【不合格体験記】「どうしても慶應」だった

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中学受験の窓口 きょうのメニュー
・慶應に始まり慶應で終わった中受
・亡き夫のようにも厳しい現実
・母親は勉強と体育の家庭教師を依頼した

・家庭教師「普通部」必勝作戦を提案
・「慶應ありき」の受験 他校は考えられず

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★慶應に始まり慶應で終わった中受
 「どうしても慶應。慶應以外は受験しても意味がない」。ケイタロウくんの中学受験は、慶應に始まり慶應で終わりました。

 2月1日に慶應義塾普通部を受け不合格、2日は慶應義塾湘南藤沢(SFC)も残念、3日は慶應義塾中等部も吉報は届きませんでした。もともと実力的にみて、慶應合格は厳しい成績でした。模試での判定はほぼ毎回合格判定20%。1度だけ3校の判定が50%に届いたことはありましたが、総合偏差値で50を超えている程度では、正直「遥かなる慶應義塾」でした。

道は遠かった

★亡き夫のようにも厳しい現実
 ケイタロウくんの慶應進学を熱望していたのはお母さんでした。ケイタロウくんはお父さんと小学校1年生の時に死別。お母さんと祖父母(母方の両親)とともに暮らすことになりました。子どもに「ケイ」と付けることで分かるように、亡くなったお父さんは慶應出身。母校のことが大好きでした。愛息に亡き夫の面影をみる妻=ケイタロウくんのお母さんは、「慶應受験」を決意。シングルマザーではありましたが、薬剤師の資格で収入もあり、両親や義理の父と母からの援助もあることから金銭的に中学受験は可能と判断して、小学4年生からの“参戦”でした。

 大手進学塾に入塾して1年が過ぎ、2年が過ぎましたが、成績は偏差値50前後を行ったり来たり。5年生秋以降に受けた模擬試験での慶應系3校の合格判定は20%で、志望者順位は下から数えた方が早く、残り1年余でかなりの努力が必要という厳しい現実を突きつけられました。

母親は決心した

★母親は勉強と体育の家庭教師を依頼した
 お母さんは焦りました。成績が一向に伸びないことから、慶應系3校のいずれかの合格を目指し、慶應に特化した受験勉強シフトにチェンジ。通っていた塾をやめ、家庭教師を依頼、国語と算数の2科目をみてもらうことをお願いし、別の大手進学塾の慶應に特化した特訓コースに入るべく家庭教師に対策を託しました。さらに慶應二次試験の体育対策として、体育の家庭教師も投入。縄跳びやシャトルランの練習を依頼しました。

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 しかし、ケイタロウくん自身の勉強への取り組みに問題があり、成績はなかなか上がりません。算数は問題の本質を考えようとせず、解法の暗記をしようとし、計算もそろばんをやっていたことから暗算に走り間違う始末。国語は記述問題を「何を書いていいか分からない」と取り組もうとせず、選択肢問題もヤマ勘一辺倒。むしろこれでよく偏差値50を採れていると驚かざるを得ないほど、勉強のやり方としては最悪でした。

慶應普通部の体育の試験には縄跳びが課せられる

★家庭教師「普通部」必勝作戦を提案
 それでも家庭教師の先生は慶應合格を目指し、いろいろ作戦を練ってくれました。同じ慶應と言っても3校それぞれ傾向が違うことから、どこか1つに絞って徹底的に対策をすることを提案しました。照準を定めたのは慶應普通部でした。

 SFCは国語の読解の素材文が優に1万字を超えることから、いい加減にささっと読む癖があるケイタロウくんが残り時間で克服するのは難しいと判断。中等部は問題自体が4科ともそれほど難しくなく、高得点勝負となることから処理する速さはあるもののミスが多いケイチロウくんには不利と見ました。

 普通部を狙ったのは、ケイタロウくんが理科、とくに生物分野が滅法強かったからでした。“マニアック”ともいわれる普通部の理科の問題、とりわけその傾向が強い生物の問題に取り組める面白さをてこに、勉強に取り組む姿勢を変えていこうとしました。加えて、普通部だけが4科目均等配点(各100点)で、理社50点の2校と比べ、理社で勝負ができると踏んだというのもありました。

生物対策は慶應普通部に有効

★「慶應ありき」の受験 他校は考えられず
 「一点集中」で突破しようという家庭教師の作戦は、逆転合格を狙うなら「あり」の作戦でした。しかし、お母さんは難色を示しました。「普通部だけでは不安。やはり3つ受けたい」。慶應に特化したクラスは合格できたものの、レベルは一番下のクラス。毎年合格率はトップが9割なのに対し、10%未満では奇跡が起こらない限り…でした。

 しかも、80%合格偏差値に10も離れていて、滑り止めなしで同じ偏差値帯の3校だけ受験という無謀極まりない受験ですが「慶應ありき」の受験なので他校など考えられないお母さんでした。

 「次は高校、ダメなら大学からでも」。お母さんの戦いはまだ続くようです。

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