変貌した法政 注目される次の一手

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15学部の法政 付属中高へ約9割進学
対照的だった21年度法政系2校の入試
約9割推薦 他大学組に「保険」はあるが…
法政二の「10年一貫教育」が意味するもの
魅力ある法政をどうアピールするか

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現在15学部の法政 付属中高へ約9割進学
 法政大学は日本で一番古い歴史を持つ法律学校として明治時代から歩みを続け、21世紀直前から新学部を次々創設し、伝統とともに進歩しつづけながら令和の時代を迎えました。

 かつては「バンカラ」「市谷体育専門学校」「なぜか東京六大学」など、と親しみを込めて呼ばれ、90年代半ばまで法、経済、工学部など6学部でしたが、21年3月現在15学部。日本大学の16学部に次ぐ豊富な学部数を誇り、少人数ですべての授業を英語で行う「グローバル教養学部」など、世界で通用する人材の育成へと大きく変貌を遂げました。

 その法大に9割近くが進学する法政大学中・高(東京都三鷹市、以前は武蔵野市にあり法政第一中・高)と法政第二中・高(神奈川県川崎市)もそれぞれ07年と16年に男子校から共学化。新しい歴史のページを開きました。

東京・市ヶ谷の法政大キャンパスに立つ校舎

対照的だった21年度法政系2校の入試
 21年度入試で法政大中は計3回の入試で男女とも全て前年より志願者が増え、トータルで前年比12%増の志願者数1647人となりました。「法政は実質倍率が高く合格が難しい」と言われ、ここ2年は志願者が減少傾向でしたが、今回は1日の第1回が実質倍率4.1倍、以後3日の第2回が5.7倍、5日の第3回が9.8倍と回を追うごとに上昇。「短期決戦志向」の最近の中学受験で、「2月は日を追うごとに合格が厳しくなる」という傾向を如実に示す結果となりました。

 一方の法政二中は2回の入試を実施し、前年比8%減の志願者数1957人。ほぼ「隔年現象」で志願者の増減が繰り返されており、来年は増加が見込まれます。第1回(2月2日)は男子の実質倍率が3.6倍に対し、女子は5.2倍、第2回(2月4日)は、同男子5.8倍に対し、女子7.8倍で、これは法政大中にも言えますが、総じて女子にとって厳しい入試という傾向にあります。

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法政の入試は毎年高倍率

★約9割推薦 他大学組に「保険」はあるが…
 甲子園で春夏とも優勝経験のある法政二高の硬式野球部をはじめ、法政の2つの付属校は運動部の活躍が目立ちます。両校ともグラウンドや体育館などの施設は申し分ありません。中高の6年間スポーツを思う存分やって、大学は内部進学でと考えている法政志望の親御さんはことのほか多いです。

 推薦入学決定は「12月のクリスマスプレゼント」と、学校関係者が言うほど年の瀬になりますが、極端な話、学部さえぜいたくを言わなければ「絶対評価の5段階でオール3あれば間違いない」とされ、約9割が法政大学へ行けます。

 そのため他大学への進学を希望する生徒には「何もしてくれない」という声をよく聞きます。法政進学の権利を持ったまま他大学受験ができるという「保険」は用意してくれますが、法政以外に行くつもりなら、学校を頼ることはほぼできないのが実情です。

大半が内部進学する中で…

★法政二の「10年一貫教育」が意味するもの
 法政二中では「10年一貫教育」を掲げています。中学、高校での学習を踏まえ、法政大学への進学、学習や研究を通じて、日本だけでなく「国際社会における主体者としての資質」を獲得することを大きな目標にするというのがその趣旨です。つまり、進路は「法政ありき」を前提に考えられており、他大学進学は「進路変更」になるわけで、“その先は自分で”という方針が暗に示されています。

 少なくとも中学受験の時点では「将来は法政とともに」という考えで選択していかないと、後悔するかもしれません。法政進学の権利を持って他大学受験という選択肢は、他の附属以上に機能しないと思っていた方がよいでしょう。

後悔しないために受験時に慎重な選択を

魅力ある法政をどうアピールするか
 法政大学の各学部は本当に「これから」を意識した将来性のある学部揃いです。しかし、「MARCH」と呼ばれる私大のグループの中では、やや地味な存在であることは否めません。もうどこの大学を出たから将来は安泰とか、就職が期待できるという時代ではありません。大学で何を学んだかが問われます。それでも親御さんは、子どもの大学選びにイメージが先行しがちです。

 その“習性”踏まえつつ、イメージ先行の中学受験に臨む親御さんや子どもに法政がどうアピールできるか。“次の一手”次第で法政は未来につながる人材の卵をより集結させることができると思います。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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