大学附属校、推薦で進学しない子はどこへ行く?
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・附属校、他大進学は歓迎しない?
・早稲田と明大明治にみる他大受験
・女子大系は「選択肢の1つ」程度
・他大学コースがある日大附属
附属校、他大進学は歓迎しない?
学校によって割合は大きく違いますが、大学附属・系属校の進路の主流は、やはり内部推薦での併設大学進学です。慶應義塾普通部や中等部、早稲田高等学院に早稲田実業などは、東大や医学部進学のごく一部を除いて、そのまま「持ち上がり」ます。GMARCH系も概ね8~9割「持ち上がり」ます。
一方で推薦権を持ちつつ、国公立大や他の次第を受験する生徒や推薦権を放棄してまで挑戦する生徒もいます。附属校側は推薦での進学率や学部ごとの人数は割と積極的に広報しますが、他大学進学はたとえ東大でもことさらに「宣伝」しない傾向にあります。
早稲田と明大明治にみる他大受験
早稲田の系属校の中で「進学校」としての色合いが濃い早稲田中学・高校は、卒業生の半数強が早大以外に進学しますが、他大学へもかなり進学します。22年度は東大29人合格(うち現役24人)を含む国公立大に82人が合格(同60人)、医学部は私立も含めると44人を数えます。慶應は53人合格し12人が進学、東京理科大にものべ55人が合格し3人が、明治にも51合格で4人が進学しています。
内部推薦権獲得率92%超、推薦での進学87%超だった明大明治も少数ながら、明大以外の道を選んだ生徒がいます。21年度は東大合格者を輩出、22年度は一橋、お茶の水女子大、東京外大、千葉大や群馬大医学部に合格。私大では早稲田大4人、慶應7人の合格者が出ました。明大明治は明大の推薦権を保持して国公立受験をする場合、模試の判定でB以上という基準が設けられています。合格可能性でいうと70%に相当します。
早稲田にしても明大明治にしても、他大学進学のためのコースもなければ、これといった補習体制もありません。他大学受験は生徒本人の意志と学力で、というのが暗黙の了解です。ただ、早稲田の場合は、早大推薦の生徒でも「一般受験しても合格するレベルの学力がある」水準にする、というのが学校としての目標です。明大明治も無謀な受験をさせない、という親心が感じられる基準です。
女子大系は「選択肢の1つ」程度
女子大の場合はどうでしょうか。附属校という立場の中学・高校は少なく、「併設」「系列」などという位置付けでもあり、そのまま推薦で大学行くケースは「選択肢の一つ」程度の扱いです。
創立120年近い歴史を持つ大妻は、完全に「進学校」というスタンスで進路指導をしており、22年度大妻女子大に進学したのは卒業生の約15%にあたる37人でした。中学の段階から夏期講習などを校内で実施。高校になると科目ごと、分野ごとに細分化された講習が用意され、高3では「英語難関私立大学演習」「共通テストリスリング講座」など、予備校の授業のようなタイトルが付いた講座がいくつも用意されています。
大妻の22年度の「他大学」合格実績は、東工大、東京外大4人を含む国公立大34人、早慶に上智、理科大を合わせると103人、GMARCHは239人(いずれも現役、のべ人数)でした。指定校推薦枠でも早稲田4、慶應5、理科大6、中央8など数多くあります。大妻だけでなく、他の女子大系も「進学校」としてアピールしているところが主流なっています。
他大学コースがある日大付属
日本大学の付属校の中にははっきり「他大学受験組」「日大進学組」と色分けしているところもあります。日大系唯一の女子校日大豊山女子は、高校へ進学すると、国公立大・難関私大に対応したカリキュラムで進む「A特進クラス」と、日大へ推薦入学するための「N進学クラス」、理数・医療系へ進む「理数Sクラス」の3つに分けています。
コースまでは設置していないものの、中堅私大系の付属、併設校は、内部推薦での進学もありだが、それ以上に国公立や他大学受験を推進しているところも少なくありません。内部推薦はあくまで「保険」であって、国公立や難関私大へもルートがおススメですよ、というスタンスの方が生徒募集には圧倒的にセールスポイントになるからです。
校風や教育理念は大切、と分かっていても、本音として親御さんが気になるのは、大学進学実績です。附属校へ進んだ場合、どういうルートが考えられるのか、気になることは学校説明会などで個別に尋ねるのが得策です。(受験デザイナー・池ノ内潤)
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