25年度渋谷幕張中 過去問分析と合否の分かれ目
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・渋谷幕張合格の総得点目安
・渋谷幕張の算数 傾向と対策
・渋谷幕張の国語 傾向と対策
・渋谷幕張の理社 傾向と対策
渋谷幕張合格の総得点目安
渋谷幕張の1次、2次試験の満点は350点(国語・算数各100点、理科・社会各75点)ですが、入試が終わった瞬間「真っ青」になる受験生は一人や二人ではありません。
「あんまりできなかった」――。子どもたちは落ち込んで親御さんのもとへ帰って来るのが毎年の光景です。
渋幕の入試問題はあらかじめ「難しい」と覚悟して臨む方が試験中動揺しません。
1次入試(1月22日、 サピックスOP合格可能性80%偏差値男女とも65、四谷大塚合不合判定Aライン偏差値男子70、女子72 )の直近5年間の合格最低点平均は193.4点。得点率にすると55.3%で、6割を切っています。ここ5年で6割超えは1度もありません。
合格者平均の得点率でさえかろうじて60.7%ですから、「できた!」という実感はほとんどなく、合格発表まで不安になることと思います。
25年度も劇的に易しくなる、ことは考えにくく、合格最低点が上昇しても23年の187点、24年の185点から10点強プラスの200点(57.1%)前後がいいところでしょう。
得点率6割にあたる210点あれば合格はほぼ確実です。
予測不能の2次は合格最低点が毎年乱高下します。
直近5年の合格最低点平均は211.4点ですが、驚くべきはこの点数に近い年がないということです。
ここ3年を見ても22年に前年より43点プラスの239点と急上昇したかと思うと、23年は196点と21年と同じ点数で43点ダウン。2年は223点で27点アップとまさに「ジェットコースター」並みのアップダウンです。
読めない2次試験に突入を余儀なくされる展開を回避するためにも「1次試験必勝」しかありません。
渋谷幕張 の算数 傾向と対策
計算力、思考力はもとより「問題文を読み取り、解答を出すのに必要な条件をそろえ、まとめる力」を短時間でできるかどうかを試されるのが渋幕の算数です。
入試本番までの3年間、どんな問題でも粘り強く格闘してきた子でないと、当日は歯が立たないでしょう。
直近5年の合格者平均は58.2点。受験者平均44.9点。数の性質、場合の数、規則性、速さなどどれをとっても「ひと手間」かけなければ、解答が導き出せない、一筋縄ではいかない問題ばかりです。
出題の半分を占める平面図形、立体図形も小問(1)でつまづくと「全滅」の可能性大です。
ただ、突破口はあります。
どの大問も小問(1)(2)と関連性があり、その「誘導」に乗っていけると最後まで「芋づる式」に正解が導き出せる問題の並びになっています。
その「誘導」に気がつけるかどうか、渋幕算数攻略はここがキーポイントです。
渋幕は各科目の合格者の中の各科目最低点を発表していますが、直近5年だと18~28点となっています。
この得点でもなんとかなるわけではなく、あくまでも「レアケース」。苦手でも受験者平均レベルは得点したいところです。
2次は合格者平均62点に対し、受験者は40.5点と20点以上開いています。
不合格者平均はこれより5点程度低いとみられ、2次の合否の鍵は算数の出来次第と言っても過言ではないようです。
渋谷幕張 の国語 傾向と対策
国語の読解問題に使われる素材文は中学入試屈指の「難しさ」です。
それでも合格者平均は直近5年で1次が61.0点、2次が64.7点と皆食らいついてきます。
渋幕に合格する受験生の読解力の高さが分かります。
合格者最低点は1次が29~37点、2次が38~58点です。
渋幕の物語文(小説といった方が正確かも)はここ数年、芥川龍之介や菊池寛など、往年の有名作家の読みやすいとは言えない文章が続いています。
24年1次は脚本家・木皿泉の「かお」から出題。割と近年の作品でしたが、その内容は「離婚する夫婦が一人娘とそっくりのロボットを作り、どちらが人間かロボットかわからないまま育て、ある日交換する」というものでした。
大人が読めば面白いストーリーですが、12歳の子にとっては飛躍しすぎて、読解問題を解く一方で内容を楽しめないと、ただただ「難しい」で終わってしまいます。
受験勉強の中でさまざまな時代、背景にある人間関の複雑さを取り扱った素材文に触れてたうえで、1つ1つの文章に「なるほど、そういう世界があるのか」と、関心を持ててきたかどうかの差は渋幕の入試で出来を大きく左右します。
論説文も文化論、芸術論、自然科学系とさまざまなものが出題されますが、総じて「硬い」ものなのでこれも日ごろから長めの素材文(7000字前後)を読み抜く「読解体力」が必須になります。
合否にかかわる設問はは80字以内の記述問題が3問と5択の選択肢問題です。
記述は素材文のテーマがしっかりつかめていないと、「どう書いていいのかもわからない」問題が多く、部分点さえ期待できません。
他の難関校同様、記述問題は自分の答えを出しては塾の先生などに添削してもらい、さらに模範解答と照らし合わせて、少しずつで構わないので修正し「より良いもの」をつくっていく努力をしてきたかどうかが、入試での得点に表れます。
5択という中学入試では少数派の設問は、一文ずつも長めで正解以外を切り捨てていくのに骨が折れます。
渋幕の過去問演習が一番の練習になりますが、正解不正解より、選択肢のどこが正解として「ふさわしくないのか」、表現としてどこが「不自然」などを、1つずつ明確にしていくことで渋幕の選択肢の「クセ」が分かってきます。
漢字は割と標準問題が多い傾向ですが、1問出題される文学史は難問。中学で学ぶ「国語便覧」などを眺めておくと、点数を拾えることもありますが、正解なら「ラッキー」、ダメでも「捨て問」と思えば、です。
渋谷幕張 の理社 傾向と対策
45分で75点満点の渋幕の理科と社会で合格点をとるポイントは「初見の問題、テーマにビビらないこと」です。
最近5年の理科の合格者平均は46.9点、同社会は46.6点。ともに6割超正解すればOKですが、理社で7割強にあたる53点以上とれれば、仮に国語、算数で多少出遅れても挽回できます。
30点台後半とみられる不合格者平均との差は「知識があるうえでの思考力」の差です。
理科は身近なものをテーマにし、そこから設問を広げていくというパターンで毎年出題されます。24年1次は紙の精製と繊維についての問題、23年1次は千葉県の名産・落花生をテーマにしたものでした。
受験生が紙や繊維、落花生に詳しくなければできないかというと、そうではなく問題文や資料、グラフを読み取る力があれば算数同様設問が解答を「誘導」してくれます。
つまり「こんなの知らない」「習ってないから解けません」と「思考が止まってしまう子」は渋幕には不向きです。
与えられた材料を駆使して「なるほど、そういうことか」と初めての問題でも「楽しんで取り組める」子が欲しいという学校側からのメッセージが理科の問題を通して伝わります。
社会も同様に身近なものをテーマにした問題文が示され、それに関連した設問を解き進めていくのが1つの特徴です。
24年はプロスポーツと都市に関するものが、23年はテーマにはなっていませんが葬儀に関する問題で帰宅時になぜ体に塩を振りかけるのかなどの問題が出題されました。
こちらも写真、資料、グラフが示され、そこから「読み取れること」をいかに素早く気づくかの勝負になります。
合否の分かれ目は毎年数問出題される「正誤の組み合わせ」問題。他校のものよりレベルが高いので正確な知識が問われます。
理社は資料集や図鑑などに日ごろから降れることで、塾の勉強だけではない「知識」がものを言う場面が多々あります。
日常生活の中での「どうして」も大切です。親御さんとの会話、おじいちゃんおばあちゃん、目上の大人と交わることも中学入試では強い「武器」になります。
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