中学受験 間違えると立て直しが難しい「お試し受験」
◆受験の窓口 今日のメニュー
・受験プラン決定の時期 コロナ禍による「変更点」に注意
・正直動向が読めない21年入試
・埼玉、千葉入試は「お試し」?「決勝戦」の子もいる
・絶対にしてほしい「前受け」の鉄則
・埼玉、千葉入試で「彼を知らず己を知らず」の結果は…
★受験プラン決定の時期 コロナ禍による「変更点」に注意
2020年は新型コロナウイルスの影響で、中学受験のあらゆる予定、催しが異例、前代未聞の対応を迫られてきました。それでも入学試験がさまざまな変更点はあるものの、時期的にはほぼ例年と同じ日程で行われます。受験校の絞り込みもそろそろ着手しなければならない時期。みなさんも日々頭を悩ませていることと思います。
今年はコロナ禍によって、日程、方法が例年と異なるケースも多々あります。当該中学校が発行した学校案内、各中学校のホームページ(HP)を必ず確認して受験日程を組むようにしてください。変更点は必ず告知されていますので、見逃さないように。そこは親御さんの役目です
★正直動向が読めない21年入試
各校のHPを訪ねると、日程、試験時間が例年と違うケースが目立っています。1日に午前と午後とで違う学校を受験する「タブルヘッダー」を計画している場合は特に注意です。
試験日程の変更などで、正直なところ受験生の動向がはっきりと読めないのが、21年の中学入試です。もしかしたらSNSなどを通じ、「こっちの入試の方が合格しやすい」とかの根拠のない情報がながれてくるかもしれません。そのあたりはスルーして、大手進学塾の模試のデータなど客観的資料を集めたり、塾で開示してもらい、後は親子でよく話し合ってください。その家族で決めたプランを塾の面談や家庭教師の先生などに提示して、アドバイスを受けるのが良いかと思います。
★埼玉、千葉入試は「お試し」?「決勝戦」の子もいる
12月に入ると、中学入試はすでにスタートを切ります。1日に千葉では東邦大東邦、千葉日大一、国府台女子学院などが推薦入試を実施、栃木や茨城の中学校でも推薦入試が数多く行われます。愛知の全寮制男子中高一貫校、海陽中等教育学校の特別給費生入試も12月に行われます。ここで合格を勝ち取り受験終了、クリスマスと正月を楽しい気分で過ごす、という子どももいます。
実際は年越しをして1月上旬からの北日本、西日本の中学校の東京会場入試、1月10日解禁の埼玉入試が事実上の「中学入試開幕」となります。中学受験の世界では埼玉、続く千葉県の学校の入試までを「お試し受験」とか「前受け」とよんでいます。2月1日解禁の東京、神奈川の学校を第1志望校としている受験生とすれば、1月の試験の位置づけは確かに「前哨戦」です。
しかし、埼玉、千葉の中学校を第1志望にしている生徒もいます。「前哨戦」どころではなく、いきなり「決勝戦」のような受験生もいます。
★絶対にしてほしい「前受け」の鉄則
ここが勝負どころ、という受験生の気迫はすさまじいものがあります。「まあ、お試しだから気楽に」と親御さんは子どもをリラックスさせるつもりで声をかけて送り出すかもしれませんが、お試しの雰囲気ではない受験生がいることも忘れてはなりません。
「偏差値的に10以上上だったから」「お試しだったから」と過去問を全くやらずに、そのまま本番に臨み「こんなはずじゃなかった」と試験中に青ざめ、放心状態になり、実力を出せないまま試験終了という生徒は毎年数多くいます。一方で「この日のために」と頑張ってきた子は、厄介な問題でも粘り強く1点でも多くと死力を尽くします。結果は言うまでもないでしょう。「お試し受験でも過去問は必ず取り組み、出題傾向、難易度をつかむ」というのは中学受験の鉄則の1つです。
★埼玉、千葉入試で「彼を知らず己を知らず」の結果は…
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」(意味は、相手の状態を知り、自分の実力を正しく知っていれば、負けない戦い方ができる)という故事成語は、受験によく当てはまる言葉です。が、埼玉、千葉入試では「彼を知らず己を知らず」という受験生が結構目立ちます。俗に言う“ナメてかかって”足をすくわれ、まさかの不合格、という類のものです。
たかが最初の試験でしくじったくらい…との見方もできますが、主役は12歳の子どもです。不合格の“後遺症”から立ち直れず、後の受験結果はボロボロ、とは毎年起きる悲劇です。
受験は実力もさることながら、受験期間を良い雰囲気、リズムで過ごすことが最高の結果を導きます。“スタートダッシュ”をかける意味でも、「お試し受験」ほど入念に準備して臨んでください。いい流れができれば、2月もいい結果につながりやすくなります。(受験デザイナー・池ノ内潤)