葉の使い方を理解していきます。
音読して「語感」を感じるだけでなく、それをテーマに話すことで「考えることの経験値」が上がります。
多角的なものの見方、柔軟な思考力は「考えることの経験値」が高くなることによって身に付きます。
これが「学力のベース(土台)」になります。
時には交互に読み合いをするのも効果的です。
子どもは親御さんの読んでいるところを耳で聞き、文字を追います。真剣に聞いて追わないと、どこから読むのか分からなくなるので集中力が違ってきます。
やり方にメリハリをつけて、音読がマンネリ化しないように工夫します。
「早さより正確さ」は算数の鉄則
算数に関しては計算を「正確」に、「雑」にならないようにやる習慣を身に着けます。
計算のスピード、「早さ」は二の次で構いません。
「早さより正確さ」。これは6年生になっても同じです。
極端に遅くない限り、早さはさほど気にしなくても大丈夫です。
入試問題はひたすら計算問題が続くわけではなく、計算は自分の思考したことが正しいかどうかを確かめ、答えを出すために使うツールです。
正確さがなければ正解しないわけですから、スピードが普通なら問題なし。やや遅いくらいでも許容範囲です。
「早く早く」とせかすと、子どもによっては雑にやる癖がつき、修正するのが難しくなります。
九九が正確に、どんな状況でもできる子どもは意外と少ないです。難関校を狙うような子でも間違えます。6の段から先は苦手な子もいます。
九九を「完璧」にするだけでも、算数は優位に立てます。
数は10問程度で構いません。低学年のうちから計算練習だけは毎日欠かさずに、です。
計算の「正確さ」は、難しい問題が解ける以上に算数の成績を安定させます。
感覚を養うことでセンスを磨く
余裕があれば図形の「感覚」を磨くのもおすすめです。
図形のイメージをつかめず苦戦する受験生はかなりの数に上ります。まずは折り紙を使ってさまざまな形を作って親しむことから始めると入りやすいかもしれません。
「おりがみで学ぶ図形パズル」(山口榮一、ディスカヴァートゥエンティーワン)というテキストは、楽しみながら図形のイメージをマスターできます。
実際に手を動かし、形を作ることで図形のイメージが頭の中に出来上がるとともに、折り目を気にすることで、算数の問題を解くうえで大きなヒントとなる補助線の概念も育ちます。試す価値はある一冊です。
小学校低学年の時は難しい問題を解くより、言葉でも計算、図形でも「感覚を養う」ことがその後の学習の伸びを必ずアシストします。
勉強に「センス」があるとすれば、そういう感覚を育てることから磨くことができます。
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