中学受験 ショックな不合格から立ち直るには?
◆受験の窓口 今日のメニュー
・志願者1割程度減だった埼玉、千葉入試
・ショックが大きい「できた!」のに不合格
・「高得点勝負」で負けた時にどうするべきか
・難しいを超えて“独自の世界”の問題だった市川の算数
・受験の最後の伸びは「実戦経験」でこそ育つ
★志願者1割程度減だった埼玉、千葉入試
1月の埼玉、千葉の中学入試が概ね終了しました。詳細は出ていませんが、前年比で1割程度受験者数が減った模様です。新型コロナウイルス感染拡大で、事前から予想されてはいたことで、そう驚くものではないのですが、微減で済んだと学校もあれば2~3割減と影響を受けた学校もあり、分析結果が待たれます。
しかし、合格者数をみると例年通りの倍率の学校が多く、志願者が減ったからといって合格しやすくなったわけでもなく、逆に合格者を絞ってレベルを保ったとみられる学校もありました。
★ショックが大きい「できた!」のに不合格
ただ、入試問題の難易度に翻弄されたケースも結構あったようで、「こんなはずでは…」という結果になり、2月の入試を前に動揺している受験生も少なくないようです。
とりわけ「できた!」という感覚で試験を終えたのに、合格発表サイトを開いてみたら「不合格」という厳しい現実を突きつけられたとすれば、なかなか切り替えは難しいところ。親御さんも受験生本人もこれ以上何をしたら…と途方に暮れてしまいます。
★「高得点勝負」で負けた時にどうするべきか
埼玉入試の“開幕戦”で、毎年注目を集める栄東ですが、今年は10日、12日に分けた第1回入試で受験者平均が軒並み高く国語や算数で7割前後、社会に至っては約8割という「高得点勝負」の入試になりました。合格者平均ではなく、受験者平均でこの高さは、例年国語が5割超、算数で約6割が相場の栄東にしては、易しかった入試となりました。
できなければ、あきらめもつきますし、次に向かって進めます。しかし、「できた!やった合格だ!」という感覚がある中で、ふたを開けてみると奈落の底に落とされるのは計り知れないショックです。どうして…となり、下手をすると、2月に入る前に戦意喪失となる可能性があります。親御さんだけではケアが追い付かない場合は、塾の先生にお願いしましょう。信頼している先生からのひと言は時として「魔法の言葉」になります。
ただ、厳しいことを言えば、どんな入試になっても力のある子は勝ち抜きます。易しい出題であればあるほど、ミスが致命傷になることを知っているので、調子に乗らず1問ずつ確認するように解き、見直しを怠りません。栄東は個人成績を開示してくれます。不合格には不合格の理由があるので、自分の得点をしっかり受け止めて、自分の学習の最終点検をしてほしいとこです。
★難しいを超えて“独自の世界”の問題だった市川の算数
逆に受験者平均が100点満点で3分の1程度だったのが千葉入試の開幕戦、市川の算数でした。全体で32.9点、男子34.2点、女子30.6点。終わった瞬間、ほとんどの受験生が真っ青になったことでしょう。特に最難関校との併願をしている算数男子でも血の気が引いたと思います。
具体的には大問は5問構成で良問といえる相似の問題などもあったのですが、後半の数の問題はやや難しく、最後の5番にいたっては、作問者がこの問題で一体何を問いたかったのかが分かりかねる“独自の世界”の問題に見えました。
ここまで平均点が低いと、あきらめもつきますが、合格した子は難しい問題が出題されても他に確実に取れる問題を取りこぼしなく、しっかり正解しるはずです。難問を深追いせず、仕留められるところは“必殺”で。これが難問が出題された際に、かわしながら合格を手繰り寄せるセオリーです。
★受験の最後の伸びは「実戦経験」でこそ育つ
「前受け」受験は受験生に模試だけでは体験できない、さまざまな教訓を受験生教えてくれます。合格にせよ、不合格にせよ、本当に貴重な経験です。簡単な出題でもミスが命取りになること、難しい問題が出ても得点できるところを確実にとれば合格すること、100回口で言うより、1回に入試体験の方が効き目があります。
コロナ禍の中でもひるまずに果敢に受験した生徒と親御さんに、この教訓や経験が必ず生きることと信じています。受験の最後の伸びは塾での授業や家庭学習での追い込みではなく、実戦を経験するのが一番です。一戦々々積み重ねることによって、“勝てる力”は着実についています。(受験デザイナー・池ノ内潤)