中学受験「12月の模試結果」はこう見る
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・「最終回」だけで判断しない
・合格可能性80%は「鉄板」?
・「20%」の後ろに続く意味
・逆転合格を呼ぶ前提条件と勉強法
「最終回」だけで判断しない
12月1日にサピックスオープンと四谷大塚の合不合判定テスト、8日に首都圏模試が終わり、6年生を対象とした中学受験の四大模試は、21日の日能研の合格判定を除いて終了。いよいよ1月の入試前半戦に突入します。
最終回の模試結果によって、安堵する親御さんより、成績が伸びきれなかったモヤモヤ感、あるいは偏差値急落で居ても立ってもいられない焦燥感を覚える親御さんの方が多いかもしれません。
それもこれも志望校に対する「合格判定」の数字が一番の要因です。
「80%が最高かもしれないけど、落ちる可能性も2割あるってこと?」「50%ってどうなの?微妙な数字」「20%って、ほぼ可能性がないってこと?」――示されたパーセンテージを目の前にさまざまな「観測」「想像」が頭の中を駆け巡ります。
気を付けてほしいのは最終回の模試の結果のみで、受験校を決めたり、変更したりするのではなく、9月以降の毎月のように受けた複数回の模試で出された偏差値の平均値、合格判定を見て「トータル」で考えるということです。
最終回の模試で志望校の判定が悪かったとしてもそれだけで「志願変更」せず、逆にかなり良かったからといって、受験校の「上方修正」をすぐに決めてしまうのはNGです。
模試は複数回受けていれば必ず「凸凹」があります。
親御さんが結果に一喜一憂していると、「ミスリード」してしまう可能性が高くなります。
判定は判定として、「冷静に客観的に」がこの時期親御さんに一番求められることです。
合格可能性80%は「鉄板」?
主催する大手進学塾あるいは首都圏模試によって、判定の基準はまちまちですが、いわゆる「A判定」というのは数値でいうと80%(以上)の可能性で合格しますよ、という意味、事実上「鉄板」といわれるグループです。
よほど当日に体調が悪かったとか、最初に苦手な問題が出題されて手間取ってしまい、その後リズムが崩れて…など「アクシデント」がない限り、普通にやれば合格するというレベルです。この層は全合格者のうち、上位2~3割程度に当たるとみられます。
ただ「1回だけ80%が出た」というぐらいでは信頼性は低く、コンスタントにA判定、悪くてもB判定(75~60%)を出している受験生でないと「合格確実圏」とは言えません。
一方で偏差値としては届いているかもしれませんが、不思議と「受験校の入試出題傾向との相性」という要素も受験には絡みます。
記号問題や短答式の問題はよくできているのに、思考型の問題や記述式が弱いなどの「失点の特徴」がある子は、偏差値通り、合格判定通りにならないことも多々あります。
返却された解答用紙を見直し、「失点の特徴」を親御さんが分析し、過去問の出来と比較して何か「感じるところ」があれば、要注意です。
塾の先生にアドバイスを仰ぐのは大切ですが、塾や先生によっては「参考程度」にすべきにとどめておく方が、という場合もあります。
塾側は受験生の「実力」に疑問を持ちながらも、レベル高めの学校の受験を「ゴーサイン」を出すかもしれません。
それは合格実績欲しさからくる「青信号」の可能性もあります。言葉は悪いのですが「数打てば…」というやつです。
親御さんは入試問題との相性がいい、進学しても良いという学校の受験を「切り札」として視野に入れます。
「20%」の後ろに続く意味
「E判定、合格可能性20%」はどう見るべきでしょうか。
とても言いにくいのですが、「ほぼ合格しません」「場合によっては志望校再考をした方が…」というレベルです。
中学受験の模試の20%は後ろに「未満」という2文字が隠されており、確率は0ではないが、限りなく低いとうのが合格判定20%の意味するところです。
同じ20%でももう少しで30%なのか、5%にも満たないのか、この判定のゾーンは広いのですが、30%近い方以外はやはり厳しいと言わざるを得ません。
1度や2度、この数字が出てもそれほど気にしなくても良いのですが、たて続けにとか毎回、という場合は「覚悟」が必要です。
「こんな問題は入試に出ない」とか「ケアレスミスで点が取れなかっただけ」「過去問はできているから大丈夫」――。
「言い訳」をして、模試の結果を受け入れられない受験生、親御さんもいます。
しかし、9月以降の模試は一部を除いて多くが基礎力とそれを発展、応用していく力が問われます。
毎回のように点数がとれない、成績が横ばい、というのは現時点での「実力」はその位置と考えるのが妥当です。
もちろん完全に絶望ではないので、憧れの学校に向かってここまで頑張ってきたことの意味を考えれば、第1志望なら受験すべきです。
ただ、それ以外の学校は必ず複数校「勝てる」学校を受験するという条件付きになります。
家庭で「この偏差値以下は譲れない」などの基準を作ってしまい、20%の学校ばかりを受けてもまず「奇跡」はほぼ起こりません。
中学受験は「理想」に向かいつつも「現実」を見なければ、子どもに惨めな思いをさせるだけの経験になってしまいます。
逆転合格を呼ぶ前提条件と勉強法
希望のある話をすれば、模試の判定は「その模試を受けた時点でのもの」ということです。
12月中に終了する模試から、入試本番までには千葉県の場合でも1カ月前後、東京・神奈川なら50日程度あります。
「最後のひと押し、ふた押し」に残された時間は「まだある」と考えれば打つ手はあります。
前提として夏あたりから、遅くても9月くらいから地道に頑張ってきた子に限られますが「チャンス」はあります。
なぜ、この前提条件かといえば、勉強してそれが結果として点数として現れるようになるまで早くて3カ月、通常半年前後かかるからです。
「中学受験は最後の最後まで伸びる」とはよく言われますが、それは「ただし書き」付きなのです。
それでも直前になってようやくエンジンがかかった子でも「間に合う」かもしれない勉強法があります。
残された期間で戦略的に「点が稼げる」勉強を中心に復習に徹することができれば、こちらも「チャンス」があります。
「点が稼げる」勉強とは、具体的に
①ケアレスミス、とされるものを徹底的になくす
②もう少しで自力解答ができるもの、理解が甘いものをきっちり整理して得点につなげる
③得意科目2つで得点率85%以上を目指す
の3点です。
E判定の子がAやB判定の実力になるのは至難ですが、合格可能性40~50%のC判定には近づける可能性は十分あります。
いわゆる合否線上の「ボーダーライン」です。
「ボーダーライン」まで上がってくると、逆転の可能性が出てきます。
五分五分の戦いに持ち込めるレベルになるからです。
合格可能性50%まで持ってくると、中堅校なら7割方合格に滑り込みます。上位校でも確率は高くなります。
あきらめの早い子は実際の入試では力は半分くらいしか出せずに終わります。
「問題を解く」ということに「粘り」がないので、本来ならできる問題、少し考えればできる問題も「落とす」からです。
最後まで「粘る」子は、しぶとく勝つのが中学受験です。
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